111 / 250
第2章
「昔の思い出」
しおりを挟む色々啓介のセリフを聞いてたら、思い出した。
確かに、そういう事、よく言ってた気がする。
……だって、オレ、高校ん時、啓介の事が、大好きだった。
引っ越してきて、少し遅れてバスケ部入ってくれて、一緒に居るようになったら。大阪弁がなんか聞き心地が良くて、喋ってるだけでも楽しかったし。
啓介の話し方とか。優しいとこ、とか好きだったし。
バスケしててもすごく気が合う感じ。言わなくても伝わる。啓介とプレイするの、楽しくてしょうがなかった。
1年も2年も、クラスが違ったのに、なんかちょこちょこ覗きに行って。絡みに行った。
――――……啓介に彼女が出来たって聞いたら、休み時間とかは彼女が居たりするから行かなくなって。 だから別れたって聞くと、なんか嬉しかったりして。啓介、彼女なんか作らなきゃいいのに、もっと遊びたいのに、て。思ってて。
まあ、確かに、どんだけ啓介の事が好きなのかなー、とは思ってた。
3年になったら、同じクラスになって。
一緒に勉強したり、してたっけ。
附属校とは言え、成績悪いとダメだからって勉強の為なのか、啓介の彼女つくるのもちょっとペースが落ちてたし。だから、余計にずっと、一緒に居た。
ほんとに、長い時間、啓介とずっと居たのに、喧嘩する事もなくて。ずっと居心地良くて。ほんと、好きだった。
………でも、それは、ほんとに、完全に、友達としての好き、で。
思った事、普通に言えてたのは、別に、意識してなかったからだし。
……とか言っちゃうと、今言えないのが、意識してるからだって、暴露してるようで、それも恥ずかしいしな……。
どっちにしても、オレ、結構恥ずかしい事、啓介にすごく言ってる気がしてきたな。
「――――……色々言ってたのは思い出してきたけど」
「うん」
「……だって、完全に友達だったし。 言えるだろ、普通に」
「――――……まあ、お前は、そうやったんやろうな」
と、啓介は、苦笑い。
「……けど、オレには、めっちゃ、試練やったけどな」
「……試練?」
「試練やろ――――…… 大好き、みたいな事、大好きな奴が、ニコニコしながら言うんやで?」
ふー、と息をついて。啓介がまっすぐオレを見つめる。
「……なんか……ごめん…… ていうのも変だけど」
ぷ、と啓介が笑う。
「……謝る事ではないんやけどな」
くす、と笑って、ゆっくり近づいてきて。
唇が――――……重なる。
「……オレが、何回、キスしたいの我慢したか、知らんやろ」
「――――……」
「まあオレも数えてへんから、何回かは分からんけど……」
冗談ぽく言って、クスクス笑う啓介。
「……キスしたいて思うたら、こうして、出来るし、まあもう今となっては、笑える思い出なんやけど」
「――――……」
「……――――……ほんま、お前が好き」
ちゅ、とキスされる。
82
お気に入りに追加
1,891
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる