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第2章
「片付け終了」
しおりを挟む昼食の後も、2人でせっせと荷を解いて、片付けを続けた。
「これで終わりか?」
「んー…… うん、終わり! ありがと!」
何だかんだ、全部の段ボールが片付いたのは、夕方だった。
「そんな多くないって言うても、やっぱり時間はかかるもんやなー」
「そうだね」
最後の段ボールをガムテープでまとめて、完了。
「夕飯、買い出しいこか?」
啓介に言われて、大きく頷く。
「すっごいお腹すいた!」
「ん、行こ」
ふ、と笑った啓介に、ちゅ、とキスされて。
あまりの自然な感じに、まじまじ啓介を見つめる。
「……聞きたくないけどさあ」
「ん?」
「……啓介って、女の子達にもこーいう事してた?」
「こういう事って?」
「…… 今みたいなの」
変に見つめあったまま、聞くと。
啓介はクスクス笑った。
「雅己にしかしてへんよ」
「……嘘だな」
「はー?」
言いながらクスクス笑う啓介。
だってあまりに自然にキスしすぎ。
今までもそーいう事してたに違いない。
このタラシ男……。
「やきもち?」
くす、と笑って。
ちゅ、とキスしてくる。
「……やきもちじゃねえし」
とか言いつつも、 ムスッとしてると、またキスされて、よしよしと撫でられる。
「可愛ぇなぁ、雅己」
「……っだからオレ、やきもちじゃないって言ってんのに」
「オレ、もう雅己にしかしないから、大丈夫やで?」
だから。「大丈夫」って。
……オレ、やきもちも、別に心配もしてないっつーのに。
もうこれ以上言い返しても無駄そうなので、黙ると。
ふ、と微笑んだ啓介に、まっすぐ見つめられる。
「めっちゃ好き、雅己」
愛おしくてたまんない、みたいな顔されると。
……ドキ。としてしまう。
「――――……っ……早く買い物いこう」
くる、と背を向けると。
啓介が後ろでクスクス笑うのが分かる。
もう何も言わない事にして、玄関に急いで、靴を履いた。
マンションの外に出て、隣の啓介を見上げる。
「店まで競争しねえ?」
「は? ちょ――――……」
言うと同時に走り出す。
後ろからすぐ啓介の足音がするので、追いつかれないように、猛ダッシュ。
10分の道のり、あっという間にたどり着いた。
ほぼ同時。
足を止めて、ははっ、と笑う。啓介も、面白そうに笑ってる。
「すっげえ、速くなかった?」
「速すぎ…… なんでそんな、走ったん?」
「なんか今日ずっと片付けばっか、だったじゃん?」
はあ、と息を整えて啓介を見上げる。
「全力疾走、楽しい。あー。またバスケしたいなー」
「皆に声かけよか」
「うん、かけよう。来週でもいいなあ」
答えながらスーパーに入って、カゴを持つ。すると、何だかものすごく自然な動作で、カゴを取られて、啓介が持ってしまった。
「……オレ、女じゃないけど」
「ん?」
「持てるよ、これくらい」
「んー……」
ふ、と啓介が笑う。
「ほな、持って」
「ん」
啓介からカゴを受け取って、笑顔で買い物開始。
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