【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

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第2章

「ドキッと」

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「なー雅己、これどこ置く?」
「机の上ー」
「ん」

 啓介のマンションの1部屋がオレの部屋になった。
 家族が来た時とかに怪しすぎるので、オレの部屋にも小さめの畳めるベッドは置く事にした。啓介のベッドがでっかいし、そっちで一緒に寝ような、と誘われてるし、絶対そうなるんだと思うけど。

 机と本棚、ベッドと、もともとついてるクローゼットに服を入れて、部屋のほとんどは埋まる。
 でも、この部屋にはほとんど、荷物を取りに来る程度になりそうなので、十分。

「――――……」

 ほんとに、啓介のとこ、来ちゃったんだなあ……。
 ……なんか。

 まだちょっと、フワフワしてて、嘘みたいというか。
 実際引っ越ししちゃって、もう帰るマンション、無いんだけど、
 なんか、すごく、不思議というか……。



 ていうか。
 オレ達って、これから、24時間一緒なのか。

 ――――……。


 ――――…… そう思っても、嫌じゃないって。


 なんだかなー、オレってば。
 そんな風に思っていると。


「ここらへんは、本棚に並べてけばええん?」

 目の前に来て、しゃがんで段ボールの中をのぞき込む、啓介。

「あ、うん」

 啓介を見上げて、そう返事をする。
 何冊か手に取って、立ち上がって、本棚に並べていく啓介。

 つーか。
 ……暑いからって腕まくりしてた啓介の姿に。

 ……なんでオレは、ドキッとするんだ。


 ほんと。良い体してるなあ。ズルい。
 ……いつも、抱かれる時、下から見てると、ドキド――――……。


 ……って。
 ……っバカなのか? オレ。

 なんでこんな事、考えてんの。

 今は、啓介、ちゃんと手伝ってくれてるのに。
 オレの方が、不健全すぎる……。最悪……。


「雅己、そろそろ、昼食べる?」
「え。っあ、うん。いいよ」


 急に振り返られて、ばっちりと、目が合ってしまった。
 焦って答えながら、立ち上がる。

「何食べる? 買いに行く?」

 部屋を出ようと歩き出した瞬間。
 腕を取られて、引き戻されて。 むぎゅ、と抱き締められた。


「……啓介?」
「――――……なあ、雅己?」
「ん?」

「……オレの事好き?」 
「――――……」

 また、そういう事、急に、真顔で聞くし。
 数秒止まってから、少しだけ頷く。


「――――……そかそか」

 嬉しそうに笑った啓介に、キスされて。


「――――……めっちゃ好き」

 囁かれて。
 する、と頬を撫でられて。
 そのまま壁に背を押し付けられた。


「……ちょっとだけ、付き合うて」
「――――……」

 振り仰いだ唇に、キスされる。






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