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第1章
「夜中に目覚めて」
しおりを挟む――――……啓介に抱かれて。 そのまま眠って。
夜中に啓介の腕の中で目覚める。 啓介と付き合って。
――――……何回目だろ……。
んー……オレ――――……。
……本当に、啓介と居るって決めてから。
……ほんとに、なすが儘な気がするな。
……なんか――――……。
好きアピールが遠慮なくなって、激しすぎるのと。
オレを抱いてる時、ますます遠慮がなくなってるのと。
……なんか、抵抗する術がない。
――――……さっき。何回、イったんだろう。
啓介が全然イかないで、オレの事ばっか……。
あー……恥ずいな……。
そういえば……と、ふと思い出す。
啓介ってそういえば、性欲そんな強くないとか言ってた事あったな。
……大ウソつきすぎなんだけど。
あれ、何の時だったっけ……。
ぼーっとした頭で、一生懸命昔の事、思い出してみる。
……あぁ。高校ん時だ。
友達が、毎日でもヤりたいとか言ってて、でも彼女に断られるって嘆いてた時だ。
啓介、毎日なんて全然分からんって、言ってたよなーあん時……。
こいつ、今、ほぼ毎日だよな……大ウソつき。
そこまで考えた時。
そっと、肩に、触れられた。
「……雅己?起きた?」
「……オレ、身動きしてないんだけど」
「ん?」
「……何で起きンだよ」
「ああ…… 気配かな……」
クスクス笑って、オレを、抱き締め直す。
「気配って……怖い……」
「何で怖いんや」
啓介が苦笑してる感じ。
――――……ああ、なんか。こういう笑い方も、ちょっと好きだけど。
「寝てる時と息の仕方、違うやろ」
「――――……怖い」
「せやから何で?」
今度はおかしそうに、クスクス笑う。
「……なぁ、オレ今思い出したんだけど。お前さあ」
「うん?」
「前、毎日ヤんのなんてありえないって言ってたよな?」
「……んー?」
「……性欲強くないとかさ、言ってたよな?」
「……ああ。 言うてたし、思うてた」
「……嘘じゃん。 大嘘つきじゃん」
言うと。少し黙ってから、 ぷ、と啓介は笑って。
「……お前限定で、強いみたい」
「……バカなの、お前。ほんとにバカなの?」
またクッと笑って。
啓介は、オレをぎゅーと、抱き締める。
「今からでも抱けるけど」
え、と啓介の顔を見上げてしまう。
「嘘だろ? 無理」
「すぐイケるで?」
「無理無理……ほんとやめろ」
即答して退いてると、啓介は面白くなさそうな顔をして。
でもすぐ、ぷ、と笑って。
「――――……オレ、それ言うてた時は本気でそう思うてたんよ……」
「……ふーん……」
「……まあ、自分でもこないになるとは思うてなかったけどな……」
「……今はほんとすごすぎだもんな……」
「……雅己だけにやで?」
「……」
そうかなあ。
啓介は、オレが相手じゃなくても、強そうだけど。
「抱くにしても、こないに、ねちっこくはしとらんし」
「――――……」
啓介の言葉に、何秒か止まって。
それから、ぷ、と笑ってしまった。
「ねちっこいって、自分で分かってるんだな」
……おもしろ。
「……そら、自覚はあるわ」
額に、ちゅー、とキスされる。
「どーやって泣かそうか、どーやって、気持ちええって言わそうかなんて、今まで考えた事もあらへんし」
「……オレにも考えなくていーから。普通にやって」
抱き締められたまま、啓介がくくっと笑って体を揺らす。
「……ンだよ?」
「……普通にはやってええって、普通に言うんやなーと思て」
「……」
確かに。
普通にやって、とか。ほんと普通に言って。
普通に抱かれる事はオッケイしてるし。
……なんかなー……オレってばなー……。
あまりに普通に受けてた事に、恥ずかしくなってくる。
「……今何時?」
「んー……ちょおまって……」
啓介が手を伸ばして、頭の上にあったスマホをつけた。
「2時すぎやな」
「――――……寝よーぜ、啓介」
すぽ、と啓介の胸にはまったまま、目をつむる。
「――――……おやすみ、雅己」
くす、と笑った啓介が、髪の毛にちゅーちゅーキスしてる。
「……やめろっつの……」
「……口にさせて?」
「――――……」
ため息つきつき、上向くと。
口づけて。舌が、ゆっくり絡んでくる。
「……ん――――……」
こういうときの、キスは。
ほんと……やさしーなー……。
うとうと、眠くなってきて。
目を閉じたまま、どんどん力が抜けていく。
「――――……おやすみ」
ふ、と笑った気配がして。
ウトウトしてる中で。最後に、頬にキスされた気がした。
(2022/2/12)
甘々すぎるかなー……?
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