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第1章

「大分覚悟」

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 オレからキスしたまま、絡んできてた舌をそっと離されて。
 なんだかこっちを見つめてる気配。

 ゆっくり瞳を開けると、啓介の優しい瞳。

「――――……めずらし」

 言いながら、ちゅ、と軽くキスされる。


「……るさい――――……」

 言うと、くす、と笑われて。
 ぎゅ、と、抱き締められて、深くキスされる。


「……オレさ」
「ん?」

「……オレ……ん……」
「―――ん?」

「……ン……ッん、ぅ……」

 舌、めちゃくちゃ絡んでくる。

「け、すけ……」

 少し離して名前を呼ぶと、啓介は少し名残惜しそうに離して、オレを見つめる。


「ん、なに?」
「――――……オレ……」

「うん?」
「――――……」


「どした?」

 頬に触れて、すり、と優しい手つきで撫でる。



「……ここ、引っ越してきていい?」

 優しく笑ってた顔は、オレがそれを言った瞬間。ふ、と真顔になって。
 オレをじっと見つめる。


「……誘ったのはオレやからダメな訳ないやん。何で聞くん?」
「うん。そうだけど……でも、一応、最終確認」

「――――……ずっと、オレと居る覚悟できたって事で、ええの?」
「……ずっと先の事とかはわかんねえけど……」
「――――……」
「……今はお前と居たいし……当分は、お前と居たい、から」

「――――……そこは、覚悟できたって、答えとけや」

 苦笑いの啓介に、頬をつままれる。


「……うん。覚悟は、大分した」


 目の前で嬉しそうな啓介を見つめながら、そう言ったら。
 抱き寄せられて、キスされて。


「――――……あ、でも引っ越しは、親に話してからな?」
「何? オレらの関係を?」
「へ?」
「恋人って?」
「っ違うっつの。 啓介と住む事にしていいかってって」
「ダメとは言わんやろ。 お前のおかん、オレの事めっちゃ好きやし」
「……否定はしないけど」

 何回か家に来ただけなのに、啓介の事が凄いお気に入りで。

 大学に入り一人暮らしをする時も、徒歩で行ける距離なら、啓介と暮らしてしまえばいいのにと何回も言われた。オレは、一人暮らしに憧れてたから、断固拒否したけど。

 ……だから、ダメとは言わないのだろうけど。

「恋人になったって言ったら、さすがに、出禁になるんじゃねえ?」
「そーかなあ? お前のおかんなら、許してくれそうやけどな」
「……そんな簡単じゃないと思うけど……」

 でも相手が超お気に入りの啓介だからなあ……。

「――――……雅己」
「ん?」

「……明日電話して?」
「あ、母さんに?」
「うん。そんで了解取って、どんどん引っ越ししよ」
「どんどんって……」
「手伝いにいくから、さっさと段ボール詰めて、引っ越ししてきて?」
「――――……うん、分かった」

 ぷ、と笑いながら、答えると。
 啓介が、ぎゅうっと抱き締めてきた。


 唇が重なって、舌が触れてくる。



「――――……ン……っ……」



 啓介のキスって――――……。
 なんかほんと、熱すぎるなー……。




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