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第1章
「頑張る」
しおりを挟むオレから、深く重ねて、キス、したのに。
啓介は、でも、それ以上は、触れて、こない。
これは、もしかして、まだ……。
「――――……」
もう。……オレ、もう、お前と居るって言ったのに。
オレのあの「お願い」に、引っかかってるってこと……??
「……っもう、いいよ、ちゃんとキスして」
「……もうええの?」
「……だから……っいいってば」
言うと。啓介は、じっとオレを見つめる。
「キス許すなら、その先も許せや」
「――――……」
はー……ほんとに……。
「……もう、良いって、言ってんじゃん……」
オレは、啓介を見上げて。
再び、キスして、舌で啓介の舌をなめてみた。
のに。
なんと、引き離された。
く。
こいつ……。
「――――……抱かれるん、何で嫌やった?」
で、その質問。
……嫌がった理由、言わないと、しないって事か……。
「……嫌だったっていうか……お前、きっとオレとは居なくなんのに……」
「――――……それ、もう思うなや?」
少し眉が寄る啓介に、じっと見つめられて、小さく頷く。
「……でも何かオレ、多分ずっとそう思ってたのに……普通にお前と、したいなって思っちゃって……」
そう言ったら、啓介が「は?」と首を傾げた。
「……なんか、勝手に、する時の事考えて、やばかったりして……してても、気持ち良すぎて怖かったし……」
「――――……何やそれ。 嫌んなってた訳ちゃうん?」
「……だから、意味分かんなくなってくのは、嫌だった」
「――――……それは、嫌っちゅうんやないやろ」
言われて、口を噤む。
「……で…… オレ、こんなんで女の子と出来るのかなーって思ったし」
「何で女?」
啓介が即座に、低い声で言う。
「啓介が女の子に戻るならだけど……いつか戻ると思ってたし……。オレ、お前以外の男なんて絶対無理だから、啓介以外とってなるなら絶対女の子だし。でも、こんなままで大丈夫かなあと思ったし……」
「――――……」
啓介の事、好きではあるけど、未来までは信じてなくて、きっと女子に戻ると思ってて。だから、あんまり気持ちよく抱かれ過ぎて、それだけになるのが、嫌だった。……としか、思えない。
あんまり気持ち良い事、オレにこれ以上、教えないで欲しかったし。
「アホやな、雅己」
「――――……」
「……オレ、お前離さんから、そんな心配しなくてええよ」
「――――……」
「……離してほしく、ないんやろ?」
言われて、啓介を見上げる。
……そういう事……なのか。オレ。
――――……じゃあ、お前がオレを離さないなら。
オレは、もう……どうされても、構わない……のかな……。
「オレ、こないだ条件出したやろ? お前が良いって言うまでしない代わりに、次抱いてええってなった時は――――……もう、嫌ばっかり言わないようにするて。覚えとる?」
「……覚えてる」
「――――……守れる?」
「……」
……お前がオレを女子と比べたりしなくて……いつかお前が、女子のとこに消えてかないなら。
……オレ、お前とするのは――――…… 嫌じゃない。
「……嫌だって、言わない……ように頑張る」
言った瞬間。
ふわ、と啓介が、めちゃくちゃ優しく笑った。
その笑顔に、心臓が、どき、と動いた。
……っ……今更、笑った顔位で。
何で、どきっとするかな。オレ。
「あーもう。ほんま、可愛えな、お前」
ぎゅ、と抱き締められる。
どきっとしてから、ずっと鼓動が早い。
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