【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

悠里

文字の大きさ
上 下
61 / 250
第1章

「快適」

しおりを挟む



 なんか体がおかしくて、先に寝たのに、
 結局、めちゃくちゃに抱かれたあの日。

 オレは、啓介に、しばらく、したくないと、頼んだ。
 受け入れて、くれて。 

 で。
 土日。結局啓介のマンションで過ごしたけど。
 何もされなかった。

 おやすみのキスを、された。だけ。

 月曜の朝に、啓介がオレのマンションに送ってくれて、授業の用意をしてから、学校までバイクで一緒に来た。

 2日間、すごく、心穏やかで。
 乱される事も、警戒してドキドキする必要もなくて。

 一緒に買い物に行ったり、借りてきた映画を見たり、一緒にゲームしたり。友達だった頃と、何も変わらず過ごした。

 啓介は、何もしないどころじゃなくて、 そういう類のあやしい事も一切何も言わないので、からかわれる事すら、無い。

 とんでもない事を言われて、赤くなったり、うろたえる事も、ない。

 なんか、すごい、良い感じで、2日間を過ごした。
 夜も、普通に早く寝れるし。

 ――――……同じベッドでは寝たけど、抱き締めてるとマズイからと言って、啓介は背を向けてた。

 あれ。怒ってる?
 と、そこではさすがにドキ、として、啓介の背中を見てたら。
 何か感じ取ったらしい啓介は振り返って、ふ、と笑った。

「怒ってるとかやないよ。 手出さないんなら、抱き締めたりしない方が楽なだけやから、気にせんでええよ」

 そんな風に言って、啓介は、オレの頭をぐりぐりと撫でて、おやすみと、頬にキスされて。それで安心して、眠ったんだけど。



 という事で。
 結果。


 今日、3日目にして、めちゃくちゃ、快適。

 ただ、それの関係がないだけで、啓介と楽しいことは共有して、楽しく話して笑って。友達に戻ったみたいで。土日、超楽しかった。
 もっと早く頼んでみればよかった!なんて、思ったりしている。


「何か、雅己ご機嫌じゃねえ?」
「え?そう?」
「オレもそう思った」

 月曜昼頃、周りの友達たちにそう突っ込まれた。

 そうかな。
 そんな分かるかな?

 ……そんな分かる位浮かれてるのは、なんか啓介に悪い?かなと思って。
 ちょっと、引き締めようと思ってしまったけれど。

 ……でもやっぱり、快適。


 午後の授業を聞きながら、ぼー、と考える。


 ……啓介とするのって、頭、おかしくなるくらい、気持ちいいけど。
 それが、嬉しいかって言われると……。

 ……オレは、結構苦手……というか。恥ずかしすぎて、死にそうっていうか。……見られるのもやだし。訳が分からなくなるのもやだし。

 オレ、男、なのに、
 なんか女の子みたいにひたすら可愛がられて、抱かれて、意味が分からなくされて。気を失うみたいに寝てる間に、体拭かれたりして、抱き締められて寝てて、起きたら、大丈夫かって、心配されたりして。

 ……男なのに、オレ、こんなんで、いいのかって。
 悩むというか、ちょっと嫌、って気持ちが、ずーっとあるっていうか。


 啓介の事は、好きだし。
 ――――……オレを抱いてる啓介は、カッコイイと思うし。
 ……嫌いではないんだけど……。

 オレ自身の事が、納得いかない。

 隣に居る啓介を、ちら、と見る。


 ノートを取ってたのだけれど、顔を上げるとオレの視線に気付いて、ん?と見返してくる。


 なんでもない、と首を振って。
 自分もノートに文字を並べてく。

 ……頭には全然入ってこないけど。


 今日最後の授業が終わって、啓介が隣で立ち上がる。


「雅己、今日どないする?」
「え?」
「うち、来る? 自分ち帰る?」
「――――……んー……」

 いつもだと、来いと言われるのだけど。
 今日は、聞かれた。


 ……うーん。
 どうしようかな。聞かれると、困るな。


「雅己、啓介、飯食いに行かねえ?」

 ふと、隣に居た友達たちに誘われて。
 

「いーよ、行こ」

 と答えた。すると、当然啓介も来るかと思ったのに。


「オレ今日はやめとくわ」

「えーなんでだよ、一緒に行こうぜ」

 周りが皆言うけれど、啓介は笑顔で、やりたい事があるからとやんわり断っている。

 教室を出て歩き始めて、啓介と並んだ時。

「ほんとに行かねえの?」

 そう聞いたら。

「今日バイクで来たやろ。バイクもって移動とかもめんどいし。今日はやめとくわ」
「……そっか」
「楽しんできな」
「……うん」

 頷いて、何となく啓介を見上げると、啓介は、ふ、と笑った。


「オレこっちやから。またなー」

 校舎を出ると、啓介はすぐに駐輪場の方へ消えていった。
 皆と一緒に、啓介に別れを告げた。


 いつもなら一緒に来るとこだけど……と、少し引っかかるけど。
 ……まあバイクの事も分からなくはないし。

 ……たまには啓介居ないとこ行くのもいいよな。
 と思って、皆と、歩き出した。





しおりを挟む
****
読んでくださってありがとうございます♡
気に入って下さったら、お気に入り登録 & 感想など聞かせて頂けると、嬉しいです(^^)

感想 71

あなたにおすすめの小説

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます

天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。 広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。 「は?」 「嫁に行って来い」 そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。 現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる! ……って、言ったら大袈裟かな? ※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

推しの恋を応援したかっただけなのに。

灰鷹
BL
異世界転生BL。騎士×転生者の王子。 フィアリス王国の第3王子であるエドワードは、王宮で開かれていた舞踏会で前世の推しである騎士と出会い、前世で好きだった恋愛ファンタジー小説の世界に転生していたことに気づく。小説の通りに推しが非業の死を遂げないよう、奮闘するエドワードであったが……。 攻め:カイン・ド・アルベール(騎士/20才) 受け:エドワード・リーヴェンス・グランディエール(第3王子/転生者/18才) ※ こちらはBLoveさんの短編コンテストに応募した作品を加筆修正したものです。後半は大幅に内容を変えているので、BLoveさんで既読の方にも楽しんでいただけたらいいなと思います。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

処理中です...