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第1章

「今日、へん」※

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「――――……?」

 啓介が、ふ、と気づいたみたいで。
 唇を離されて、嫌がるオレをものともせず、手が下半身に回ってきた。


「なに――――……なんで、こんな反応してるん?」

 服の上から触れられて、びく、と体が震える。


「……わ、かんな……っ……」

 嫌だったのに、今日。
 おかしくなりそうだったから、絶対、したくなかった、のに。


「……っ……っん、……」

 服越しに触れられて、もどかしくて、腰が引きつる。

「オレ、かえ、る……」
「は? 帰る?……――――……何ん? さっきからこうやったから、帰ろうとしたん?」

 ぷるぷるぷる、と首を振る。
 これは、キスされてなったんだから、ちがうし!


「も、い……から、帰らせて ……」

「――――……こんなんで……帰らす訳ないやろが」


 全然聞いてくれず。
 啓介が、オレに押しのってきて。
 押し返そうとした手を、 掴まれて、顔の横で括られる。


「……こんなんなってんのに、なんで帰るとか言うてるん?」

 そんな台詞と、降ってきたキスに。

 ――――……もう、本気で家に帰りたい……。
 

「――――……ん……っ」


 いつも、通り。

 キスに、感覚全部、持っていかれる。

 キスしてる間に、顔の横で括られていた手はもう、離された。
 でも、何の抵抗もできず、啓介の服を握り締めるだけ。

 啓介の手が、髪の毛や、耳に触れてくる。
 ……優しいけど――――……くすぐったい。


「……っ……んっ……」

 絡められる舌に、ぎゅ、と目を閉じる。
 ちゅ、と音をたてて、唇を離されて。少し離れて見つめられる。


「……なんや…… 今日、やらしーな、雅己……」
「………っっ」


 ……だから、やだって、言ってんのに……!!


「啓介…… やっぱ ……っやめ……」

 ぐい、と胸に手をついて、押そうと試みる。


「――――……雅己 ……?」
「……なんか、きょう、へんだから――――……」


 ふ、と笑んだ唇がまた深く重なってきて。
 ――――……舌が奪われた。
 
 同時に、また、ズボンの上から、触れられる。
 指でなぞられて、先端を爪でカリ、と、刺激される。


「……ん、っ……ん、あ、 ……や……っ……」
「……まさみ……?」

 服越しに、先端をぐり、と弄られて、一気に体温が上がって、汗が滲む。
 でも、やっぱりものすごく、もどかしい。


「……っ……ん……っ……ぁ」
「どーする? これ……」


「……や、だ……」
「――――……やめる?」

「………っ……」

 今ここでやめられるのもつらいし、でも、ここから乱されるのも……。
 どうしたらいいのか、正直、分からない。

 だから。
 さっき、啓介と離れるのが最善の策だったのに……。


「……お前、オレとしたくなくて、先寝たんやないの?」


 ……バレてるし。何でだ……。


「……やっぱ、やめた方がええか……?」


 そんな事を言いながら、服の上から刺激し続ける啓介が、憎たらしすぎる。

 ……やめるつもりなら、触んなよ……。


「……急にこんなんなっとるけどなー…… やっぱ嫌がられてんのに、触るのもなあ……?……どないする?」
「………っ……」


 くっそ、こいつ、意地、悪っ……!!

 緩い愛撫だけ、与えられる。 
 そんな意地悪するなら触られたくないと、腰を引こうとするけれど、それは許してくれない。


「……っ……っ……あ……」

 中途半端に触れられて、もどかしい、快感だけが、ざわざわと上がってくる。



「…………可愛ぇな、雅己……」


 ちゅ、と頬にキスされて、そんな事、言われると。
 もう、なんか――――…… 思い切り、されたく、なってくるし。






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