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第1章

「甘々な」

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 目が覚めたら、啓介の腕の中に居た。
 まあ。いつも通り。


 ……めちゃくちゃ、してしまった。
 昨日高い熱あった奴に、なんて事させてんだ、オレ……。

 すぐ思った事は、それで。
 ……すごい、自己嫌悪。 

 もぞ、と動いた瞬間、啓介が動いて、オレをのぞき込んだ。

「……雅己? 気が付いた?」
「……うん。ていうか、啓介」
「ん?」

「……具合、悪くねえ?」
「全然」

 ぎゅー、と抱き締めなおしてくる啓介。

「お前が可愛えから、めっちゃ元気」

 笑ってる啓介の揺れが、体に伝わってくる。

「結構めちゃくちゃしてしもたけど……平気?」
「……オレは平気……」

 言うと、よしよし、と頭を撫でられて。

「――――……雅己、今日どうしたん?」
「……?」

「キスしてきたり。……してる時も、甘えてたし」
「――――……甘えてないし」

「そ?ま、ええけど。可愛かったから」
「――――……」

 何と答えるべきか分かんないので、突っ込まず、そこはスルーする事にした。

「……いま何時?」
「16時位」

「んー、少ししたらご飯作ろうかなあ……」
「オレも一緒にやる」

「いいよ、寝てろよ」
「一緒にやるて」

「……元気なのか?」
「さっき証明したやん」

「……バカ」

 言うと、くす、と笑う啓介に。

「雅己……」

 ちゅちゅ、と頬に何度もキスされる。

 もう、こいつ。 ――――……どんだけ、甘々なんだよ。


「……お前って、今までの彼女にも、こんな風にしてたの?」
「――――……」

 きょとん、として。 それから、啓介は、ふ、と笑った。

「何? ……しとったら、嫌やと思うてる?」
「――――……な事いってねーし」

 引き離そうと押してるオレを、むぎゅ、と抱き直した。

「……オレな、雅己」
「……」

「お前意識しながら付き合うてたから、こんな風にはしてない。OKだけして、結局ちゃんと付き合うてなかった子も居るし」
「――――……」

「……自分でも、最低やったなーと、思うてるよ」
「――――……」


 何となく、何も言葉が出てこなくて、無言で聞いていると。
 

「……今は、ほんまに好きな奴と居るから、ずーと、こんな風にしとるけどなー……」

 むぎゅむぎゅと抱き締められて、ちょっと呆れつつ。

 こんな風な啓介を見てるのが、オレだけ……てことはないにしても、そんなに多くはないのかな、と思うと。
 ……悪くはないかな……なんて、思ったりして。


「……ん?」

 顎に触れられて、少し上向いたら、また唇が触れてくる。

「……雅己、大好きやで」
「――――……」

 何度も優しくキスされて。
 ぷ、と笑ってしまう。

「……キスしすぎ」

 顔を少し背けるけれど、頭を押さえられて、今度は深く重なってきた。舌が触れてくる。


「――――……まさみ……」


 ――――……ああ、もう。
 ……なんなんだ、もう。


 延々離してくれなくて。
 抱き締められたまま、かなり長いこと、ベッドの上で、時間を過ごしてしまった。






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