44 / 249
第1章
「甘々な」
しおりを挟む目が覚めたら、啓介の腕の中に居た。
まあ。いつも通り。
……めちゃくちゃ、してしまった。
昨日高い熱あった奴に、なんて事させてんだ、オレ……。
すぐ思った事は、それで。
……すごい、自己嫌悪。
もぞ、と動いた瞬間、啓介が動いて、オレをのぞき込んだ。
「……雅己? 気が付いた?」
「……うん。ていうか、啓介」
「ん?」
「……具合、悪くねえ?」
「全然」
ぎゅー、と抱き締めなおしてくる啓介。
「お前が可愛えから、めっちゃ元気」
笑ってる啓介の揺れが、体に伝わってくる。
「結構めちゃくちゃしてしもたけど……平気?」
「……オレは平気……」
言うと、よしよし、と頭を撫でられて。
「――――……雅己、今日どうしたん?」
「……?」
「キスしてきたり。……してる時も、甘えてたし」
「――――……甘えてないし」
「そ?ま、ええけど。可愛かったから」
「――――……」
何と答えるべきか分かんないので、突っ込まず、そこはスルーする事にした。
「……いま何時?」
「16時位」
「んー、少ししたらご飯作ろうかなあ……」
「オレも一緒にやる」
「いいよ、寝てろよ」
「一緒にやるて」
「……元気なのか?」
「さっき証明したやん」
「……バカ」
言うと、くす、と笑う啓介に。
「雅己……」
ちゅちゅ、と頬に何度もキスされる。
もう、こいつ。 ――――……どんだけ、甘々なんだよ。
「……お前って、今までの彼女にも、こんな風にしてたの?」
「――――……」
きょとん、として。 それから、啓介は、ふ、と笑った。
「何? ……しとったら、嫌やと思うてる?」
「――――……な事いってねーし」
引き離そうと押してるオレを、むぎゅ、と抱き直した。
「……オレな、雅己」
「……」
「お前意識しながら付き合うてたから、こんな風にはしてない。OKだけして、結局ちゃんと付き合うてなかった子も居るし」
「――――……」
「……自分でも、最低やったなーと、思うてるよ」
「――――……」
何となく、何も言葉が出てこなくて、無言で聞いていると。
「……今は、ほんまに好きな奴と居るから、ずーと、こんな風にしとるけどなー……」
むぎゅむぎゅと抱き締められて、ちょっと呆れつつ。
こんな風な啓介を見てるのが、オレだけ……てことはないにしても、そんなに多くはないのかな、と思うと。
……悪くはないかな……なんて、思ったりして。
「……ん?」
顎に触れられて、少し上向いたら、また唇が触れてくる。
「……雅己、大好きやで」
「――――……」
何度も優しくキスされて。
ぷ、と笑ってしまう。
「……キスしすぎ」
顔を少し背けるけれど、頭を押さえられて、今度は深く重なってきた。舌が触れてくる。
「――――……まさみ……」
――――……ああ、もう。
……なんなんだ、もう。
延々離してくれなくて。
抱き締められたまま、かなり長いこと、ベッドの上で、時間を過ごしてしまった。
91
お気に入りに追加
1,847
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる