42 / 249
第1章
「触れたい」
しおりを挟むオレが啓介に腕をまわした、それを了承の意として受け取ってくれた啓介の唇が、今度は少し深く重なってくる。
舌が口内に差し込まれて、いつもより遠慮がちに、絡められた瞬間。
「……っ」
舌がすこし熱くて、思わず顔を退く。
「……どしたん?」
「……やっぱ、すこし熱い……」
「ん?」
「……いつもより、舌熱い……」
そう言うと、啓介は一瞬言葉に詰まった感じで黙って。
それから、はー、とため息を付いた。
「雅己――――……エロイ顔して、そんな言い方すんなや……」
啓介が、ふ、と苦笑いしながら。オレの頬に触れて、まっすぐ見つめてくる。
「……っそんなのしてないし」
「しとるし」
頬に触れてた親指が、唇に触れて、すり、と唇をなぞられた。
「――――……っ」
やっぱり。
唇、指でなぞられるだけで、ぞく、とする。
「……キス、されたいん?」
「――――……」
いつも、コトに及ぶ前の、急に雰囲気が変わる時の、男っぽい、表情。
……あ、なんかやばいかも、と思った。
キスだけで終わらない気がしてきた。
「……や、っぱりやめよ? 具合悪くなったら困る ――――……」
「……オレは平気」
啓介から体を起こして、ベッドから降りようと動いた手を取られて。
背をベッドに押し付けられた。
全然抵抗できない。
力なんか殆ど入れてない啓介の下に、自然と引き込まれて。
上からキスが重なって、すぐに、舌が絡んできた。
「――――……っ……」
さっきより、遠慮のないキス。
どうしよう、抵抗――――……した方が……いいのかな。
熱いってことは、やっぱり少し、熱が……。
そう思った時、ふっと唇が離れた。
「舌、熱いの気になる……?」
聞かれて、うん、と頷く。
「――――……お前が気になって嫌やて言うんなら、やめる」
「――――……」
「どうしたい?」
じっと見つめられて。
「――――……啓介、頭痛いとかは……?」
「無い。元気」
「……辛く……ない?」
「ない」
「――――……じゃあ……いい」
「ん――――……おおきにな、雅己」
こんな事に、礼言うなっつの……。
思った瞬間、ふ、と笑んだ唇が、重なってきた。
なんでだろう。
――――……すごく、触れたいって、思ってしまった。
オレ、好きだった、啓介のこと。
友達として、ダントツ、好きだった。
告白断って、お前と居れなくなるの絶対やだって、思う位は。
本当に、大好きだった。
こうなったのも――――……友達として、大好きすぎたからだって、自分で思っていた。
――――……でも、友達に。
キスしたいとか。 ……触れたいとか。
思う訳がない。
オレ、今。
啓介とキスしたいって。
――――……啓介に触って欲しいって。
すごい、思ってしまってる。
こんなの。
……………なんか、こんなのって。
最初触れるだけの優しいキスが。
深くなっていく。
啓介の熱いのが、全部、移ってくるみたいで。
ゾクゾクして。
「……ふ ……っン……」
声が漏れると。うなじを押さえてた手に、少し力がこもって、より、啓介と近づけられる。
――――…… 啓介とするキス。きもち、いい、な……。
90
お気に入りに追加
1,847
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
奴の執着から逃れられない件について
B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。
しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。
なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され...,
途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる