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第1章

「何なの」※

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「――――……」

 そっと下着の前部分を下げて、目の前に出てきたそれに、ちょっと顔を退く。もうすっかり落ち着いてたみたいで、反応はしてないけど。

「――――……」

 ……見た事ないとは言わない。してる時も、見えるし。ゴムをつける時とか。外してる時とか。見えるし。でもなるべく見ないようにしてるので、こんな真正面で、ガン見したのは、ほんとに初。
 ……つか、やっぱり、オレのより、デカいような……。


「……………っ」

 ていうかさ。オレ今なにしてるわけ。
 これ、どうすればいい訳? ただ、見てればいいの?

 別にガン見しても、気持ち悪くはない。
 男同士だし、少し違っても基本は一緒だって分かってるし。予想通りだから別に見たからって、やっぱり急に気持ちが悪くなるって事も、無い。

 ……って事が分かった所で、オレは一体、どうすればいいんだ。
 つか、もともと分かってたんだってば。

 オレが、言ったのは、される側のオレが、女の子と違うからって事で……。
 啓介が男だから気持ち悪いとか、オレ、言ってないし。


「――――……けいすけ」

 困って、啓介を見上げる。

「ん?」
 啓介は、ふ、と笑って。オレの頬に触れてきた。

「……見えると、気持ち悪い?」
「…………」

 ぷる、と首を振る。


「そもそもそんな事、最初から言ってねえじゃん……」

 言うと、頬をなぞった指が、首筋へと走った。
 ぞく、として、首を竦める。

 啓介の手は――――…… なんかほんとやらしい。
 なんで少し触られる位で、こんなん、なるんだろ。
 
「……触っても、ええよ?」

 妖しく緩む瞳に、内心、すごく狼狽える。


「……っ」


 ええよって――――…… ええよって、
 オレが触りたいって、言ってるみたいじゃねえかよ。


 そんな事言ってないし!
 バカ啓介バカ啓介バカ啓介……!!


「……せやかてずっとそおやって見とってもな?」
「……っ……」


 確かに、今これ以上、どうしていいか分からないけど……。



 ……なんなのこの時間。
 もう終わりにしたいんだけど……。


 ……でもなんか進まないと終わらない気がする。


「――――……」

 ふーーー、と息をついて。思い切って、触ってみた。
 一気に熱くなったそれに、びっくり。


「っこんな急に、こんなん、なるなよっ」
「……お前が急に触るからやんか」

「だって触れって言ったじゃん」
「ほんまに触ると思てへんかったし……」

 こんなひどい会話の最中なのに。
 啓介は、手の中で、どんどん硬く、熱くなってく。

 ……うわ――――……。
 すこし、手を開いて、それを眺めてしまう。


「…………」

 こんなんが、オレの中に、入ってるのかと思うと。
 ……何で入るのか、不思議になってしまう。


「――――……これって……最大?」
「……ん? まだやな……って、まだ触られてるだけやんか。そこまでいかんわ」

「……」

 ……つか。無理じゃねえ?
 入んないよね、こんなの。

 ……いつもどうやって入ってんの。


「――――……触ってどう思うん? 
 男やから嫌とか…… 気持ち悪いとか、思うん?」

 啓介の言葉に、上向くと。
 まっすぐ視線が絡んで、ふ、と笑われる。


「――――……思わないってば」

 首を振る。

「ていうかさ、オレはさ、もともとお前、男って知ってるし……男の立場じゃん、オレとの関係も」

「……ん?」

「オレのことは女と比べるかもだけど、お前の事はもともと比べないに決まってるじゃん」

「せやから、比べて女がええんなら、最初から女に行くって言うてるし。
とにかく見ても、触っても、嫌やとか、思わないんやろ?」
「――――……うん」

「オレも、思わんよ。雅己のやから」
「――――……」

「あと、オレは――――……もうそっから、欲が入るから」
「…よく??」

「触りたい、なめたいとか……めちゃくちゃにしたいとか思うから」
「――――……っ」

「……せやから、むしろ、明るいところで、見せてくれた方が、興奮する」
「――――……」

 まじまじ見つめられて、そんな風に言われて。

 なんでそんなはずかしい事、人の目、見たまま、まっすぐ言うんだ。
 バカ啓介!!

 耳まで一気に熱くなって啓介から目を逸らす。
 そしたら、手を外せずに持っていたそれが、どく、と反応した。

「――――……っ……」

 なんかもう、これ、どうしたらいいんだ。
 手の中で――――……やばいし……。


 手を外して、完全に見えるのももはや怖いし。
 どーすれば……。


「――――……雅己? いつまで握っとんの?」
「……っ」

「……なあ。それがお前ん中、入るの――――…… 想像して?」
「――――……っっ」

 首の後ろに手が置かれて引き寄せられて、ちゅ、とこめかみのあたりにキスされる。耳元で囁かれて、ますます頭に血がのぼる。


 なんてこと、言うんだ……。
 さっきから、考えないようにしてるのに……。


「……めっちゃ慣らしてから……ゆっくり中入れるん、考えてみ?」
「……っつか、やめろっつの!」


 想像しちゃうだろ…… 変態啓介っっっ!
 もうほんと、やだ、こいつ。やだっつったら、嫌だ!


「んー……せやけど……なんや、お前、やらしい顔、してきたから」

 くす、と笑って、啓介がオレの耳に唇を触れさせて、中に舌を入れてきた。

「っ……やめ……」

 耳の中で音を立てられて、なぞられて、逃げようとした腕を掴まれた。



「……な、雅己、ゴムつけて?」

 啓介が腕を伸ばして、持ったゴムを差し出してくる。


「お前ん中、入れたいから。――――……つけて?」


 ななななんで、そんなこと……っ
 


「ん、ほら」


 片手をそれから離されて。 その手にゴムを渡される。

 ほらじゃねえし……!!!

 バカ啓介! 変態啓介! お前絶対、女の子にもこんなような色々させてたんだろ、だからたまに、フラれてたに違いない。

 もうほんとに、やだ。


 なんか、いつもいつもオレばかり狼狽えさせられて、ほんとに腹立つ!





 ――――………くっそ……。







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