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第1章

「翻弄される」※

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 一昨日泊まった時は、何もされなかった。

 抱き締められて。キスはされたけど、それだけ。 
 あとは一緒に眠っただけ、だった。

 今日は、夕飯食べた後で、お腹がいっぱいで動けないオレを置いて、先に啓介が風呂入って。
 んで、その後、オレも風呂から出てきて……。

 と、風呂上がりのオレに近づいてきた啓介に、手首を掴まれて引かれて、寝室に連れ込まれた。


「え?」

 え。……まさか、だよな? だって、まだ、20時だし。 
 こんな早い時間から始めたり、しねえよな??

 そう思ってる内に、何だか易々とベッドに押し倒されて。 
 せっかく着たばかりの服を脱がされて。


「ちょっ……こんな、時間から何す……」

 オレを組み敷いてる啓介の腕を掴んで何とか一時制止して、そう言うと。
 啓介は、クスクス笑った。

「……時間、関係ある?」
「――――……っ」

「……オレ、いつでも、お前、抱きたいて思うてるし。昼間でも、朝でもいーけど……?」

 言われた言葉に、不覚にも赤くなったと、思う。

 だから何でオレはここで、赤くなるんだ。意味が分からない。


 啓介はふ、と笑うと。 啓介の腕に触れてたオレの手首を掴んで、頭の横に押しつけた。

 そのまま、唇が重なってきて――――……深くキスされる。


「…………っ……」

 舌が差し込まれて――――……きつく瞳を伏せてしまう。


「……ぅ、……ん……っ……」

 最近、本当に、強気で。

 ……優しいのは変わらないけど、強引な感じには輪がかかってきた気がする。 そして、何でだか分からないけれど、オレには、啓介のその強引なのを遮る力が、無い、みたいで。


「……ん……ふ」

 深く深く舌が絡み合って――――……そうかと思うと、ついばむように、優しく降ってくる、キス。

 首筋や頬を唇でなぞられて、動く事すら、出来ない。


 キスが延々と続いて――――……。
 そのうち、指が、体を撫でるように動き始める。

 いつも。
 啓介の、この行為は最初、いつも、同じ。

 キスだけなのに、熱くなっていく体を、自分が持て余した頃に。
 全部分かってるみたいに、触れてきて。


 嫌になる位、優しい。



「……雅己?」
「――――……」


 じ、と見上げると。
 ふ、と笑われた。


「――――……どぉした……?」
「……何で、オレにすんの?」

「何でって――――……好きやから」
「――――……」


「……可愛くて。――――……泣かせたいから?」


 クスクス笑った啓介に、再び、唇を重ねられた。



◇ ◇ ◇ ◇




 もう何回こうして、抱かれたんだろう。
 ――――……オレを、好きだという、啓介に。


 あまりに快感ばかりが強い、啓介の愛撫は。
 いつも、貫かれる時すらも――――……自分でも納得行かない位、痛みを感じない。


「……っ……ん、う……っ!」

 シーツを握りしめて、耐えていたオレは。
 開かされた脚の間で、啓介が軽く動いた瞬間。声をあげた。

 痛かったんじゃ、ない。
 ――――……背筋を走り抜けた感覚に、驚いて。 


「…………んっ……! っん……ぁ……!」

 その後も、同じ所を幾度か突かれて、そのヤバい感覚に、怖くなって、ぶる、と首を振って、唇を噛みしめる。


「……ここ。えぇんやろ?」

 耳元で、低く笑う啓介。
 その囁きにすら、ぞくぞく感じてしまう。

「……ん、う……ッ……」

 こんな感覚、人に叩き込んどいて、
 笑うな、ばかばかばかばか……!!


 ちゃんと言葉に出来れば、それだったはず、なんだけど……。

 だけど――――…… 言葉がまとまりを成してくれない。


「……ん、っあ……は……!」


 お前と。 こんな風にならなければ。 
 こんな感覚を感じる事は、絶対、なかった。
 こんな――――……訳わからず翻弄される事も。


 前じゃなくて、後ろで、
 なんて、考えた事も、なかった。


「けい、すけ……」
「――――……」


 呼んだオレを、ふと見下ろして。

「イイ顔――――……可愛え、雅己」


 頬に手をかけられて、深く口づけられる。


「――――……雅己、好き」

「ん、あっ……」

 深く突き上げられて、舌、奪われて。
 ゾクゾクしすぎて、後ろを締め付ける。


「は。……そんな、締めんなや……」
「――――……っふ……」

「……雅己、気持ちええ?」
「……っ……ん……」

 悔しいけど――――……もう良すぎて。
 真っ白な快感の中、小さく、頷くと、啓介が、ふと笑う。


「……オレも―――……めっちゃ気持ちええ」
「――――……っ」

「……可愛え。――――……ほんま、好き、雅己」
「……っも、それ、言うなよ……っ」


「何で。 可愛えもん――――好きやし……」
「……っ……っ」


 ああ、もう、なんかもう――――……。


「大好き、雅己」

 耳元で囁かれて、ぶる、と、震える。


「も、やだ、言うなら、やめて……」
 
 本気で押しのけようと藻掻くけれど、すぐに突き上げられて。
 もう、啓介に縋るように、しがみついてしまう。


 激しく突き上げられる度に、意識が朦朧としてくる。
 熱くて、涙が目尻を伝うと、啓介がすぐ舐めとる。

「んっ!……ふ、あ……っ……んぁ……」

 深く中へ入れられると、自然と体が上に逃げようとするのだけれど、啓介はそれを許してくれない。腰を掴まれて、引き戻される。


「……っ……んん、あっ……」

 啓介の思うまま。
 中で受け入れて。

 啓介に抱きつく。

 また深く口づけられて。
 全身が強張って――――……その瞬間を迎えた。



 

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