上 下
11 / 249
第1章

「スイッチ」3 ※

しおりを挟む




「――――……っ……ぁ」

 ゆるく、突かれても、少しは気持ちいいのだけれど……。
 いつも、激しいのに慣れてしまったのか、もう、物足りなさ過ぎて。

 入れられたままの、啓介のを、ぎゅ、と締め付ける。

「っ……そんな締めるなや」
「――――……っおまえ、ほんとにこのまま、いるつもり……っ?」
「そうやて言うてるし」

「……バカ、なのかよ、んとに……っ しろよ、早く……」
「――――……」

「しないなら、抜け、よ……っ! ほんと、ぃやだ……!」


 言ったオレに、啓介は、む、と口を閉ざした。


「じゃあ約束してや」
「――――……やく、そく……?」

「……今から、嫌とかやめろ、言わないで」
「――――……」

「……あと、気持ちええ時は、そう言うて」

「っ――――……もう……わかった、から……」


「――――……絶対、約束やからな」

 耳元で、くす、と笑われて。なんだか嫌な感じがして、啓介を見上げる。


「絶対やで、雅己。破ったら、罰ゲームやからな」
「――――……っ……なに、罰げー……っ」

 言いかけた唇を、深く、塞がれる。


「……っん……っ……」

 ――――……あーもう、なんか、……すげえやな感じ。
 なんだよ、罰ゲームって……ろくな事じゃなさそう……。

 ……っ……嫌とか、やめろ、言わなきゃ良いんだよな。
 歯、くいしばっといてやる……っ。

 ふ、と啓介の唇を振りほどいて、そのまま、ぎゅ、と唇をかみしめる。

「――――……お前、分かっとる? 気持ちええ時は、そう言うんやからな。 言わんでイッたら、アウトな」
「…………っ……」

 もう、なんか、もう、こいつ――――……。


 やっぱり、嫌い……!

 啓介が、オレの睨みつけた視線に、くっと笑った。


「――――……雅己……」

 ちゅ、と頬にキスされて、まっすぐに見つめられる。
 何だか急に雰囲気の違う、熱い瞳に、どき、と心臓が鳴る。


「……っ……んっ……」

 キスが、すごく熱っぽくて激しくて。
 息、できない。
 
 舌を絡め取られている間に、なんだか、余計に下が疼いてくる。


「……ふっ……あ……っ」

 飲み込み切れない唾液が口から零れる。それを、啓介が舐め取りながら、首筋に舌を這わせてくる。

「……っ……あ……や――――……」

 ぴく、と啓介が動きを止めた。
 ――――……オレは、そこで、言葉を止めた。

 やめろ、ていうのが、口癖に、なってる。
 唇を噛みしめる。


「――――……っ……」


 もう早く、やって、早く、終わらせてくれ。
 もうやだ、こんなの。

 またキスされて、溶けそう、なんて思う。
 息が出来ないから、朦朧としてきて、余計。

「……んン……ぅ……」
「――――……可愛ぇな、雅己」

 唇の間で言われて、またすぐキスされる。
 啓介の手が、胸をなぞって、脇腹を滑って、回ってきた手が、反応してるそれに、絡んでくる。

「……っ……っんぁ……っ」

 強く握られて、刺激される。

「……ん……は……」

 先端を弄られて、びくん、と体が震える。

「……ん、ふ……っ……」

 キスは、激しいし。
 前は、もう、イきそうなのに、最後まではしてくれず。
 繋がってる中は、さっきよりも熱くて硬い啓介が、ゆるゆると中を擦りあげてくる。
 どこに意識を集中させれば良いのか、分からない。
 

「……んん……ぅ……っ……」

 先走りに濡れてるそれを、強く扱かれる。
 のけ反った顎を、舐められて、その舌が、耳に入ってくる。


「……んあ……っ……」

 頭の中に、ぐちゅ、と音が、響く。
 涙が浮かんでは、零れていく。

 ……だめだ、もう、むり……。


「……けい、すけ……っ……」
「ん?」

「……もっと――――……突い、て……ちゃん、と……」
「……っ」


 涙いっぱいなのは分かっていたけれど、それに構わず、啓介を見上げて、そう言った瞬間。
 抱き付いてた啓介の体が、一気に熱くなった。 
 

「……っ……ずるいなぁ、まさみ……」
「……っ?」


「……もっと、死ぬほど焦らそうと、思てたのに――――……」
「――――……っ……」


 啓介に太腿の裏に手を置かれて、ぐい、とさらに脚を割られて持ち上げられた。

 まっすぐ視線を合わせられて、深くキスされる。


「――――……雅己……やめろは、無しな?」

 強い瞳に、ゾク、と煽られて。

 ――――……やっと、ちゃんとしてくれるんだ。
 そう思ってしまう。


 啓介の肩に、ぎゅ、と、しがみついた。






しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

【Rain】-溺愛の攻め×ツンツン&素直じゃない受け-

悠里
BL
雨の日の静かな幸せ♡がRainのテーマです。ほっこりしたい時にぜひ♡ 本編は完結済み。 この2人のなれそめを書いた番外編を、不定期で続けています(^^) こちらは、ツンツンした素直じゃない、人間不信な類に、どうやって浩人が近づいていったか。出逢い編です♡ 書き始めたら楽しくなってしまい、本編より長くなりそうです(^-^; こんな高校時代を過ぎたら、Rainみたいになるのね♡と、楽しんで頂けたら。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...