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番外編
「おとまり」4
しおりを挟む「あー。やっぱ寝てた……。おばさーん、オレが起こすんで」
そんな声が遠くで聞こえてきて。
部屋のドアが閉まった。
「さーく」
ん。
「さーく、おーきーろ」
「――――……」
手がオレの頭に触れて、髪の毛をくしゃくしゃと撫でてくれる。
「……ん?」
目を開けると、ぼんやりと。
「かいせー……?」
「おう。おはよ」
寝てるオレを覗き込んでる魁星を見つけて、むくむくと起き上がる。
「おは……あれ? 今って……??」
「十五時すぎ」
「……十五時……あ。オレ、ごはん食べてから……」
「寝てたわけ? ずっと?」
「ん……」
魁星は、苦笑しながら、オレのベッドに腰かけた。
「早く来いっていったのに、何でベッドに乗ったんだよ?」
じっと見つめられて、なんでだっけ? と考えていたら。
さっきずっと考えていたことが、頭に舞い戻ってきた。
「……なんでも。ない」
ちょっと俯いて、そう呟いたら。
少し魁星が黙った。
「――――……お前、嘘つけねーんだから」
顎を掴まれて、魁星の方を向かされる。
苦笑いで、オレを見下ろす、魁星。
「何考えてんの? 朔」
「――――……何も……」
「――――……」
押さえられて、ちゅ、と唇が重なった。
「言わないともっとするぞ?」
クスッと笑う魁星に、赤面しつつ。
「――――……いいもん」
「ん?」
「――――……」
「……何、もっとしても、良いのか?」
クスクス笑って、魁星が、オレのことを至近距離で見つめる。
ドッドッと心臓の音が、うるさすぎる。
「――――……」
また、ゆっくり、唇が触れる。
「……だから、早くおいでって言ったじゃん」
はっ。
やっぱり、こういうこと、もっとする気だったのか、魁星。
……って……ど、どこまで……。
考え始めて、真っ赤になったことを自覚した瞬間。
「朔、何考えてる?」
オレの顔をなでなでとなぞりながら、魁星は笑う。
「めちゃくちゃ真っ赤……すげーな……」
オレを見る瞳は、優しくて。
めちゃくちゃドキドキしてしまう。
「――――……なー魁星……」
「うん? 何?」
よしよし、と頭を撫でて、それからまた熱い頬にも触れて、クスクス笑う。
「魁星はさ……オレが男だって、ちゃんと、分かってる?」
そう言うと、魁星は、「は?」と言って、ものすごい固まった。
……ん?
なんか、聞き方、間違った???
めちゃくちゃ見られて、思わずちょっと首を傾げた。
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