【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

文字の大きさ
上 下
797 / 838
◇希生さんちへ

「デートの行先」*優月

しおりを挟む




「あ、玲央の鯉、居た」
「すぐ見えるよな。目立つ」
「ほんとに玲央みたいだね」

 そう言うと、はは、と玲央が笑いながら、ペットボトルを「飲む?」と渡してくる。オレが受け取ると、玲央は蓋を開けて、水を煽った。

 ――――……上向いた首が、綺麗だなあと。
 絵になるなあ、と、綺麗な青空を背景に、玲央を見上げてしまう。

「ん?」

 気づいた玲央が、蓋を閉めながらオレを見下ろす。


「……なんか。カッコイイなぁ、と」
「なんだそれ」

 は、と笑って、ふに、と頬に触れられる。


「襲うよ?」

 ふ、と緩む瞳に、どき、と心臓が弾む。


「オレ、昨日からすっげー我慢してんだけど」

 すり、と頬を撫でられて、そんな風に言われると。
 ……その触れ方に、ぞく、と背筋に何かの感覚が走る。


「……今日、早めに帰ろうかな。もうじいちゃんが優月と触れ合うのは出来たと思うし。どっかデートに行ってもいいよな」

 ふ、と笑って、玲央がオレをよしよし撫でる。

「どこかデート、行きたいとこある?」
「えっ玲央とデートでしょ? いっぱいある」
「そうなの? 例えば?」
「今日行けるところ?」
「今日じゃなくてもいいよ。オレとデートしたいとこ全部言ってみな?」

「玲央はもしかしたらいっぱい行っちゃってるかなあ?」
「って、何で楽しそうなの。むしろそういうの言う時は嫌がれよ」
「えーだって。オレが今から言うの、すっごいデート、て感じのとこだから」

 ふふ、と笑ってしまうと、「いいから、言ってみ?」と、玲央が優しい。

「んとね。水族館とか、遊園地とか、美術館……はオレの趣味だけど、動物園とか、アスレチックとか……? あっ日帰り温泉とか? 映画とか。でっかい公園とか。カラオケとかは玲央のコンサートになっちゃうけど。あっ、ディズニーランドも行ってみたい」

 思いつくまま、誰かと付き合ったらデートしてみたいなーと思っていた場所あげている間、玲央は面白そうにオレを見つめていた。

「うーん、ぱっと浮かぶのはこれくらいかなー」
「いっぱい言ったな」

 クスクス笑って、玲央はまたオレの頭をなでなでしてる。

「そういうデートかぁ」

 玲央が楽しそうに笑うので、あれ? と首を傾げる。

「そういうデートって、どういう意味?」
「今までオレがしてたのは……適当に街ぶらついて買い物したり、カフェ行ったり、クラブとか……」

 とか、で何かを言いかけて、玲央が口をつぐんだのに気づいて、玲央を見上げると。

「……あーと、まあ」
「……??」
「……不健全なのは、今優月に言いたくない」

 少し困ったように言う玲央に、あ、なるほど、と頷いていると。
 むぎゅ、と抱き寄せられた。

「なるほど、とか納得すんなよ」

 苦笑交じりの玲央の声。なんか困ってる。

「――――……」

 前のことだし、別に今更そんなに困ってくれなくてもいいのにと思うんだけど。……なんかそんな感じで困ってくれる玲央が、なんか可愛い。
 ていうかそれよりも。

「オレが言ったデートって、子供っぽすぎる……??」
 
 そっちが気になってしまって、聞いてみると。
 玲央は、オレを少し離して、見下ろしてくる。


「んー……まあ、聞いてて、可愛いなと笑ってたけど」
「ですよね……」
「ただ、オレは、そっちのデートが新鮮」
「――――……」

 新鮮、なんだ。

「あんまり、行ってない?」
「行ってないな、特にテーマパーク系。グループで連れ出されたことはあるけど、二人でとかは無い」

 そうなんだ。……そっか、玲央の付き合ってたって、恋人、とかだったのは、高校の途中まで、だったんだっけ。あとは全部、そういう関係の……。なるほどー。

「……ってことはね?」
「ん?」
「玲央もあんまり、ちゃんとデートっぽいのはしてないってこと?」

 行きつくしちゃってたかと思ってたんだけど。と思いながらそう聞くと。

「してないな」
 と玲央は苦笑い。

「だから行こうな、これから、たくさんデート」
「じゃあ、玲央が行きたいと思ってくれるとこ、いこ?」

「優月が楽しそうなら、多分、オレ、どこでも平気」
「――――……」

 わー……。
 なんかもう。……嬉しすぎて困る。


 言葉を失ったオレを、玲央は、ん? とにっこり笑って見つめてくる。

 





(2024/5/14)

すぐするとは限らないんですがいつかのために。。
どこデートが最初に見たいです? もしあれば(*'▽')?
しおりを挟む
感想 790

あなたにおすすめの小説

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

偽物の僕は本物にはなれない。

15
BL
「僕は君を好きだけど、君は僕じゃない人が好きなんだね」 ネガティブ主人公。最後は分岐ルート有りのハピエン。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-

悠里
BL
高3の時、義理の弟に告白された。 拒否して、1人暮らしで逃げたのに。2年後、弟が現れて言ったのは「あれは勘違いだった。兄弟としてやり直したい」というセリフ。 逃げたのは、嫌いだったからじゃない。ただどうしても受け入れられなかっただけ。  兄弟に戻るために一緒に暮らし始めたのに。どんどん、想いが溢れていく。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

狂わせたのは君なのに

白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。 完結保証 番外編あり

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

処理中です...