上 下
794 / 825
◇希生さんちへ

【カッコいいは集まる?】*優月

しおりを挟む


 翌朝、目を開けて、見慣れない天井を見つめてから、隣に目を向ける。
 玲央はまだ眠ってた。緩く包まれたままの腕の中から、玲央を見上げる。

 昨日、曲を聞きながら眠っちゃったんだなあと、思いながら、玲央を見つめる。
 たまーに、玲央の寝顔を見れるたびに、なんだかとっても得した気分。得って変かな。でも、すごい、そんな感じ。もう何回、こうして一緒に寝てるんだろう。
  
 ……うーん。
 カッコいい。綺麗。……大好き。大好きすぎる。

 造形として、完璧……見惚れちゃうし。誰かスケッチブックをオレにください!!って思うけど、でも玲央は、起きちゃうから無理。

 睫毛、長い。綺麗。
 この瞼が開いて、玲央の瞳がオレを見てくれるとこを想像すると、勝手に、胸がきゅんとする。

「――――……」

 今日は朝ごはんの後、玲央がお茶をたててくれるって言ってたなぁ……。
 蒼くんは早めにお仕事行っちゃうって言ってたけど……。

 玲央のお父さん、お母さんには会えるかな。
 ……ってオレってば、急ぎすぎかな。

 でも、どんな感じの人なのか、見てみたいなーっていうワクワクは、なんか昨日もっと高まったんだよね……。

 特にお父さんは、希生さんの息子で玲央のお父さん……なんだもん。
 最強の遺伝子っぽい。
 見た目もそうだと思うけど、中身、絶対カッコいい気がする。

 希生さんは、おじいちゃんとしては、玲央が幸せなら応援するって言ってた。玲央のお父さんは、何ていうのかなぁ。

「――――……」

 玲央を眺めたまま、色々考えていたら、ふ、と静かに玲央が瞳を開けた。
 すぐにオレに視線が向いて、ふ、と微笑む。

「はよ、優月」
「おはよ」

 優しい笑い方。
 朝から、ほっこりだ。そう思っていると。

「なんか、朝から楽しそうだな?」
「え。そう?」
「楽しそうな顔、してた」
「んー……ちょっとワクワクしてた、かも」

 そう言うと、頬に触れた玲央が頬を摘まむ。

「わくわく? 何考えてた?」
「えーと……玲央のお父さんって、カッコいいだろうなあって」
「――――オレの親父?」
「うん。もともとさ、楽しみって言ってたけど……昨日、希生さんとたくさん話してさ、カッコいい人だなーって思って……だからよけいに、希生さんの子供で玲央のお父さん、ってなると、カッコよくない訳がないなーって思ったの。あ、見た目だけじゃなくて、中身がね。お話できるの、楽しみだなって思って」

 面白そうなものを見るような顔で、オレを見てる玲央は、オレがそこまで話し終えると、ふ、と笑った。

「優月は、じいちゃんのことカッコいいと思うんだな」
「うん。希生さんも、玲央も」
「そっか。……んー、どうだろうな。親父は……」

 少し考えた風に玲央がオレを見つめながら、ぽふぽふと頭を撫でてくる。

「蒼さんと、久先生も、カッコいいよな」

 玲央の言葉に嬉しくなって、「うんうん」と頷く。

「あれかなぁ、カッコイイ人のところって、カッコいい人が集まるのかなあ? ほら、バンドのメンバーとかさ。あ、玲央のバンドの、女社長さんたちも、カッコよかったし」
「あぁ。甲斐のおばさんたちか」
「うんうん!」

 先生と希生さんはすごく仲いいし、玲央と蒼くんもいい感じだし。
 いいなあ。心とか生き方がカッコいいのって。ん。……待てよ???

「どした?」

 多分ちょっと変な顔をしたオレに、玲央が不思議そう。

「えーと……オレってば、ちゃっかり混ぜてもらってるけど……」

 なんか大分雰囲気が違うのは、なんか自分で納得できるような。
 ふふ、と笑ってしまうと。
 玲央が、ふ、と柔らかく微笑んだ。


「優月もカッコいいよ……つか、オレは優月が、誰より強くてカッコイイと思うし」
「……んん? ん。ありがと」

 気を使わせてしまった、と思ったけど、ちゅ、と頬にキスされて、ぎゅむーっと抱き締められたので、そのまま、玲央の腕の中に埋まることにした。













◇ ◇ ◇ ◇
(2024/5/9)

今日は練乳かき氷を食べながら書いてました(*´ω`*)
あまい?(笑)(๑´ლ`๑)フフ♡
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

処理中です...