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◇希生さんちへ
【カッコいいは集まる?】*優月
しおりを挟む翌朝、目を開けて、見慣れない天井を見つめてから、隣に目を向ける。
玲央はまだ眠ってた。緩く包まれたままの腕の中から、玲央を見上げる。
昨日、曲を聞きながら眠っちゃったんだなあと、思いながら、玲央を見つめる。
たまーに、玲央の寝顔を見れるたびに、なんだかとっても得した気分。得って変かな。でも、すごい、そんな感じ。もう何回、こうして一緒に寝てるんだろう。
……うーん。
カッコいい。綺麗。……大好き。大好きすぎる。
造形として、完璧……見惚れちゃうし。誰かスケッチブックをオレにください!!って思うけど、でも玲央は、起きちゃうから無理。
睫毛、長い。綺麗。
この瞼が開いて、玲央の瞳がオレを見てくれるとこを想像すると、勝手に、胸がきゅんとする。
「――――……」
今日は朝ごはんの後、玲央がお茶をたててくれるって言ってたなぁ……。
蒼くんは早めにお仕事行っちゃうって言ってたけど……。
玲央のお父さん、お母さんには会えるかな。
……ってオレってば、急ぎすぎかな。
でも、どんな感じの人なのか、見てみたいなーっていうワクワクは、なんか昨日もっと高まったんだよね……。
特にお父さんは、希生さんの息子で玲央のお父さん……なんだもん。
最強の遺伝子っぽい。
見た目もそうだと思うけど、中身、絶対カッコいい気がする。
希生さんは、おじいちゃんとしては、玲央が幸せなら応援するって言ってた。玲央のお父さんは、何ていうのかなぁ。
「――――……」
玲央を眺めたまま、色々考えていたら、ふ、と静かに玲央が瞳を開けた。
すぐにオレに視線が向いて、ふ、と微笑む。
「はよ、優月」
「おはよ」
優しい笑い方。
朝から、ほっこりだ。そう思っていると。
「なんか、朝から楽しそうだな?」
「え。そう?」
「楽しそうな顔、してた」
「んー……ちょっとワクワクしてた、かも」
そう言うと、頬に触れた玲央が頬を摘まむ。
「わくわく? 何考えてた?」
「えーと……玲央のお父さんって、カッコいいだろうなあって」
「――――オレの親父?」
「うん。もともとさ、楽しみって言ってたけど……昨日、希生さんとたくさん話してさ、カッコいい人だなーって思って……だからよけいに、希生さんの子供で玲央のお父さん、ってなると、カッコよくない訳がないなーって思ったの。あ、見た目だけじゃなくて、中身がね。お話できるの、楽しみだなって思って」
面白そうなものを見るような顔で、オレを見てる玲央は、オレがそこまで話し終えると、ふ、と笑った。
「優月は、じいちゃんのことカッコいいと思うんだな」
「うん。希生さんも、玲央も」
「そっか。……んー、どうだろうな。親父は……」
少し考えた風に玲央がオレを見つめながら、ぽふぽふと頭を撫でてくる。
「蒼さんと、久先生も、カッコいいよな」
玲央の言葉に嬉しくなって、「うんうん」と頷く。
「あれかなぁ、カッコイイ人のところって、カッコいい人が集まるのかなあ? ほら、バンドのメンバーとかさ。あ、玲央のバンドの、女社長さんたちも、カッコよかったし」
「あぁ。甲斐のおばさんたちか」
「うんうん!」
先生と希生さんはすごく仲いいし、玲央と蒼くんもいい感じだし。
いいなあ。心とか生き方がカッコいいのって。ん。……待てよ???
「どした?」
多分ちょっと変な顔をしたオレに、玲央が不思議そう。
「えーと……オレってば、ちゃっかり混ぜてもらってるけど……」
なんか大分雰囲気が違うのは、なんか自分で納得できるような。
ふふ、と笑ってしまうと。
玲央が、ふ、と柔らかく微笑んだ。
「優月もカッコいいよ……つか、オレは優月が、誰より強くてカッコイイと思うし」
「……んん? ん。ありがと」
気を使わせてしまった、と思ったけど、ちゅ、と頬にキスされて、ぎゅむーっと抱き締められたので、そのまま、玲央の腕の中に埋まることにした。
◇ ◇ ◇ ◇
(2024/5/9)
今日は練乳かき氷を食べながら書いてました(*´ω`*)
あまい?(笑)(๑´ლ`๑)フフ♡
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