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◇希生さんちへ
「優しいのは」*優月
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喜んでいたその時、ふ、とあることに気づいた。
「あ、そっか……」
「ん?」
思わず漏らした言葉に、希生さんが聞き返してくれる。
「なんだか、いつも思ってたんですけど、玲央の仕草が綺麗なのも、お茶とか習ってたからなのかなって今思って」
「ああ。それはあるかもね。お茶は、丁寧な所作を繰り返すから」
「……希生さんも、習ってました、よね?」
「そうだね」
「久先生たちもな気がします。なんだか、指先まで綺麗ですよね」
「あぁ。久も習ってたから、多分蒼もじゃないかな」
なんか分かる気がする。
皆、本当に、綺麗に動く気がするから。
「優月くんは、習ってない?」
「はい。オレが習ってたのは……ピアノと絵で。あとは、習字とそろばんとプールは必要だからって頑張ってましたけど」
なるほどね、と笑って、希生さんが頷く。
「でも、優月くんも、物を取ったりする時、仕草が綺麗だけどね」
「……お手本だからかもです。久先生とか蒼くん。昔から、ずっと、絵を習ってる時も思ってたので……あと、最近は、ずっと玲央も」
「よく見てるね。観察する力、すごいんだろうね」
そう言ってくれる希生さんに、少し考えてから、つい苦笑してしまう。
「でもオレ、知らない人にはあんまり興味が無くて……。蒼くんには、人物描くんだからもうちょっと見ろってよく言われてて」
「ああ、そうなんだ」
クスクス笑う希生さん。
「でも、優月くんはその代わり、知ってる人のことは、すごく見てそう」
「……そう、かもです」
「いいんじゃないか? 蒼にもそう言っといたら?」
ふふ、と笑ってくれる。はい、と返事をしながら何だかすごく嬉しい。
……なんか。蒼くんの言ってることも分かるから、色々見なきゃって当たり前に思うのだけど。……こういう話をして、こんな感じで返事をくれる人。
……玲央のおじいちゃんとか、全然関係なく。
すっごく、好きだなぁ……。
玲央が、いっつも優しいのは。希生さんみたいな人と居たからかなあ。
根っこが優しいというか。
そういえば蒼くんもだ。
どんなにからかってきたり、口では色々言ってきたりしても。結局のところ優しいのは、久先生が優しいから、かなあ。
なんだかめちゃくちゃ好きな人達がここに居る気がする。
一緒に居れて嬉しいなぁ……。と、一人じーんと浸っていると。
「あ、そうだ。ピアノと言えば、ここにも置いてあるよ。弾いてくれる?」
「え、あるんですか? 希生さんが弾くんですか?」
そう聞くと、希生さんは首を振って笑った。
「ピアノは、玲央のためにあるんだよ。弾いてはないけど、年一回はちゃんと調律はしてあるから大丈夫だと思うよ」
「――――……」
玲央、あんまり帰ってないって言ってたけど。
玲央のために、ちゃんと調律してあるんだと思ったら、なんだか、またちょっと感動してしまったりする。
「あとで、玲央と、連弾、してもいいですか?」
「できるの?」
「はい。こないだ玲央と弾いたので、覚えてると思うので」
「ああ、玲央が習ってた時の楽譜もあると思う」
「ほんとですか? わー、楽しみです」
「こっちが楽しみだよ。玲央、ピアノ弾けてた?」
「弾けてたっていうか、オレよりものすごーく、上手です。リードしてもらって、ちゃんと曲になった感じで」
「ふうん……実は、色んな曲を玲央に弾いてもらいながら、お茶の時間とかにしようと夢見てたんだよね」
「じゃああとで、お茶の時間に弾きますね」
そう言うと、希生さんが嬉しそうに笑ってくれる。
「あ、そっか……」
「ん?」
思わず漏らした言葉に、希生さんが聞き返してくれる。
「なんだか、いつも思ってたんですけど、玲央の仕草が綺麗なのも、お茶とか習ってたからなのかなって今思って」
「ああ。それはあるかもね。お茶は、丁寧な所作を繰り返すから」
「……希生さんも、習ってました、よね?」
「そうだね」
「久先生たちもな気がします。なんだか、指先まで綺麗ですよね」
「あぁ。久も習ってたから、多分蒼もじゃないかな」
なんか分かる気がする。
皆、本当に、綺麗に動く気がするから。
「優月くんは、習ってない?」
「はい。オレが習ってたのは……ピアノと絵で。あとは、習字とそろばんとプールは必要だからって頑張ってましたけど」
なるほどね、と笑って、希生さんが頷く。
「でも、優月くんも、物を取ったりする時、仕草が綺麗だけどね」
「……お手本だからかもです。久先生とか蒼くん。昔から、ずっと、絵を習ってる時も思ってたので……あと、最近は、ずっと玲央も」
「よく見てるね。観察する力、すごいんだろうね」
そう言ってくれる希生さんに、少し考えてから、つい苦笑してしまう。
「でもオレ、知らない人にはあんまり興味が無くて……。蒼くんには、人物描くんだからもうちょっと見ろってよく言われてて」
「ああ、そうなんだ」
クスクス笑う希生さん。
「でも、優月くんはその代わり、知ってる人のことは、すごく見てそう」
「……そう、かもです」
「いいんじゃないか? 蒼にもそう言っといたら?」
ふふ、と笑ってくれる。はい、と返事をしながら何だかすごく嬉しい。
……なんか。蒼くんの言ってることも分かるから、色々見なきゃって当たり前に思うのだけど。……こういう話をして、こんな感じで返事をくれる人。
……玲央のおじいちゃんとか、全然関係なく。
すっごく、好きだなぁ……。
玲央が、いっつも優しいのは。希生さんみたいな人と居たからかなあ。
根っこが優しいというか。
そういえば蒼くんもだ。
どんなにからかってきたり、口では色々言ってきたりしても。結局のところ優しいのは、久先生が優しいから、かなあ。
なんだかめちゃくちゃ好きな人達がここに居る気がする。
一緒に居れて嬉しいなぁ……。と、一人じーんと浸っていると。
「あ、そうだ。ピアノと言えば、ここにも置いてあるよ。弾いてくれる?」
「え、あるんですか? 希生さんが弾くんですか?」
そう聞くと、希生さんは首を振って笑った。
「ピアノは、玲央のためにあるんだよ。弾いてはないけど、年一回はちゃんと調律はしてあるから大丈夫だと思うよ」
「――――……」
玲央、あんまり帰ってないって言ってたけど。
玲央のために、ちゃんと調律してあるんだと思ったら、なんだか、またちょっと感動してしまったりする。
「あとで、玲央と、連弾、してもいいですか?」
「できるの?」
「はい。こないだ玲央と弾いたので、覚えてると思うので」
「ああ、玲央が習ってた時の楽譜もあると思う」
「ほんとですか? わー、楽しみです」
「こっちが楽しみだよ。玲央、ピアノ弾けてた?」
「弾けてたっていうか、オレよりものすごーく、上手です。リードしてもらって、ちゃんと曲になった感じで」
「ふうん……実は、色んな曲を玲央に弾いてもらいながら、お茶の時間とかにしようと夢見てたんだよね」
「じゃああとで、お茶の時間に弾きますね」
そう言うと、希生さんが嬉しそうに笑ってくれる。
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