【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

文字の大きさ
上 下
715 / 838
◇同居までのetc

「面接?」*玲央

しおりを挟む

「そういえば、明日って、何時に希生さんのとこ、行くの?」
「十時以降ならいつでもいいってさ」
「そっか」
 優月は一生懸命巻きながら頷いて、「何時に行く予定?」と聞いてくる。

「どうせ泊るし、そんな早くなくてもいいけど」
「希生さんのお家に行くんだよね? お父さんとかは?」
「敷地は一緒。でも、じいちゃんだけ別の建物に住んでるんだよ。で、うちの両親は明日は帰りが遅いらしいよ」
「あ、そうなんだ。じゃあ会えない?」
「明日は会えないだろうな」

 そう答えると、そっかー、と言いながら、巻いた寿司を口に入れてる。
 ……ほんとなんか、可愛い食べ方。

 よしよし、と撫でると、何で撫でてるんだろうと、また不思議そうだけど。口に入ってるので何も言わず、じっと見つめられて、その瞳が緩むだけ。それがまた可愛いけどと思いながら、手を離す。

「ていうか、優月、うちの親に会いたい?」
「ん。……んー……」

 もぐもぐもぐ。
 食べ終えて、水を一口飲んでから、んー、とオレを見つめる。

「前、玲央が、長く付き合ってから話した方がいいって言ってたから……会っても、友達として、だよね??」
「んー……そうかな。まあ、じいちゃんが突然ばらさなければ」

 なんかやりそうなんだよな、と思いながら、苦笑して言うと、優月は、あは、と笑った。

「オレは、玲央のお父さんとお母さんには、会ってみたいよ。どんな人かなあって、思ってるし。会えるの、楽しみだし」
「そか……」

 楽しみ、か。
 ……まあきっと、ほんとに楽しみなんだろうな。優月だから。

 変な感じで納得していると、優月が隣で、ふふ、と笑いながら見つめてくる。

「玲央、希生さんに似てるなーって思ったけど、お父さんとかお母さんにも似てる?」
「じいちゃんに似てるって言われてきたけど、でもなんとなく似てるかもな。母さんは似てないかなあ……」
「そうなんだ。なんとなくでも似てるなら、カッコいいんだろうなー」

 無邪気に言って、笑ってる。

「うちの親に会うとしたら、緊張する?」
「うん。するかなぁ」
「だよな」
「でも、楽しみだよ?」

 無理してる風もなくにっこり笑って言うので、優月らしいなとも思うのだけど。

「優月のお母さんは、理解ありそうだったから、オレは助かったけど」
「ふふ。びっくりしたけど。……樹里にも」
「そうだな」

 BLとか言われてたっけと思い出して、ふ、と笑ってしまう。

「でもまだ、優月のお父さんには会ってないし、会う時はやっぱり緊張するかな、オレも」
「うちは平気そうな気がするけど」

 クスクス笑いながら優月が言う。

「そうだといいけどな。ただ、うちも、オレがバイなのは知ってるから、もし優月を恋人として紹介しても衝撃って感じではないと思うけど……まあなにせ、昔のオレのせいで、信用がないのが……」
「玲央……」

 優月はクスクス笑って、「そんなこと言わないでいいよ」と言いながらオレを見つめてから。

「それより、そもそもオレが気に入られなかったらどうしようーって思うと、やっぱり緊張はする」

 ドキドキだね、と優月は苦笑い。

「優月を気に入らない奴なんて居るかな」
「えーいると思うよ~」
「居ないと思うんだけど」

「実は、まだ希生さんだって、ドキドキだよ?」
「あ、じいちゃん? そうなのか?」
「そうだよ、なんか明日は、希生さんの面接受けに行く気分もちょっとあるからね」
「面接?」
「そう、可愛い孫の玲央の恋人で相応しいのかって言う」
「別に可愛いとは思ってないと思うけど」

 苦笑したオレに、「そんなことないよー、絶対可愛いと思ってるよー」と楽しそうに笑う優月。

 ……面接か。


「でもそれ言ったらさ」
「うん?」

「優月の先生と、蒼さん。オレも面接じゃねーかな」
「……あ、そうかな?」

「可愛い孫みたいな。あと可愛い弟みたいな? 面接官二人いるけど」
「ふふ。明日、ちょっと大変かなあ?」

 とか言いながらも、優月はなんだかすごく楽しそうだ。



 
しおりを挟む
感想 791

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

処理中です...