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◇同居までのetc
「いまだに」*優月
しおりを挟む寝室に行って、ベッドに腰かけたところで、玲央が「あ。ゴム忘れた」と苦笑い。
「とってくるから待ってて」
ん、と頷いて、ちょっと俯きながら玲央を見送った。
ゴム。……なんか今からします、て言ってるみたいで、いまだに普通に聞けないというか。恥ずかしいというか。
あ、でも今からするのは分かってるし、したいんだけど。何回もしてても、恥ずかしいんだよね。
もどってきた玲央が、ぽん、と枕元に箱とローションぽい入れ物を置いた。
持ってきてたんだ。と思うと。ちょっとまた恥ずかしい。
反応できないまま黙ってたら、玲央が、クスクス笑って、オレを引き寄せた。
「優月って、ゴムとかそういうの話すの恥ずかしい?」
「……」
まさに今それを考えてた。
「抱こうと思ってたから、来るとき荷物に入れてきたんだけど……持ってきたことがもう、恥ずかしいって感じ?」
玲央がそんな風に聞きながら、オレを見つめてくる。
「んー……うん」
もう正直に頷くと、玲央は、そっか、と楽しそうに笑う。
……何で楽しそうなんだろ? と思いながら、気になることを話すことにした。
「ごめんね、必要なの分かってるし。恥ずかしいとか言ってるのも変だよね?」
全部玲央に用意してもらって、ちょっと申し訳ないような気までしてきて。
少ししょんぼりで俯くと。
「え? 違うし」
玲央が意外そうな声を出して、オレの顎をつまんであげさせた。
「なんかもう……いつまでもそのまんまでもいてほしい」
クスクス笑いながら、ちゅ、と頬にキスされる。
「……?」
そのまんまって……良く分からない発言だった、今。
「……え。いいの?」
「え、何でダメだと思ってんの? べつに優月が少しずつ慣れて、恥ずかしがらなくなっても別にいいんだけどさ」
クスクス笑いながら、ちゅ、と口にキスされる。
「まだ今、本気で恥ずかしがってるとこ、もう、すげえ可愛いし」
顔や唇に、ちゅ、ちゅ、とキスがいっぱい触れてくる。
「え。……そっちなの?」
「そっちって?」
「……全部玲央に準備任せちゃってるし、なのになんか、恥ずかしいとか言っててなんか……」
「全然いいけど。つか、そっちで考えてたのか……」
そこまで言った玲央の唇が、深く重なってくる。
舌が絡んできて、ちゅ、と吸われる。
「……ン、ん……」
すぐに熱くなる息。ふ、と唇が離れて玲央を見上げると。
「ゴムとかの単語恥ずかしがるの、可愛いんだよな……」
「……」
玲央って。
……ほんと、なんでも可愛いって言ってくれる気がして、もう、すごい不思議。
「つか、高校ん時とかさ、そういうの普通に話す友達、居なかった?」
オレをベッドにゆっくり押し倒しながら、玲央が普通にそんな風に聞いてくる。
「エロい話ばっかりするような奴、居ただろ?」
「ん、居たけど……」
「どうしてたの?」
「あんまりオレには話さなかったような気がするような……少し離れたところで言ってるのは聞いたことある」
上に押し乗ってきた玲央を、ドキドキ見上げながら、そう言うと。
あーーなるほど、と玲央が笑う。
「そういう奴らも、あんまり純すぎると、言えないのか……」
玲央がクスクス笑いながら、オレの顔の横に手をついて見下ろしてくる。
「どんだけ抱いても、普段の優月はなんか綺麗なまんまだもんな」
綺麗なまんまとか言われると、なんだか良く分からないし、なんか、それもいいのかなっていう……複雑な感じで、玲央を見上げてると、ふ、と笑った玲央に、ちゅ、と頬にキスされた。
そのまま、首筋に舌が這って、ぞく、として震えると。
「――――でも今から、乱すから」
途端に雰囲気が、がらっと変わる玲央に見つめられると、息もちゃんとできてないような気がしてくる。
ドキドキして、胸が苦しい。
「いっぱい、色っぽくなって」
「……オレ、色っぽくない、よね?」
「んー。それ、後で分からせてやるよ」
くす、と笑って、玲央がそう言う。
どういう意味か分からなかったけど。
肌に触れられて深くキスされて、すぐ、何も考えられなくなってしまう。
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