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◇同居までのetc
「門外不出」*優月
しおりを挟む「我慢してる訳じゃないんだけど」
「ん」
まだ少し膨らんだまま、玲央をじーと見つめると。笑いながら玲央がオレの頬をぷにぷにと触れる。
「……オレ、もうちょっと、続けたいなーって時があってさ」
「うん……?」
「優月、もうちょっと気持ちよくさせたいなーと思うんだよな」
「え。……あの」
「ん?」
「……今で十分、ですけども……」
言ったら、玲央がきょとんとした顔でオレを見て、ぷは、と笑う。
「また敬語……」
クックッと笑いながら。
「十分?」
「……うん」
こくこくこく、頷くと、玲央は、そっかーと笑うけど。
「まあ。今度な? 眠っちゃわないように、昼間がいいかな」
何だか楽しそうな玲央に、ちょっとドキドキ。いや、かなりドキドキ。というか。ひやひやと言うか。
だってなんかいつもも精一杯なのに、もっとって何だろう。
「こんなこと言ったの、勇紀とかに言うなよ?」
「言わないよう……何て言うの」
恥ずかしすぎて言えない。
玲央も笑いながらだから完全に冗談なのはわかってるけど。
「あいつ、ほんとに優月を汚すなって思ってるからな。もー何回言われたか」
言いながら、玲央が、オレの頬をぷにぷにと摘まむ。
「まあ分からなくはねえけど。可愛いしな……」
クスクス笑いながら、玲央に引き寄せられて、密着したままベッドに転がる。オレの頬に触れてる玲央の手が、ずーっとムニムニしてくるので、じっと見上げると、ん? と微笑む玲央、
「……オレのほっぺ、好き?」
「うん。かなり」
「んー……それは知ってる気がする……」
思わず言ってしまうと、玲央が面白そうに笑った。
「ああ、バレてた?」
「うん。……それは、バレてた、かな」
クスクス笑いながら答えると、玲央もふんわり微笑んで、オレの頬から手を離したと思ったら。
「すげーかわいんだよな……」
ちゅ、と頬にキスされる。
「…………」
否定することもない気がするのだけれど、オレ、もうすぐ二十歳なんだけどなーと思いながら、玲央を見上げる。
「……すごく触るよね」
思えばいつも、さわさわ触られて、ぷにぷにつままれてるような。思わず、ふふっと笑ってしまう。
「可愛いから」
玲央にも、ふ、と笑われて。
「柔らかいのと、すべすべしてんのと……オレが触ってる時に、くすぐったそうに笑うのが、可愛い」
確かに、なんだか、くすぐったい、というか。玲央がクスクス笑いながら触ってくるから、なんだか嬉しくて、笑ってしまってはいる、気がする。
「……オレも、触ってみていい??」
ふと、そんなに違うものかなと思って聞くと、苦笑しながらも頷いてくれたので、玲央の頬に手を伸ばした。
「…………」
ぷにぷに。
……ふふ。思ったよりずっとやわらかいかも。
クスクス笑いながら、すりすりしていると、玲央はオレの手首を軽くつかんだ。ん?と見上げると。
「くすぐったいかも」
「え、なんで。もう少しさわりたいんだけど……」
手を伸ばそうとするけど、阻止される。
「だめ。それ以上触られてると、襲いそう」
「おそ……」
ぼぼ。
また赤くなったオレに、玲央が笑うけど。
「可愛いから無理」
「……また今度触らせてね」
むむむ、と思いながらそう言うと。玲央は、どーしようかなと笑う。
なんだかそこで、自分たちがしてるやりとりにふと、いまさらながらに気づいて、なんだか可笑しくなってきてしまって。
「何言ってるんだろ、二人で」
あは、と笑ってると、玲央も、楽しそうに微笑む。
「この会話、門外不出で」
「……誰に言うのー?」
二人で顔を見合わせてから、またクスクス笑ってしまう。
(2023/7/16)
◇ ◇ ◇ ◇
昨日からいっこ、新作出してます。
「いつかきっと、恋をする」
7月末までくらいの期間限定です。もうすぐ完結させますのでぜひ💗
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