上 下
667 / 825
◇同居までのetc

「門外不出」*優月

しおりを挟む

「我慢してる訳じゃないんだけど」
「ん」

 まだ少し膨らんだまま、玲央をじーと見つめると。笑いながら玲央がオレの頬をぷにぷにと触れる。

「……オレ、もうちょっと、続けたいなーって時があってさ」
「うん……?」
「優月、もうちょっと気持ちよくさせたいなーと思うんだよな」
「え。……あの」
「ん?」
「……今で十分、ですけども……」

 言ったら、玲央がきょとんとした顔でオレを見て、ぷは、と笑う。

「また敬語……」
 クックッと笑いながら。

「十分?」
「……うん」
 こくこくこく、頷くと、玲央は、そっかーと笑うけど。

「まあ。今度な? 眠っちゃわないように、昼間がいいかな」

 何だか楽しそうな玲央に、ちょっとドキドキ。いや、かなりドキドキ。というか。ひやひやと言うか。

 だってなんかいつもも精一杯なのに、もっとって何だろう。
 
「こんなこと言ったの、勇紀とかに言うなよ?」
「言わないよう……何て言うの」

 恥ずかしすぎて言えない。
 玲央も笑いながらだから完全に冗談なのはわかってるけど。

「あいつ、ほんとに優月を汚すなって思ってるからな。もー何回言われたか」

 言いながら、玲央が、オレの頬をぷにぷにと摘まむ。

「まあ分からなくはねえけど。可愛いしな……」

 クスクス笑いながら、玲央に引き寄せられて、密着したままベッドに転がる。オレの頬に触れてる玲央の手が、ずーっとムニムニしてくるので、じっと見上げると、ん? と微笑む玲央、

「……オレのほっぺ、好き?」
「うん。かなり」
「んー……それは知ってる気がする……」

 思わず言ってしまうと、玲央が面白そうに笑った。

「ああ、バレてた?」
「うん。……それは、バレてた、かな」

 クスクス笑いながら答えると、玲央もふんわり微笑んで、オレの頬から手を離したと思ったら。

「すげーかわいんだよな……」
 ちゅ、と頬にキスされる。

「…………」
 否定することもない気がするのだけれど、オレ、もうすぐ二十歳なんだけどなーと思いながら、玲央を見上げる。

「……すごく触るよね」
 思えばいつも、さわさわ触られて、ぷにぷにつままれてるような。思わず、ふふっと笑ってしまう。

「可愛いから」

 玲央にも、ふ、と笑われて。

「柔らかいのと、すべすべしてんのと……オレが触ってる時に、くすぐったそうに笑うのが、可愛い」

 確かに、なんだか、くすぐったい、というか。玲央がクスクス笑いながら触ってくるから、なんだか嬉しくて、笑ってしまってはいる、気がする。

「……オレも、触ってみていい??」

 ふと、そんなに違うものかなと思って聞くと、苦笑しながらも頷いてくれたので、玲央の頬に手を伸ばした。

「…………」

 ぷにぷに。
 ……ふふ。思ったよりずっとやわらかいかも。

 クスクス笑いながら、すりすりしていると、玲央はオレの手首を軽くつかんだ。ん?と見上げると。

「くすぐったいかも」
「え、なんで。もう少しさわりたいんだけど……」

 手を伸ばそうとするけど、阻止される。

「だめ。それ以上触られてると、襲いそう」
「おそ……」

 ぼぼ。
 また赤くなったオレに、玲央が笑うけど。

「可愛いから無理」
「……また今度触らせてね」

 むむむ、と思いながらそう言うと。玲央は、どーしようかなと笑う。
 なんだかそこで、自分たちがしてるやりとりにふと、いまさらながらに気づいて、なんだか可笑しくなってきてしまって。

「何言ってるんだろ、二人で」
 あは、と笑ってると、玲央も、楽しそうに微笑む。

「この会話、門外不出で」
「……誰に言うのー?」

 二人で顔を見合わせてから、またクスクス笑ってしまう。








(2023/7/16)
◇ ◇ ◇ ◇
昨日からいっこ、新作出してます。
「いつかきっと、恋をする」
7月末までくらいの期間限定です。もうすぐ完結させますのでぜひ💗
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

処理中です...