625 / 825
◇同居までのetc
「おやすみのキス」*玲央
しおりを挟む「優月」
そっと顎に触れると、気付いた優月が顔を上げる。
目が合うと、嬉しそうに笑うのが可愛くて、そっと、キスした。
オレを見て、ふわふわ嬉しそうに笑うとこ。
ずっとこのまま変わらないといい。
そう思いながらそっと合わせた唇から、舌を挿し入れて、優月の舌に触れる。
「……ん」
漏れる声が可愛くて、離せずに、深く絡めた。
んん、と喉の奥でくぐもる声。すぐ煽られて、もっと出させたくなる。が。
「ん、ま、って……」
優月が少し顔を引きながらそう言った。
「皆……居るし……途中、でしょ?」
「…………だな……」
はー、とため息をつきつつ、優月をぎゅ、と抱き締めてから、頬に触れて、顔を上げさせた。
「先にベッドで寝てていいから」
すり、と親指で頬を擦りながら言うと、優月は、ん、と頷いた。
「起こしていいよ」
「ん?」
「全部終わって、玲央がベッドに来たら、オレのこと起こしてくれていいから」
「――――……」
じっと見つめると、にっこり笑う優月。
「……何? 色々可愛がっていいってこと?」
「え」
「そういうお誘い?」
「ちっ……ちが」
え、の時点で違うことなんて、分かってる。
……いや、にっこり無邪気に笑ってる時点で、そんな意味がないのは、分かった。
でもわざと言ったその言葉に、優月はまた、顔を赤くした。
「皆が居るから、声出せないけど、いい?」
「…………っ」
「そういうのも、逆に興奮するか……」
分かってるのにわざと。ちゅっと頬にキスしながら、次々言い続けていると、へにゃ、と八の字眉になった優月が。
「――――……」
ちゅ、と唇にキスしてきた。
触れるだけ。数秒触れて、離れると。
真っ赤なまま、オレを見つめた。
「おやすみ、て……キスしたい」
「――――……」
「……って、思ったんだよ」
そう言いながら、また新たに、かぁぁ、と赤くなりながらそう言って、少し俯く。
つーか。オレ達、結構エロいキスしてるし、何度も何度も、抱いてるし。
……今更、おやすみのキス、とか。触れるだけのキスとか。
そんなのに照れて赤くなる優月が不思議なのだけれど。
「……可愛いなぁ、優月」
しみじみ口から洩れて、そのまま、ぎゅー、と抱き締めてしまった。そんな風に思う自分のことも不思議で、抱き締めたまま、クスクス笑ってしまう。
「じゃあ、少しだけ起こしてみる。起きたら、キスして?」
「うん」
ふふっと嬉しそうな笑い声が聞こえて。
背中に手が回って、きゅ、と抱きつかれる。
最後にもう一度キスして、優月を皆の居る部屋に連れていく。
少しだけ部屋を覗いた状態で、「さっきごめんね」と赤くなりながら謝って、三人を笑わせてる。
「だいじょぶ、おやすみ、優月ー」
「ごめんな、玲央取っちゃって」
「おやすみー」
勇紀と甲斐と颯也に送られて、優月が恥ずかしそうに頷いて、おやすみなさいと言い終えたところを、優月の肩に触れた。
「寝室まで送る」
「え。あ、大丈夫! ごめん、オレのせいで抜けさせちゃって。ここでいいよ」
珍しく少し早口で続けて一気に言うと、おやすみ、とぴゅーと足早に進んで、寝室のドアを開けると、バイバイ、と手を振った。
ん、と手を振り返すと、にこ、と嬉しそうに笑って、優月は部屋に消えていった。見送ってから、皆の部屋に入ると。
「寝室まで送るだってー 超過保護―」
「しかも断られてるし」
「ぷ、面白ぇなー?」
勇紀と颯也と甲斐がニヤニヤしながら言ってきた。
138
お気に入りに追加
5,207
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした
雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。
遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。
紀平(20)大学生。
宮内(21)紀平の大学の同級生。
環 (22)遠堂のバイト先の友人。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる