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◇同居までのetc

「ふふ」*優月

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 皆に部屋着を届けた後、シャワーを浴びにバスルームへ。
 ここでお風呂に入るの、ちょっと久しぶりだなあ、と思う。

 玲央に会って、最初の頃は、ここに来たっけ。
 ……学校でキスされて、誘われて、そのままいきなりマンションについてきて。今思い返しても、なんか不思議すぎる。よくオレ、ついてきたなあ。と、可笑しくなってしまう。

 惹かれるからって、ふらふらついてきて、セフレでもいい、とか。
 オレみたいな、何もかも初めての人が、ほんと何言ってたんだろ。

 しかも玲央だって……もともとそういうので付き合ってた人達が居たのに、オレなんか誘って、いったい何だったんだろう、とか。

 オレのことも、玲央のことも、最初の頃のことは、すごく、不思議。

 ここで、初めて玲央とお風呂、入った時。
 ほんと、ドキドキして死にそうだったっけ……。
 …………あ、ドキドキは、今もか……。

 なんだか色々思い出しながら洗い終えて、シャワーを止める。
 
 付き合うとか、一緒に住もうとか。そんな話になってからのことは、まだ、納得がいく感じ。
 大好きで大好きで一緒に居たいと思ってからのことは、オレ的には意味は、分かる。でも。玲央の方は、やっぱり不思議かなあ。オレでいいのかなあって、やっぱり少しは思うし。
 不思議なことに、オレを好きって言ってくれてるのは、今の玲央を見てる限りは、本当なんだろうな、と思えてるけど。

 オレの実家に行くとか、玲央のおじいちゃんのところに泊りに行くとか。周りの皆に話すとか。オレ達の間だけじゃなくて、周りにもどんどん回ってて、ほんとに不思議だけど。

「――――……」

 オレが玲央が好き。ていうのは、ほんと。
 玲央がオレを好きっていうのも、たぶん、ほんと。……多分って言ったら怒られるかな。
 なんとなく、ふふ、と笑ってしまう。

 髪を乾かしてから、玲央達が居る部屋のドアを少しだけ開いて中を覗くと。

「あ、お帰り、優月ー」
 たまたまこっちを向いてた勇紀が、いち早くオレに気づいて、そう言ってくれた。他の皆もこっちを見て笑う。

「皆、コーヒー飲む? 入れるけど」

 そう言うと、皆、一瞬止まって顔を見合わせてから、ありがと、よろしくーと口々に言った。

「優月、手伝う?」

 玲央が言ってくれるので、「大丈夫だよ」と笑うと。
 皆が呆れたように玲央を見た。

「何、手伝うって」
「優月に甘々すぎない?」
「今まで誰が淹れてもそんなこと言わなかったろ」

 颯也と甲斐と勇紀のセリフに、玲央が嫌そうな顔をする。

「別に優月がコーヒー淹れるのが大変だって思って言ってるんじゃねえよ」

 そう言う玲央に、勇紀が。

「じゃあ何で、手伝うとか、聞いてんの?」
「……あー、それは――――……」
「うん、それは??」

 勇紀が先を促すと。少し考えた後、玲央は。

「いや、特別ねえけど……まあ、一緒に行きたかっただけ……て感じ?」

 とか言ったので。

「もう良い、分かった。行ってきな。優月とコーヒー淹れてきて」

 と勇紀に言われて。颯也と甲斐にも、呆れたように追い出され。
 ドアが閉まって、二人になってから。


「……ま、いっか。いこ、優月」

 そんな風に言いながら、玲央はオレを見て、クスッと笑った。
 オレもまた嬉しくなって、ふふ、と笑って。うん、と頷いて、二人でキッチンに向かった。



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