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◇同居までのetc

「色っぽいって?」*優月

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「オレ、優月に色っぽいって言ったこと、ないっけ?」
「……? ない……かな? ていうか、色っぽく無いから言わないでしょ?」

 何を言ってるんだろ、玲央。

「……普段は無いけど。つか、普段は可愛いけど」
「――――……」

 そ、と頬に触れられる。

「……抱いてる時は、いつも思ってるよ」
「――――……っ?」

 いやいや。ていうか、いつも思ってるの、オレだよ。
 ……ていうか、オレのこと色っぽいとか思ってるの?? 
 そんなわけないよね……??

 全力で頭の中で否定しながらも、またまた顔が熱くなる。

「……色っぽいって思うからシてるんだし」
 玲央がふ、と笑って、そう囁く。

「…………っっっ」

 ……そんな風に言ってる玲央が、やっぱり、色っぽすぎるんだよう……!
 うー---。

「……っあの……」
「ん?」
「ピザ……作れなくなるから」
「……あ、そう?」
 玲央が可笑しそうに、オレを見下ろす。

「先、作ろう……?」
「――――……いいよ」

 ぷぷ、と笑いながら、玲央がオレを見つめるけど。
 オレは見つめ返さず、玲央が水を入れてくれた入れ物に、ジャガイモをぽいぽいと入れていく。それを見ていた玲央が、笑いながら。

「……優月がこういう話で赤くなるのが可愛くてさ」
「――――……?」
「こういう言い方でわざと言っちゃってるかも」

 そんな風に言ってる玲央に。
 ……ちょっと意地悪、とも一瞬かすめるんだけど。…………だめだ。
 優しい言い方でこんなこと言われても。全然、許せてしまう……。

「……オレのこと、色っぽいとか言ったら、きっと皆笑うんじゃないかな?」

 ふとそう思って、ちょっと笑ってしまいながら玲央に言う。
 水にさらしたジャガイモの水を捨ててレンジに入れてから、玲央はオレに視線を向けた。

「そうかな? ――――……勇紀なんかは、怒ると思うぞ」
「怒るってどうして?」
「優月を色っぽくとか言うな、汚さないで! みたいな感じなんだよな……」
「――――……」

 んん? ……よく分かんないけど。

「勇紀にとって、優月は超可愛い相手みたいだけど?」
「……あー……勇紀は、たまに可愛いって、言ってたかも。冗談でだけど」
「それがなんか冗談じゃなさそうだけど」
「……冗談だよ」
「あいつ本気で言ってるぞ、汚すなって」
「んー? 冗談だと思うけどなぁ……?」

 二人でずっと平行線。
 クスクス笑いながら。玲央が、ま、いっか、と笑う。

「ていうかオレ、別に汚されてなんかないよね?」
「――――……それ、言った」
「あ、言ったの?」
 そっか、と笑い返すと。

「汚してんじゃなくて、可愛がってるだけって言っといた」

 はは、と笑いながら、玲央がそんなことを言うけれど。

「――――……」

 それを勇紀にいえちゃう玲央がすごいのだけど。
 ……すごくないのかな? 普通なのかな? 

 と思いながら、なんか恥ずかしい。
 別にレンジを見守らなくてもいいのだけど、ずっとその前で固まっていると、玲央がふとこっちを見て笑う。

「なんでずっと見てんだ?」
「……考えてたの」

「何を?」
「勇紀にそれ言うのって、恥ずかしくなかったのかなあって」
「何で?」
「だって……」

 可愛がってんだよ、とか。
 ……だって、汚すとかってそういう意味でしょ? 汚してんじゃなくて、可愛がってるって、そういう意味のこと、だよね??

 うぅ。恥ずい……。
 いやでも、玲央は恥ずかしくなさそうだけど……。

「それ言った時って、勇紀は何て??」

 そう聞くと、玲央は、ん? と眉を寄せてる。
 どうだったかなあと言いながら、玲央はピザ生地の上に、シラスとチーズをばらまいた。

「……ああ、なんか、ぽけっとした顔してるから、置いてったような気がするな。ちゃんとは何も言ってなかったな」
「――――……なるほど」
 ああ、なんか、その光景が、目に浮かぶよな気がする。
 口元に手をあてて、オレは苦笑い。

「なるほどって……納得したのか?」
「んー……何か、その時の勇紀の顔が見えるみたいな気が……」
「そう?」
「うん」

 まあいつも通りだけどな、と玲央が笑う。

「なあ、優月、小葱はどれくらいがいい? もっと入れるか?」
「ん。……それくらいでいい。美味しそう」

 ちょうどレンジの温めも終わって、そのまま、オーブンの予熱を開始。
 マヨネーズを塗った生地にじゃがいもと玉ねぎと、切ったウインナーを並べて、チーズをのせる。

「今度時間がある時は、生地から作ろうな?」
「うん、そうだね。いっぱい作ってさ、それで」
「誰か呼ぶ?」

 玲央に続きの言葉を付け足されて、うんうん、頷く。

「あ。でも、ここに人、呼んでいいの?」
「別に、向こうで用足りてたから呼ばなかっただけで……料理するなら、こっちだな」
「じゃあ、今度皆で、ピザパーティしようね」

 楽しそうだなあ。

「具材、おいしそうなの見つけとこうね」
 そう言うと、玲央が、ん、と頷いた。



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