【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

文字の大きさ
上 下
536 / 838
◇同居までのetc

【番外編】「ある夏の日」2/2 ※

しおりを挟む
 

 少し離れた玲央の首に腕を回して、オレは、ぐい、と引いた。

「優月?――――……」

 ちゅ、とキスして。
 玲央を見つめてから、またキスする。


「――――……ありがと、玲央」

 少し唇を離してそう言ったら。すぐに、玲央の方から、深く塞がれて。


「っん……――――……ン、う……っ……」

 
 後頭部を押さえられて、玲央に押し付けられるみたいな感じで、めちゃくちゃ、激しいキス。


「ん、ふ……っ……ぁ」

 舌、噛まれて、ぞくん、と震えると。
 玲央が、そっと、キスを離した。


「……ホテル、いこ。あそこの」
「…………ホテル……? あそこ……?」

 ぽー、としながら、玲央の指さしたほうを見ると。
 少し離れた所に、煌々と明るい、大きな建物。


「あのホテル、予約したから。泊まろ。温泉入ろうぜ」
「――――……え? そ、なの??」

「そ。風呂入って、続きしよ。立てる? 優月」

 玲央が立ち上がって、オレに手を差し出してくれる。

「うん、まだ、立てる」
「まだ……」

 クスクス笑いながら、玲央の手を掴んだオレを立たせてくれて。
 また手を繋いだまま、歩き出した。


「朝のバイキング、うまいってさ」
「そうなの?」

「食べたら、また湖来て、デートしような?」
「うんうん」

 コクコクコクコクたくさん頷くと、玲央が、頷きすぎ、と笑う。


「――――……でもチェックアウトは、遅い時間にしといたから」
「ん?」

「今夜は付き合って」
「――――……」


 ぼぼ。と。熱が顔に一瞬で上がる。


 またまた、顔から、湯気が出そう。ていうかもう、出てるんじゃないかな、と思いながら。
 うん、と頷くと。

 繋いだ手を、親指で、すりすりされる。
 

「――――……」

 玲央を見上げると。
 すぐにオレを見下ろして、優しく笑う。


 もう、この、笑顔が、大好きすぎて。
 きゅん、て、するんだけど。胸の奥が、ほんとに。

 じっと見つめ続けていると。
 ちゅ、と、側頭部辺りに、キスされて。



「――――……オレ、お前に見上げられるの、すげー好き」

 クスクス笑う玲央。


「おかしいかなって位、可愛く見える」


 なんだかとってもゆっくりした口調でそんな風に言って、繫いだ手をすこし引かれて、すごく密着してる感じで、のんびり歩く。


「……静かだな」
「ん……」


「たまにはいいよな、静かで暗いとこ」
「うん……」

 ……前なら、玲央みたいな人には、こんな場所はちょっと似合わないなあとか思ったかもしれないけど。
 ……というか、派手でオシャレなとこが似合うっていうのは、きっと今も変わっていないんだけど。


「――――……なんか、玲央と、ふたりきりみたいだね」


 きゅ、と手を握って、玲央を見上げると。
 微笑む唇が近づいてきて、優しく、キスされる。

 見つめ合って、微笑み合って。
 それからまた、ゆっくり歩き始める。

「――――……来週、花火の絵、描くね」

 ふと思って言うと、玲央はオレを見下ろして、なんだかとっても嬉しそうに笑うと、ん、と頷いてくれた。


◇ ◇ ◇ ◇


 月明かりの中をゆっくり歩いてホテルについて、温泉に入った。
 部屋で軽食を頼んでくれて、一緒に少し食べたところで、玲央に抱き上げられて、ベッドに連れてこられた。


 いつもと違うライトの感じ。
 オレの上に居る玲央の体、すごく綺麗に見えて。

 それだけでも恥ずかしいし、体の奥が、きゅう、と苦しくなる。


「……っん、ぁっ……」

 中が、熱くて。
 擦られて、突かれて、気持ちよすぎて、声が上がる。

 自然と腰が揺れて――――……もっと、と、ねだってるみたいで。
 恥ずかしいけど。


「……かわいすぎ、優月――――……」

 熱っぽい声で、耳元で囁かれて、舌が入ってきて。


「ん、んんっ……は……ぁ、んっ」


 イッちゃうの――――……オレばっかな気がして。


「……れ、お……」

 ぎゅ、と抱き付いて。
 キスを、交わす。


「……好き……れお」

 もう泣きながら、そう言ったら。
 玲央はふ、とオレと瞳をあわせて笑うと、ぐい、と更に奥まで入ってきた。


「――――……っあ……っ」

 声も出なくて。
 ぎゅう、としがみつく。


「……ゆづき、おいで」

 腕を取られて、体勢を変えられて。
 座る玲央の上に乗せられるみたいな感じ。つながったまま、向かい合って、真正面から、見つめられる。

 なんか、中もいつもと違う感じだし、真正面すぎてちょっと恥ずかしいし。
 どうしよう、と思っていたら、深く、口づけられた。


「ん、……ん……っ」


 舌を奪われて、下からも刺激されて。頭が真っ白。
 ただただ、気持ち良い中で。

 玲央に、しがみついていた。


◇ ◇ ◇ ◇



「――――……」


 ……例によって、例のごとく。
 またまた、寝落ちたオレは、玲央の腕の中に、居た。

 それに気づく前に少しだけ動いてしまってたみたいで。
 玲央が、オレの頬に触れてくる。

「……起きた?」

 玲央の声。

「……うん」

 見上げると、玲央が、くす、と笑ってる。

「水飲んで」
「ん」

 枕元に置いててくれたペットボトルを渡してくれて、起き上がって飲むと。
 飲み終えたところで、玲央がオレを抱き寄せた。

「……まだ眠いだろ?」
「……うん」

 ぎゅ、と抱き締められる。

「――――……デートだからな?……いっぱい寝といて」

 クスクス笑う玲央に、オレも、ふふ、と笑いながら頷いた。
 触れてる顔に、額で、すりすりくっついてしまう。

「……だいすき、れお」
「――――……こっちのセリフ……」

 クスクス笑う声が重なって。
 そのままゆっくり、眠りについた。




 いつもとおんなじ、幸せな。
 ある夏の日の夜。

 

 





-Fin-







(2022/10/20)
番外編おしまい♡
しおりを挟む
感想 790

あなたにおすすめの小説

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。 「ケイラ…っ!!」 王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。 「グレン……。愛してる。」 「あぁ。俺も愛してるケイラ。」 壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。 ━━━━━━━━━━━━━━━ あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。 なのにー、 運命というのは時に残酷なものだ。 俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。 一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。 ★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生1919回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)

かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。 はい? 自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが? しかも、男なんですが? BL初挑戦! ヌルイです。 王子目線追加しました。 沢山の方に読んでいただき、感謝します!! 6月3日、BL部門日間1位になりました。 ありがとうございます!!!

処理中です...