【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇同居までのetc

【番外編】「ある夏の日」2/2 ※

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 少し離れた玲央の首に腕を回して、オレは、ぐい、と引いた。

「優月?――――……」

 ちゅ、とキスして。
 玲央を見つめてから、またキスする。


「――――……ありがと、玲央」

 少し唇を離してそう言ったら。すぐに、玲央の方から、深く塞がれて。


「っん……――――……ン、う……っ……」

 
 後頭部を押さえられて、玲央に押し付けられるみたいな感じで、めちゃくちゃ、激しいキス。


「ん、ふ……っ……ぁ」

 舌、噛まれて、ぞくん、と震えると。
 玲央が、そっと、キスを離した。


「……ホテル、いこ。あそこの」
「…………ホテル……? あそこ……?」

 ぽー、としながら、玲央の指さしたほうを見ると。
 少し離れた所に、煌々と明るい、大きな建物。


「あのホテル、予約したから。泊まろ。温泉入ろうぜ」
「――――……え? そ、なの??」

「そ。風呂入って、続きしよ。立てる? 優月」

 玲央が立ち上がって、オレに手を差し出してくれる。

「うん、まだ、立てる」
「まだ……」

 クスクス笑いながら、玲央の手を掴んだオレを立たせてくれて。
 また手を繋いだまま、歩き出した。


「朝のバイキング、うまいってさ」
「そうなの?」

「食べたら、また湖来て、デートしような?」
「うんうん」

 コクコクコクコクたくさん頷くと、玲央が、頷きすぎ、と笑う。


「――――……でもチェックアウトは、遅い時間にしといたから」
「ん?」

「今夜は付き合って」
「――――……」


 ぼぼ。と。熱が顔に一瞬で上がる。


 またまた、顔から、湯気が出そう。ていうかもう、出てるんじゃないかな、と思いながら。
 うん、と頷くと。

 繋いだ手を、親指で、すりすりされる。
 

「――――……」

 玲央を見上げると。
 すぐにオレを見下ろして、優しく笑う。


 もう、この、笑顔が、大好きすぎて。
 きゅん、て、するんだけど。胸の奥が、ほんとに。

 じっと見つめ続けていると。
 ちゅ、と、側頭部辺りに、キスされて。



「――――……オレ、お前に見上げられるの、すげー好き」

 クスクス笑う玲央。


「おかしいかなって位、可愛く見える」


 なんだかとってもゆっくりした口調でそんな風に言って、繫いだ手をすこし引かれて、すごく密着してる感じで、のんびり歩く。


「……静かだな」
「ん……」


「たまにはいいよな、静かで暗いとこ」
「うん……」

 ……前なら、玲央みたいな人には、こんな場所はちょっと似合わないなあとか思ったかもしれないけど。
 ……というか、派手でオシャレなとこが似合うっていうのは、きっと今も変わっていないんだけど。


「――――……なんか、玲央と、ふたりきりみたいだね」


 きゅ、と手を握って、玲央を見上げると。
 微笑む唇が近づいてきて、優しく、キスされる。

 見つめ合って、微笑み合って。
 それからまた、ゆっくり歩き始める。

「――――……来週、花火の絵、描くね」

 ふと思って言うと、玲央はオレを見下ろして、なんだかとっても嬉しそうに笑うと、ん、と頷いてくれた。


◇ ◇ ◇ ◇


 月明かりの中をゆっくり歩いてホテルについて、温泉に入った。
 部屋で軽食を頼んでくれて、一緒に少し食べたところで、玲央に抱き上げられて、ベッドに連れてこられた。


 いつもと違うライトの感じ。
 オレの上に居る玲央の体、すごく綺麗に見えて。

 それだけでも恥ずかしいし、体の奥が、きゅう、と苦しくなる。


「……っん、ぁっ……」

 中が、熱くて。
 擦られて、突かれて、気持ちよすぎて、声が上がる。

 自然と腰が揺れて――――……もっと、と、ねだってるみたいで。
 恥ずかしいけど。


「……かわいすぎ、優月――――……」

 熱っぽい声で、耳元で囁かれて、舌が入ってきて。


「ん、んんっ……は……ぁ、んっ」


 イッちゃうの――――……オレばっかな気がして。


「……れ、お……」

 ぎゅ、と抱き付いて。
 キスを、交わす。


「……好き……れお」

 もう泣きながら、そう言ったら。
 玲央はふ、とオレと瞳をあわせて笑うと、ぐい、と更に奥まで入ってきた。


「――――……っあ……っ」

 声も出なくて。
 ぎゅう、としがみつく。


「……ゆづき、おいで」

 腕を取られて、体勢を変えられて。
 座る玲央の上に乗せられるみたいな感じ。つながったまま、向かい合って、真正面から、見つめられる。

 なんか、中もいつもと違う感じだし、真正面すぎてちょっと恥ずかしいし。
 どうしよう、と思っていたら、深く、口づけられた。


「ん、……ん……っ」


 舌を奪われて、下からも刺激されて。頭が真っ白。
 ただただ、気持ち良い中で。

 玲央に、しがみついていた。


◇ ◇ ◇ ◇



「――――……」


 ……例によって、例のごとく。
 またまた、寝落ちたオレは、玲央の腕の中に、居た。

 それに気づく前に少しだけ動いてしまってたみたいで。
 玲央が、オレの頬に触れてくる。

「……起きた?」

 玲央の声。

「……うん」

 見上げると、玲央が、くす、と笑ってる。

「水飲んで」
「ん」

 枕元に置いててくれたペットボトルを渡してくれて、起き上がって飲むと。
 飲み終えたところで、玲央がオレを抱き寄せた。

「……まだ眠いだろ?」
「……うん」

 ぎゅ、と抱き締められる。

「――――……デートだからな?……いっぱい寝といて」

 クスクス笑う玲央に、オレも、ふふ、と笑いながら頷いた。
 触れてる顔に、額で、すりすりくっついてしまう。

「……だいすき、れお」
「――――……こっちのセリフ……」

 クスクス笑う声が重なって。
 そのままゆっくり、眠りについた。




 いつもとおんなじ、幸せな。
 ある夏の日の夜。

 

 





-Fin-







(2022/10/20)
番外編おしまい♡
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