上 下
527 / 825
◇同居までのetc

「勝てない」*優月

しおりを挟む

 ベッドに組み敷かれて、玲央がオレにキスをする。

「――――……ん……」

 オレが、するのとは、全然違う。
 息も、出来ない位。熱い。

「……ん……んん……っ」

 どうやって――――……やってんの……。
 舌が、めちゃくちゃ動いて、その触れ方が……なぞるだけで、ぞくっと震えて。どうして、こんなに、気持ちいいんだろ……。


「……ん、ふ……っぁ……」

 手が、服の中に滑り込んで、脇腹の辺りに触れる。そのまま肌の感触、確かめるみたいに――――……。


「……ッ……くす、ぐっ ……ん……っ」

 なぞられて、くすぐったくて、訴えようとした唇をまた塞がれる。
 ――――……気持ちよすぎて。……無理。


「……ッ……」

 ……あれ。……ダメじゃない? これ……。
 ……これじゃいつまでたっても、オレ、上手になれないし……。

 全部玲央にしてもらって、全部気持ちよくしてもらってとか……。


「んん……ん、れお……」

 首を振って、少し、キスが離れた隙に、玲央を見上げる。

「――――……ん? 何?」

 玲央がクスッと笑いながら、オレの頬に手を添える。

「……オレ、練習……」
「――――……練習?」

「……上手になりたいから……」

 玲央は、きょとんとした顔でオレを見ていたけれど、ふ、と優しく笑って。
 ……いや。なんかちょっと、悪戯っぽく、笑って。

 すごく楽しそうに、オレを見た。

「……何を練習したい? 優月」

 頬に触れたまま、オレの唇を、ぷに、と潰す。

「――――……あーでも、なあ……」
「……?」

 玲央が二ヤ、と笑いながら、オレをじっと見つめる。

「……オレ、昨日からずーっと我慢、してたから。ちょっと限界かも」

 そう言った玲央の、瞳が。
 ものすごく。熱っぽくキラキラしてる。……ようにしか、見えない。

「練習は、また今度でもいい? 今日は、オレがめちゃくちゃ、したいんだけど」
「――――……っ……」
 
 ……無理だ。勝てない。
 こんなの。だめなんて、言えるわけ……。

 さっきからドキドキしてたけど、またバクバク言い始めた心臓が痛い……。


「――――……」

 玲央の首にゆっくり手をかけて、そうっと近づく。

「玲央、あの…………お……」
「お?」

 至近距離で、玲央が、オレを見下ろして、面白そうに首を傾げている。

「お願いします……」

 何だか思わず、そう言ってしまった。
 なんか今日も、玲央にしてもらっちゃうのかなと思ったらついつい。

「――――……」

 玲央が、何秒か固まって。
 それから、笑っちゃいけないと思ったのか知らないけど、握った手で口を隠して、ちょっと咳き込んでる。

「……玲央、笑ってる?」
「いや――――……笑って、ない。ちょっと咳……」

 言いながら、なんかもう我慢できなくなったのか、クックッと笑ってる。

「――――…………」

 言わなきゃよかった……。
 ちーんと後悔してるオレの上に居る玲央が、やっと笑いを収めてくれた……かと思うと、自分の前髪を掻き上げて、オレを見下ろす。

「……なんでそんな、可愛いかなぁ……」

 そんなこと、言いながら――――……なんだかめちゃくちゃその気になっている、ような……?? あんなに笑ってたのに、何で……?


「めちゃくちゃ、泣かせていい?」
「…………っ」

 玲央の手が、首筋から肩を通って、胸に滑る。
 ゾク、として、あ、と声が漏れて。

 触られただけなのにと、恥ずかしくなって、口を押えたら。

「……いいよな?」

 その手を掴まれて、両手、ベッドに括られる。


 ――――……この世で、一番。
 色っぽい人だと、思ってしまう。
 

「あー、なんか……ヤバいなぁ、優月……可愛すぎて」

 
 ちゅ、とキスされて――――…… 少し玲央が笑った気配がして。
 それから、深く、唇が重なってきた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

処理中です...