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◇同居までのetc
「特別も」*優月
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そこに双子が走ってきて。
「玲央くんサインして!」
「してして!」
一樹と樹里がそれぞれ何かを持って、現れた。
笑ってしまったおかげで、泣きそうな気分は吹き飛ぶ。ありがと、二人とも、と思いながら。
「何持ってきたの?」
見ると、ちゃんと色紙と油性マジックで。「よくあったね」とまた笑ってしまうと、二人、満面の笑顔。
「春に買ったのが残ってたの! 使わないからって捨ててなくてよかったー」
樹里が笑う。
「良いよ。貸して」
クスクス笑いながら、玲央が二人の色紙にそれぞれサインしてくれる。
「大事にしてね? 外持ち歩かないことー」
オレがそう言うと、二人はうんうん、と頷く。
「うん、家で大事にするー」
色紙を抱えてる二人を見て、玲央がまた笑う。
「……優月に似てる」
笑いながら言われて、え、と玲央を見る。
「似てる? あんまり言われたことないんだけど」
「似てる。……と思うけどな」
またクスクス笑われて。そうかなあと首を傾げてると、母さんが笑い出した。
「似てるよ。優月の影響、ばっちり受けて育ったからね。でも、年が離れてるから、することも言うことも違うし、あんまり似てるとは言われないんだけど……」
「……え、母さん、似てると思ってたの?」
「うん。思ってるよ。というか、似てないと思ってたの? って方にびっくりだけど」
ふふ、と笑って、オレと双子たちを見比べて母さんが言う。
「……似てるかな?」
一樹と樹里に聞くと、「えー、わかんない」と、またかぶった返事が返ってくる。「そうだよね」と笑ってしまった。
それからしばらく、学校のことや、ライブに行ったこととかを母さんに色々話した。
玲央は双子に連れていかれて、なんだかあれこれ楽しそうに話してたけど。
「なんだかすっかり懐いちゃってるね」
「うん。そだね……」
母さんが笑いながら見てる方向、三人の姿を見てから、時計を確認。そろそろ帰ろうかなと思って――――……話したかったことを、言うことにした。
「あのね、母さん」
「ん?」
「今、借りて貰ってるマンションなんだけど……」
「ん」
「あれって、すぐ、解約できる?」
「解約?」
「うん。あのね玲央も一人暮らししてて……一緒に住もうって話になってて」
「ふーん……そうなんだ。一緒にか~……」
「うん。そうなの……」
どうしよう、なんか、別にこんなのも、普通のことの筈なんだけど。
……大きな隠し事をしてるから、ちょっと心臓がバクバクしてる。
「ほんとに仲いいのね」
「……うん」
「……珍しいね、優月」
母さんがクスクス笑う。
「珍しい?」
「――――……えーと……なんだろ。優月は誰とでも仲良くなれるし。友達も多いし。ほんと、皆と楽しくすごせる子だったんだけど……」
「……うん?」
「特別、て、あんまりなかった感じがしてたのよね。一樹と樹里が特別って感じはあったけど……大好きで仲のいい人がいっぱい居るって感じだったっていうのかな。まあ智くんと美咲ちゃんはちょっと特別感あったけど……」
「――――……」
「一緒に暮らしたいほど、玲央くんが特別ってことでしょ? なんか少し、珍しいなって、思って」
「――――……」
「ん、でもいいことだと思う。……特別もあり、だよね」
「……うん」
そういわれてみると――――……そうかも。
皆好きで、皆と楽しくて、皆と笑ってが大好きだったんだけど……。
……こんなに、一人の人とずっと居たいとかは……初めてかも。
「……うん。なんかね。ほんとにすごく、好き、なんだよね……オレ」
「――――……ふうん?」
クスッと笑われて、あ、と気づく。
今、好きとか思いっきり、言っちゃった。
……大丈夫、かな……? ……大丈夫だよね、今友達が大好きって話、してたんだし……。
そう思って、ちょっとドキドキ、母さんを見てる時。
雰囲気に気づいたのか、玲央が、双子から離れて、オレの隣に立った。
「玲央くんサインして!」
「してして!」
一樹と樹里がそれぞれ何かを持って、現れた。
笑ってしまったおかげで、泣きそうな気分は吹き飛ぶ。ありがと、二人とも、と思いながら。
「何持ってきたの?」
見ると、ちゃんと色紙と油性マジックで。「よくあったね」とまた笑ってしまうと、二人、満面の笑顔。
「春に買ったのが残ってたの! 使わないからって捨ててなくてよかったー」
樹里が笑う。
「良いよ。貸して」
クスクス笑いながら、玲央が二人の色紙にそれぞれサインしてくれる。
「大事にしてね? 外持ち歩かないことー」
オレがそう言うと、二人はうんうん、と頷く。
「うん、家で大事にするー」
色紙を抱えてる二人を見て、玲央がまた笑う。
「……優月に似てる」
笑いながら言われて、え、と玲央を見る。
「似てる? あんまり言われたことないんだけど」
「似てる。……と思うけどな」
またクスクス笑われて。そうかなあと首を傾げてると、母さんが笑い出した。
「似てるよ。優月の影響、ばっちり受けて育ったからね。でも、年が離れてるから、することも言うことも違うし、あんまり似てるとは言われないんだけど……」
「……え、母さん、似てると思ってたの?」
「うん。思ってるよ。というか、似てないと思ってたの? って方にびっくりだけど」
ふふ、と笑って、オレと双子たちを見比べて母さんが言う。
「……似てるかな?」
一樹と樹里に聞くと、「えー、わかんない」と、またかぶった返事が返ってくる。「そうだよね」と笑ってしまった。
それからしばらく、学校のことや、ライブに行ったこととかを母さんに色々話した。
玲央は双子に連れていかれて、なんだかあれこれ楽しそうに話してたけど。
「なんだかすっかり懐いちゃってるね」
「うん。そだね……」
母さんが笑いながら見てる方向、三人の姿を見てから、時計を確認。そろそろ帰ろうかなと思って――――……話したかったことを、言うことにした。
「あのね、母さん」
「ん?」
「今、借りて貰ってるマンションなんだけど……」
「ん」
「あれって、すぐ、解約できる?」
「解約?」
「うん。あのね玲央も一人暮らししてて……一緒に住もうって話になってて」
「ふーん……そうなんだ。一緒にか~……」
「うん。そうなの……」
どうしよう、なんか、別にこんなのも、普通のことの筈なんだけど。
……大きな隠し事をしてるから、ちょっと心臓がバクバクしてる。
「ほんとに仲いいのね」
「……うん」
「……珍しいね、優月」
母さんがクスクス笑う。
「珍しい?」
「――――……えーと……なんだろ。優月は誰とでも仲良くなれるし。友達も多いし。ほんと、皆と楽しくすごせる子だったんだけど……」
「……うん?」
「特別、て、あんまりなかった感じがしてたのよね。一樹と樹里が特別って感じはあったけど……大好きで仲のいい人がいっぱい居るって感じだったっていうのかな。まあ智くんと美咲ちゃんはちょっと特別感あったけど……」
「――――……」
「一緒に暮らしたいほど、玲央くんが特別ってことでしょ? なんか少し、珍しいなって、思って」
「――――……」
「ん、でもいいことだと思う。……特別もあり、だよね」
「……うん」
そういわれてみると――――……そうかも。
皆好きで、皆と楽しくて、皆と笑ってが大好きだったんだけど……。
……こんなに、一人の人とずっと居たいとかは……初めてかも。
「……うん。なんかね。ほんとにすごく、好き、なんだよね……オレ」
「――――……ふうん?」
クスッと笑われて、あ、と気づく。
今、好きとか思いっきり、言っちゃった。
……大丈夫、かな……? ……大丈夫だよね、今友達が大好きって話、してたんだし……。
そう思って、ちょっとドキドキ、母さんを見てる時。
雰囲気に気づいたのか、玲央が、双子から離れて、オレの隣に立った。
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