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◇同居までのetc

「新鮮」*優月

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 公園は、真ん中にグランド、その周りを広めの歩道が取り囲んでいて、大きな樹がたくさん植えられていた。
 スポーツセンターもあって、遊具のある公園もあるので、歩いている人はかなり多い。

「すごい、人たくさん」
「だな。土曜の午後だしな」

 結構賑やか……。
 あたりを見回しながら歩いてると、玲央がオレをふ、と見つめる。

「午後、何してた?」
「んーと……あ、本読んでた。その前にシチュー作ったよ」
「夕飯?」
「うん。玲央、フランスパンでいい? お昼もサンドイッチだったから、ご飯の方が良かったら炊くけど」
「シチューはパンかな……別にオレ、パンが続いても、なんでも平気」
「ん、分かった。一緒に食べれる?」

「帰ったらシャワー浴びて、夕飯一緒に食べる。で、夜はキリのいいとこまでやることにする」
「良かった、一緒に食べれるんだね」

 結局三食一緒に食べれそう。良かった。
 ふふ、と笑っていると、玲央がオレを見つめる。


「……終わったら、めいっぱい構うから」

 クスクス笑う玲央を見上げて。笑ってしまう。

「結構構って貰ってると思うんだけどな」
「そう? オレは、優月不足だけど」
「え。そうなの?」
「ん」

 ……そうなんだ、オレ不足……。
 …………オレ不足って何……?と、おかしくなるけど。
 オレがさっき玲央を充電したって言ってたのと、同じかな。

 色々話をしながら、外周の半分くらい歩き進めたところに、噴水のある池があって、池のまわりにベンチが置かれていた。休憩スペース、みたいな気がする場所。
 キッチンカ―みたいなのも停まってて、売店もあるし、より人が多い感じがする。


「優月、お茶買ってくる。何がいい?」
「んと……麦茶がいいな」
「OK、どっか座ってて」

 玲央が、そう言ってオレから離れて売店に行くので、空いてるベンチに腰かけた。

「――――……」

 池の周りで、小さな子達が楽しそうに遊んでる。
 可愛いな……。

 ――――……今度、スケッチブック持ってきて、噴水の絵、描いてみよう。
 綺麗だなあ。しぶきが、太陽に、キラキラしてる。

 もっと陽が高い時間なら、もっと、綺麗かもしれない。

 景色を見つめていると、玲央が戻って来た。

 お茶と一緒に手に持っているのは。

「あれ。アイス、買ったの?」
「ん、食べるだろ?」
「食べるー! ありがと」

 アイスのカップを受け取って「玲央のは無いの?」と聞くと、玲央はオレの隣に腰かけながら、スプーンを渡してくる。

「優月に貰う」

 言いながら、麦茶を、ベンチに置いてくれる。

「チョコミントとバニラと、もいっこは何?」
「コーヒーにしたよ」

 お茶を飲みながら、玲央が答えてくれる。

「どれ食べたい?」
「んー。ミントかな」
「ん……」

 スプーンでチョコミントをすくって、玲央の口に、ぱく、と食べさせる。

「……おいしい?」
「ん」

 クス、と笑って、玲央が頷く。
 玲央に食べさせるって、新鮮で。ちょっとウキウキしてしまう。

「もっと食べる?」
「いや、もう――――……」

 言いかけた玲央が、オレの顔を見て、ぷ、と吹き出した。

「え、何?」
「……いや――――…… もう一口、ちょうだい」
「ん!」

 急いですくって、玲央の口に。
 食べ終えてから、玲央がオレを見て、楽しそうに笑った。


「オレに食べさせるの、楽しい?」
「え。……あ、うん……ちょっと新鮮、って思った」

 言うと、玲央は、ふ、と笑って、オレの頭をクシャクシャした。

「もういらないって言いかけたら、しょんぼりした顔すんだもんな……ほんと、可愛い」


 しょんぼり? してたかな?
 んー。
 ……確かにしたかもしれないけど。そんなに笑われると、ちょっと恥ずかしいけど。



 でもなんか。
 
 楽しそうな玲央、見てるだけで、楽しい。
 


「……優月と居るとさ」
「?」



「オレ、一生、笑ってられそうな気がする」




 なんか、すごく嬉しいことを言いながら、玲央が、クスクス笑ってる。

  
 
 


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