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◇同居までのetc

「任せて」*優月

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 翌日は、土曜日。玲央と過ごす、予定のない週末。
 玲央の腕の中で、目が覚めた。

「……おはよ、優月」
 ちょっと覗く感じでオレを見て、頬に触れてくる。

「おはよ……」

 朝から……カッコ良すぎるんですけど……なぜ朝から、そんなにさわやかなのかな……オレ寝ぼけすぎじゃない……? 大丈夫かなと思いながら、腕の中から玲央を見上げた。

「……何時?」
「八時位」

「……玲央、ここに居てくれたんだね」

 そう言うと、玲央がクスクス笑いながら、オレをぎゅ、と抱き締めた。


「学校だと用意あるけど――――……今日はな……?」

 抱き締められるので、自然と、手が玲央の後ろに回って、そのままきゅ、と抱き付く。


「――――……」


 ……玲央の心臓の音がする。

 ――――……はあ。幸せすぎる……。

「……きもちいい……」
「ん?」

 玲央がクスクス笑って、オレの髪をよしよしと撫でてる。

「気持ちいいのか?」
「……うん……」

 起きたばかりなのに、ウトウトしてしまいそう。


「……ずーっとこうして一日過ごすってのも、今度してみるか?」

 玲央の笑み交じりの提案に、笑いながら頷く。

「――――……あは。いいね……」

 めちゃくちゃ幸せ過ぎて、だらけすぎちゃいそうだけど……。
 思いながら、玲央の腕に埋まっていると。


「あ、なあ、優月」
「うん……?」

「今日明日、なんだけどさ……」
「うん?」

 頭の上で、心地の良い声。

 
「オレ、曲作ってて良い?」
「……曲?」

「ん、曲」

 むく、と玲央の腕の中から起き上がる。

「もちろん、いいよ? どうして聞くの?」
「んー……曲作ってる時、あんま、構ってあげられないから」

 優しい手が、頬に触れる。
 なんだ、そんなことか、と思って、にっこり笑う。


「全然いいよ? というか、オレ、家に居ない方がいい?」
「――――……」

 クス、と笑われて、玲央の両手がオレの頬をぷにぷにつまむ。

「玲央?」
「家に居て?――――……ただちょっとヘッドホンして集中しちまうからって、話」

 その言葉に少し考える。
 集中してるってことは、居ても気にならないってことかな?

「……えーと……オレ、邪魔にはならない?」
「なんない。……つか、優月がつまんなかったら、遊びに行ってくれてもいいけどな」

 そう言われて、ブンブン首を振った。

「大丈夫。そういうのって、どれくらい続けてやるの?」
「んー……とりあえず土日、でやってみる」
「ずっと?」
「たまに気分転換入れながらだけど……ずっとかな」

「ん、分かった! じゃあオレ、ご飯作ったりするね。全部任せて、玲央は頑張ってね」

 張り切ってそう言うと、玲央は、ふ、と笑い出して、オレの頬をスリスリしてる。

「何でそんなに楽しそうなんだよ?」
「え、だって、いつもは玲央が色々してくれるからさ。今日明日はオレがしてあげられるから」

 嬉しくなってそう言ったら、玲央はオレを見て少し黙ってから。
 ぎゅうう、と抱き締めてきた。


「――――……??」

 ちょっと苦しい。


「あー。かわい……たまんないんだけど」


 クスクス笑いながら、ちゅと髪にキスされてる気配。


「……構ってくんないとやだ、とか、言わねえの?」
「え」

「ん?」

 じっと見つめられるけど。


「言う訳、無い、じゃん……?」

 そう言うと。
 玲央はなんだかすごく、楽しそうに笑いながら。


「じゃあ二日間、色々任せていい?」
「うん、了解!」


 うんうん頷いてると、また笑う玲央に、ぎゅうっと抱き締められて。
 そのまましばらく、ベッドの上で、ゴロゴロ過ごした。





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