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◇同居までのetc

「脱力」*玲央

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 ぽわぽわのまま、棒のアイスをゆっくり食べてる。
 すぐ隣に座って、かき氷を口に入れながら、その様子を何となく見守る。

 ――――……可愛いなあ……。

「美味しい?」

 そう聞くと。

「うん」

 にこ、と笑って頷く。
 いつも早くはないと思うのだけれど、それ以上に、動作も言葉も、ゆっくりな優月。

「あ。……たべる? 玲央」

 オレがぴったり張り付いて座ったので、ほんと、至近距離から優月が見上げてくる。

「味見するでしょ?」

 はい、とアイスを差し出してくる。
 少しだけ食べて、やっぱり食べ慣れない味だなーと思う。

「食べたことない」
「そうなんだー……美味しい?」
「んー…独特?」

 思うまんまそう言うと、優月は、クスクス笑って、ぱく、とアイスをかじる。

「食べ慣れると美味しいよー?」
「――――……」

 優月の顎を捕まえて、引き寄せてキスして、中のアイスを舐める。

「……ふっ……」

 舌が触れ合うと、ぴくん、と、優月の体に力が入った。

「……玲央、あ、の……」
「ん?」」

「――――……今……しないで……?」
「……キスを?」

「……あと触ったりも……」

 ……なんか、ぴくぴくしてる。ぷるぷる震えてる、ちっちゃい生き物みたいに見えて、思わず、クスクス笑ってしまった。

「どして?」

 分かっているけど、言わせたくて、聞いてしまう。
 優月は、言いにくそうに。

「なんか……今、ちょっと……」
「ちょっと――――……何?」

 する、と手を伸ばして、優月の首筋に触れて、そのまま、うなじに手を回すと、ますますぷるぷるして、ちょっと退いて行く。


「すっ、ごく、ぞくぞく、するから……」

 すり、と首筋に指を這わせたら、優月が、大きくびくっと震えた。


 ああ、なんか。すげー感じやすくなってンな……。

 可愛くて、このまま、ほわほわさせてやりたいっていう気持ちと。
 ――――……真逆の、めちゃくちゃ感じさせて、オレのもんにしたいっていう、激しい欲と。

 両方とも同じ位強くて。
 ――――……あーでも。


「……エロい、優月」
「…………っっ」


 その言葉に、うるうる涙目になる優月に、ほんとならもうこのままベッドに運びたいのだけれど。

 ほんと可愛くて。もう少しこのまま可愛くてもいいなと思うのと。

 それに、アイスも残ってるしな。
 

「分かった、いいよ、さわんないから。アイス食べて」

 言ってる言葉の間にもう、ぱぁっと嬉しそうな笑顔になって。
 うん、と頷いて、アイスをもぐもぐしてるのを見ると。

 毒気を抜かれる、というのか。


 ……はーほんと。
 なんでこんなに、可愛くなっちゃうんだろうか。
 

 くすぐったくならないように、わしゃわしゃと髪を撫でて、オレもかき氷の残りを食べていたら。じっと見つめられる。

「ん?」

「ソーダは美味しい?」
「ん。食べたいか?」
「うん」
「……ほら」

 スプーンで、優月の口に入れてやると。
 口が開いて見えた舌に、めちゃくちゃキスしたいと、オレが思っているのなんか、露ほども知らない優月は、オレをまっすぐに見上げると。


「ソーダのかき氷、久しぶり。おいしーね」

 ほくほくと嬉しそうに言って、笑う。


「――――……」



 なんか。
 脱力しまくる。優月と居ると。



 可愛すぎて。なんなの。ほんと。
 タメなのか、ほんとに。



 ついつい撫でてしまう。 




 

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