【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇同居までのetc

「頑張る」*優月

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 皆の所に着くと。
 皆が、すごく、にこにこしてる。

「……あの――――……」

 そう言いかけた時。
 恭介が、オレの肩に手を回して、引き寄せた。

「今日のとこは、言わないって事にしたもんなー?」
「え」

「な? そーだよな、皆も今度の楽しみにしたもんな」

 恭介がそんな風に言う。最初はきょとんとしていた皆も、ああ、と笑い出した。

「そーだな」
「今日はもうお開きだしね」

 クスクス笑われる。

「な、優月?」

 恭介の顔を見て、それから皆の顔を見回して――――……うん、と頷いた。
 あとから出てきた皆は、何の話? と、不思議そうだけれど。

「もう皆出たかー?」

 誰かが言って、誰かが、「オレが最後ー」と答えてる。

「じゃあ解散にしようー! お疲れー!」

 恭介が言うと、皆もそれぞれお疲れ様ーと口にする。

 恭介がオレの肩をポンポン、と叩いて手を離した。
 もう皆は、オレに注目はしてなくて、それぞれ話をしたり、帰り始めたり。

 皆が動いてる中、オレは恭介を見つめた。

「恭介……ありがと」
「また今度、詳しく聞くから」

 クスクス笑って、恭介はオレを見つめる。

「まあ、バレバレだけどな?」
「――――……ごめん」
「謝んなくていーけど」

 笑いながら言うと、恭介はちょっと首を傾げた。

「なあ、あいつと、待ち合せしたの?」
「迎えに行くって言ってくれて……店の前で待っててって、オレが言った」

 そう言うと、恭介は苦笑い。

「店の前じゃバレるだろ?」
「ん。なんか玲央も、離れた所で待ってても良いって言ってくれたんだけど……なんか、玲央にそんな風に隠れて欲しく、なくて」
「……まあでも、あんな風に駆け寄ってって、撫でられてたら、バレるわな」
「……そっちは……思わず、側に行っちゃっただけで……」
「あほだなー、優月」

 クックッと笑って、恭介がちらっと玲央を見るので、一緒に視線を流すと。
 玲央はこっちを見てなくて、また音楽を聴いてるみたい。

「イケメンナンバーワンだよな?」
「……うん、そう」
「やるなー、優月?」
「――――……」

 やるなーと言われても、何と言っていいか分からなくて、苦笑い。

「あいつモテるんじゃねえの?」
「……うん。すごいモテると思う」

「大丈夫か? あいつで」
「――――……うん。居れる限り、居るから」

「泣かされない?」
「――――……泣かされても、いい、かも」

 オレの言葉に、恭介は面白そうな顔で、オレを見た。

「……泣かされても、いいのか?」
「んー……泣きたい訳じゃないけど。玲央と居て泣くなら、それはそれで、オレは一生懸命なんだろうから。……うん、いいかなあ。頑張るよ」

 恭介が、きっと本気で聞いてくれてるんだと思ったから、思う事を答えたら。なんだよ、と恭介が笑った。

「そんだけ覚悟してるなら、言っちまえばよかったのに」
「う、ん……今のは、オレが思ってるだけで……玲央の名前を出すのとはちょっと違くて」

「――――……ま、話してきな」
「うん。ありがと」

 頷きながら、恭介はまたちらっと玲央を見た。

「あんな店の前で、お前をめっちゃ撫でてる奴なら、絶対言っても平気そうだけど」
「――――……」

「何か迷惑かかっても、良いって思いそうだけどな? ていうか、迷惑と思わないんじゃねえの」
「――――……」

「嫌だったら、あそこで待たないし、お前が走って行っても、撫でたりしねーだろ」
「……そう、見えた?」
「そうとしか見えない。ま、早く行きな」

 クスクス笑われて。
 ん、と頷く。

「――――……またね、恭介。学校で会おうよ、少しは」
「おー、頑張る。じゃあな」
「うん」

 バイバイと手を振って玲央の方に行こうとしたら。

「じゃあねー」

 と、周りの皆の楽しそうな声。びっくりしつつ振り返った。
 もうバレバレだけど敢えて聞かないで超笑顔の皆に笑ってしまいながら、バイバイ、とまた手を振った。

 皆に背を向けて、玲央の所に早足で近寄ると、近づく途中から、玲央がオレに気付いてイヤホンを外した。

 なんか。そんな動作すら、カッコいいって。なんだろう。

「もう平気か?」
「うん。ありがと」

 見上げて、そう言うと、玲央は優しく笑った。


「帰ろ」

 その手が、背に触れる。

 ――――……皆の方は、振り返らずに、一緒に歩き出して、角を曲がったところで、隣の玲央を見上げた。

「ん?」
「――――……ううん。カッコ良すぎるなーと思って」


「何だそれ」

 ふ、と笑って。
 くしゃ、と髪を撫でられる。



 優しいそれが、愛しくて。
 勝手に顔が、綻ぶ。



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