上 下
457 / 825
◇「周知」

「うーん……」*優月

しおりを挟む




「おっはよー」

 一限の教室に入って、何となく友達が固まってるとこに声をかけて座ると。

「朝からご機嫌すぎ、優月」

 一人にそう言われて、オレは首を傾げてしまう。

「……おはようって言っただけじゃん……?」

 そう言ってみるけれど。

「いやちがう」
「おはようじゃなくて、おっはよー、だったろ、お前」

「細かいよー??」

 確かにそう言ったかもだけど……。

「今日クラス会参加だろ?」

 そう言われて、頷くと、皆は何やらすっごくニヤニヤ笑う。

「いっぱい話、聞こうじゃんか」
「そうだよ、まだ全然詳しい事、聞いてねーし」

 なんかあまりに皆が楽しそうすぎるので、ちょっと、引きながら。

「何でそんなに楽しそうなの?」

 そう聞いてみた。すると、楽しいに決まってんじゃん、という声。

「だって優月、去年はそういうの全然欠片も無かったし、合コンとかも興味無さそうだったしさ」
「そーだよ、どんな女と付き合ってんのか、もー興味しかない」
「誰のより、優月の興味あるかも。すげー可愛いんじゃねえの?」

「えーと……」

 …………まあ。 
 たまに、とっても、可愛い……。
 
「う、んまあ……」

 曖昧に頷いたのに、皆が超笑顔。

「やっぱりー? ていうか、優月の彼女、絶対フワフワしてる可愛い子な気がする」
「だって、そうじゃねえと、絶対優月が押されまくりになっちゃうよな?」
「優しい子?だよな?」

「……オレの付き合う子って、そういうイメージ??」

 何だか勢いが凄いので、そう聞いてみたら、皆はそれぞれ、うんうんとすっごく頷いている。


 …………優しい子。
 うん。すっごくすっごく、優しい。

 フワフワ……??
 フワフワは……違う、かなあ……?


 玲央は、フワフワではないなあ?


「フワフワはしてないかも……優しいけど」

 うんうん、それで? みたいな顔で、皆が見てくる。


「……フワフワじゃなくて……キラキラ、してるかなあ……」

 玲央の事思ってると、キラキラしか浮かんでこなくて、うーん、と考えながら、そう言うと。


「なに、可愛いじゃなくて、綺麗系なの?」

 そう聞かれる。

 えーーーー。
 綺麗系……? 綺麗……?

 うーん、まあ。綺麗では、ある。超整ってるし。
 美人さんだよねえ……。めちゃくちゃ美形……。


「うん。綺麗でかっ――――……」


 綺麗でカッコイイよ、と言おうとした瞬間、教授が入ってきてしまった。


「ありゃ残念。まあ、後でまた詳しくな?」

 何て言われて、うん、と頷いた。
 何となく、言い足りなくて、片肘を付いた。

 教授が挨拶の後、雑談を始めた。何となく聞きながら、んー、と考える。
 
 
 今、言いかけてた、カッコいいよ、まで言ってたら。
 皆なんて言ったんだろ。
 女の子だと思ってるみたいだから、カッコいい女の子だと思ったのかなあ。

 ていうか、皆、完全に女の子だと思ってるんだな。
 …………まあ、そうなのかー、やっぱり。

 言ったらやっぱり叫ばれるかな。

 玲央の事、知らない人は、何か、あんまり居なそう。
 なんか皆とちょくちょく話してる感じ、有名っぽいし。
 ……まあ、オレが知ってる位だから、もうその時点ですごく有名ってことか。


 なんか今の感じで考えると、玲央と付き合ってるって言っても、信じてもらえるのか、何だか不安になって来た。
 そもそも玲央みたいな人が、オレと付き合うとか、そんなのって信じてもらえるんだろうか。オレ自身が、不思議な位だからなあ……。


 あ、そうだ、証拠写真とか。
 …………あ、ダメじゃん。オレ、玲央と写真撮ったことない。


「――――……」


 あ、そーだ。あとで、昼休みの時、玲央と写真撮らせてもらおう。
 仲良しで並んでる所。



 そーだそーだ、そうしよう。
 玲央とツーショット。

 あ、クロも入れてあげようっと。
 

 楽しみ。


 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

転生令息の、のんびりまったりな日々

かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。 ※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。 痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。 ※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

処理中です...