【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇「周知」

「ぽよぽよ?」*玲央

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「準備出来た?」
「うん、できたー」

 朝の支度を終えて、玄関で優月と靴を履く。

「香水、つけた?」
「あ。つけてない」

「いいよ、別に。聞いただけ」

 部屋に戻ろうとした優月の手を掴んで、止める。

「香水付ける習慣なくて……ごめんね」
「いいよ。優月の匂い好きだし」

「――――……」

 部屋を出ながら、そんな会話。
 オレの言葉に、優月は、ん?と見上げてくる。


「オレの匂いって、なに??」
「んー?……んー、一言で言うなら……」

「う……うん。言う、なら?」
「いい匂い」

「――――……」

 エレベーターまで歩きながら、優月が何だか不思議そうにオレを見上げている。

「……玲央のシャンプーの、匂いかな」
「いや? 会った時から、優月の匂い」

「……く、くさ……」
「臭くはねえよ、イイ匂いって言ってるじゃんか」

 面白い顔で見上げてくるから、遮ってそう言う。
 エレベーターの中で、優月の髪に触れて撫でる。

「……玲央は、ほんとに良い匂い、するけどね」

 ふふ、と笑って、優月がオレを見上げてくる。

「いつも同じのじゃないけどな」
「んー……よくわかんない。違う気もするし。でも、いつでもいい匂いがする」

「――――……相性いいんじゃねえ?」
「ん?」

「相性いいと、イイ匂いに感じるのかもと、思う」
「……」

 うんうん、と優月が頷いて、ふふ、と笑んでるのが可愛くて。
 最後、と、キスした。

「――――……エレベーターってさ、カメラ、ある、よね?」
「まあ。でも、今、オレに隠れて、優月はうつってないし」

 後ろのカメラを振り返りながら言うと。

「でも、キス、してるのは分かるような……」
「大丈夫。キス位、挨拶の国もあるし、気にすんな」

「――――……」

 ここは日本だよー、と優月の目が言ってるが。
 すぐクスクス笑い出して。オレを見上げてくる。


「――――……この角度が、好きなんだけど、オレ」
「ん?」

「ちょっと下からお前が見上げてくるの。可愛すぎる」
「――――……」


 優月はきょとん、として、オレのセリフを聞き終えると。
 一階についたエレベーターから出て、マンションのエントランスを進みながら。

「……オレ、背、伸びちゃったら嫌?」

 そんな事聞きながら、でもニコニコ笑ってる。

 背ぇ伸びたら?
 ……ちょっと考える。

 
「――――……別に。全然、嫌じゃないな」
「もう、1年位ほとんど伸びてないから、伸びないとは思うんだけど」

 優月はクスクス笑って、
 オレを見つめて。


「伸びても、好き?」
「当たり前――――……つか、オレ、優月なら何でもいいんだなって気がしてきた」

「――――……」

「背がそのままでも。伸びても」

 そっか、別になんでも可愛いのか。
 なんて、朝からもうずっと、何度可愛いと思ってるのか、自分に呆れながら言っていると。

「オレが、すっごい、もちもちに太ったら??」
「――――……すっごいもちもち?」

「そう、なんか、もう、ぽよんぽよんな感じで」
「ぽよんぽよんて……」

 じー、と優月を見つめて、想像しようとしてみるのだけれど、なんだかいまいち想像できない。


「玲央は、痩せてる人が好きなの?」
「んー……あんま考えた事がなかった」
「そっか」

「……ちょっと想像してみる」
「え、何を?」

「優月がぽよんぽよんしてるとこ」
「え゛え゛っ、いいよ、しなくて」

 可笑しそうに笑って、優月の手がオレの腕にかかる。

 ――――……外で優月から触れてくる事って、そういえばそんなに無いなと気付いて。

 こんな接触が嬉しいとか。意味が分からないなと自分に対して思いながら。

「……優月なら何でもいーかもな。ぽよぽよしてても気持ちよさそうだし」
「……う、うん。あり、がと……?……あー…と……でも一応、健康的な範囲では、行こうと思ってる、かな……?」

「まあ、そーだな。長生きしてほしいし」
「――――……玲央……」

 優月はもう、めちゃくちゃ楽しそうに笑ってる。


 


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