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◇「周知」
「幸せな」*優月
しおりを挟む鼻歌、歌いたい。
ふんふん、歌ってたい気分。
――――……授業中だけど。
ちょっと気を引き締めて、 教壇の教授を見つめる。
昼休み、最後の10分、玲央と過ごした。
優しいキスだけ、してくれて。抱き締めてくれて。
なんか、幸せな会話だけして、別れてきた。
――――……好きすぎ……。
……好きで困っちゃう位、好きだなあ……。
ご機嫌で3限の教室に来たら、皆に突っ込まれた。
何か、ツヤツヤしてるけど。とか。
ご機嫌すぎて、笑える。とか。
幸せオーラが見える。とか。
散々色々突っ込まれてしまった。
そんなに言われるほどオレ、そんな感じ……?と思ったけど。
まだ何も話してもなく、顔を見られた段階でそんな風に言われたので、まあきっと、そんなだったんだろうなあと、思って。
特に否定する事もせず、ふふ、と笑ってたら。
「このー」「昼休何があったー?」と、髪の毛、ぐしゃぐしゃに撫でられて。
そこで教授がやってきたから、皆の追及から解放された。
何があったって、程じゃないような。
……玲央と一緒に、10分だけ、くっついて過ごしただけ。
……ていうかあれ、10分じゃなくて、1分でも、オレ。
すごい幸せになれちゃうかもしれないなあ……。
玲央の手がオレに触れて。近くに引き寄せられて。見つめられただけで。
気持ちの温度が、すぐ上がる。
びっくりする位、すぐに熱くなって。なんかもう。
幸せな気分で、いっぱいになってしまう。
玲央って、すごいなあ……。
先生の板書をノートに写しながら、そんな風に思う。
玲央がオレを幸せにしてくれてるみたいに。
オレも、玲央を幸せにできてれば、嬉しいけど――――……。
そう思いながら、思い浮かべるのは、玲央の、オレに触れる時の笑顔。
――――……うん。
幸せって……思って、くれてる気が、する。
玲央は、めちゃくちゃ、優しい顔で、笑ってくれてるから。
多分。お互い。幸せって思えてる、気がする。
……それって、すごく、幸せな事だよね。
久先生に日程聞いて……希生さんの所に行って。
そしたら、玲央と、オレの実家に行って。
一緒に暮らしたいから、マンション解約、してもらう。
――――……みんな、どう思うんだろ。
まあきっと、父さん母さんは、仲の良い男友達と同居するんだな、位で思うのかな。
双子たちは――――……何て言うかなあ。
ていうか、玲央を連れて行った時点で、超イケメンだって、大騒ぎな気がするから、一緒に暮らすとか言ったら、更に大騒ぎなのでは……。
もしかしたら、オレらも一緒に暮らす、とか、言いかねないなあ。
なんか大騒ぎになりそぅ。
玲央にあらかじめ、そんな感じだよって、言っておこう。
――――……あれ、でもなんか、何回も、オレの家族見てみたいって。
何回も言われてるような。
面白いと思ってるのかなあ。オレの家族。
……まあ双子は面白いけど。
玲央が何でそんなに見たいのかよく分かんないけど、多分予想以上の大騒ぎ、しそうだからなあ。玲央、びっくりしちゃうかも。
苦笑いしか、浮かばないけど。
なんか――――……そんなのも。
玲央がオレの家族に会って、大騒ぎに巻き込まれてくれる、のも。
なんか。
すっごく、嬉しい。かも……。
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