【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇「周知」

「脱力」*玲央

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「マジで、触んな」

 もう一度言うと。 
 え、マジなの、玲央?と女子達が、周りで顔を見合わせてる。

「マジ」

 そう言ってため息をつきながら、腕を解くと。

「誰??」
「そーだよ、大学の子?」
「教えてー」

「……教えない」

 すぐそこに、居るけど。
 オレが女に囲まれてても、なんか楽しそうだな~なんて顔をして、のどかに友達とご飯食べてるけど。

 つか、ちょっとは気にしろ。

 とか思いながら、女子の質問を無視していると。
 オレが答えないと思ったらしく、矛先を稔に変えた。

「稔は知ってるの?」

「――――……さあ?」

 知ってるくせに。
 オレですら、稔が知ってるのか知らないのか迷うような調子で、肩を竦めてる。当然女子達も分からないらしく。

「知ってるの? 知らないの?」
「そうよー知ってるなら教えてよー」

 と、言われても、稔はクスクス笑っているだけ。

 と、ふと気づくと。
 優月の所に、勇紀と甲斐と颯也が現れた。

 多分こっちよりも先に、優月に目がいったんだろう、優月が、あ、と笑顔になって、勇紀達と何かを話している。
 と、ふと、優月がこっちに視線を向けて、勇紀達に、あそこ、と教えている。

 勇紀ら3人、その優月の視線を追って、こっちを見て、オレの状況を見て、は?という顔。

 もう思ってる事は分かる。

 何でオレは、ここで女子達に囲まれまくってんだって話と。
 ――――……その後3人は優月を見下ろして何か言ってる。

 あれ、いいの? とか。そういう話だよな、絶対。
 優月は、きょとんとして、オレの方を見てるけど。ニッコリ笑って何か言ってる。


「お前らもいい加減離れて、飯食えよ」

 そう言っても、きゃあきゃあ騒いでる女子達を、やっと追い払った所に、勇紀ら3人がやってきた。

「れーおーくん」

 勇紀が何か言いたげに、そんな風に呼びかけてくる。

「優月くんはまったく気にしてないけど、今のはどーかと思うけど……」

 苦笑いでそんな風に言われる。
 甲斐と颯也も、呆れたように笑いながら、隣に座る。


 ち、と思わず舌打ち。

「お前、ふざけんな」

 稔に鋭い視線を投げるが。
 ――――……分かってはいたけど、スルー。

「だってほんとの事じゃん」

 クスクス笑ってすっとぼけている。
 そのやり取りに笑いながら、勇紀が「何何、稔、なんかしたの?」と聞いてくる。


「いや。ちょっと女子達に、玲央は好きな子出来たからって伝えただけ」

 その言葉に、3人は、ああ、それであんなに絡まれてたのか、と納得の顔。


「お前ら飯は?」
「食べてからこっち来た」

 颯也がそう答えて、オレを見る。

「なんか夏休みの話が出たって勇紀が言うからさ。考えてた事話そうと思って、来たんだけど」

 そこまで言って、颯也は視線を優月の方に向けた。


「……優月って、マジで妬かないのな」

 クスクス笑いながら、オレの顔を見て、なんだか益々おかしそうに笑い出す。

「何だよ」
「……妬いてほしいんだもんなあ? 玲央」


「――――……」

 少し先で、楽しそうに話してる優月に視線を向けてから、はー、と息をついて、片肘をついた。


「オレが腕組まれてても、楽しそうだなーみたいな顔で笑ってるからなー…… まあ……優月っぽくて、良いんだけど」

 言ってても仕方ねえなと思い、ふ、と顔を起こす。


「もーいーや。これ言ってても、どーにもなんねーし。それより、夏休みの考えてた事って何だよ?」


「いーのか、そっちの話に行って」

 甲斐がニヤニヤしながら言う。


「良い。もう、優月にそれ求めても、無駄だから」
「つーか、玲央がヤキモチを求めるとか、マジで意味が分かんねえ」
「るせー」


 ますますため息。
 オレだって、意味がわかんねーし。

 マジで、優月の、のほほんとした笑顔見てると、脱力する……。


 まあ。


 ――――……すげー可愛いとも。思うんだけど。





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