【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

文字の大きさ
上 下
413 / 838
◇「周知」

「脱力」*玲央

しおりを挟む


「マジで、触んな」

 もう一度言うと。 
 え、マジなの、玲央?と女子達が、周りで顔を見合わせてる。

「マジ」

 そう言ってため息をつきながら、腕を解くと。

「誰??」
「そーだよ、大学の子?」
「教えてー」

「……教えない」

 すぐそこに、居るけど。
 オレが女に囲まれてても、なんか楽しそうだな~なんて顔をして、のどかに友達とご飯食べてるけど。

 つか、ちょっとは気にしろ。

 とか思いながら、女子の質問を無視していると。
 オレが答えないと思ったらしく、矛先を稔に変えた。

「稔は知ってるの?」

「――――……さあ?」

 知ってるくせに。
 オレですら、稔が知ってるのか知らないのか迷うような調子で、肩を竦めてる。当然女子達も分からないらしく。

「知ってるの? 知らないの?」
「そうよー知ってるなら教えてよー」

 と、言われても、稔はクスクス笑っているだけ。

 と、ふと気づくと。
 優月の所に、勇紀と甲斐と颯也が現れた。

 多分こっちよりも先に、優月に目がいったんだろう、優月が、あ、と笑顔になって、勇紀達と何かを話している。
 と、ふと、優月がこっちに視線を向けて、勇紀達に、あそこ、と教えている。

 勇紀ら3人、その優月の視線を追って、こっちを見て、オレの状況を見て、は?という顔。

 もう思ってる事は分かる。

 何でオレは、ここで女子達に囲まれまくってんだって話と。
 ――――……その後3人は優月を見下ろして何か言ってる。

 あれ、いいの? とか。そういう話だよな、絶対。
 優月は、きょとんとして、オレの方を見てるけど。ニッコリ笑って何か言ってる。


「お前らもいい加減離れて、飯食えよ」

 そう言っても、きゃあきゃあ騒いでる女子達を、やっと追い払った所に、勇紀ら3人がやってきた。

「れーおーくん」

 勇紀が何か言いたげに、そんな風に呼びかけてくる。

「優月くんはまったく気にしてないけど、今のはどーかと思うけど……」

 苦笑いでそんな風に言われる。
 甲斐と颯也も、呆れたように笑いながら、隣に座る。


 ち、と思わず舌打ち。

「お前、ふざけんな」

 稔に鋭い視線を投げるが。
 ――――……分かってはいたけど、スルー。

「だってほんとの事じゃん」

 クスクス笑ってすっとぼけている。
 そのやり取りに笑いながら、勇紀が「何何、稔、なんかしたの?」と聞いてくる。


「いや。ちょっと女子達に、玲央は好きな子出来たからって伝えただけ」

 その言葉に、3人は、ああ、それであんなに絡まれてたのか、と納得の顔。


「お前ら飯は?」
「食べてからこっち来た」

 颯也がそう答えて、オレを見る。

「なんか夏休みの話が出たって勇紀が言うからさ。考えてた事話そうと思って、来たんだけど」

 そこまで言って、颯也は視線を優月の方に向けた。


「……優月って、マジで妬かないのな」

 クスクス笑いながら、オレの顔を見て、なんだか益々おかしそうに笑い出す。

「何だよ」
「……妬いてほしいんだもんなあ? 玲央」


「――――……」

 少し先で、楽しそうに話してる優月に視線を向けてから、はー、と息をついて、片肘をついた。


「オレが腕組まれてても、楽しそうだなーみたいな顔で笑ってるからなー…… まあ……優月っぽくて、良いんだけど」

 言ってても仕方ねえなと思い、ふ、と顔を起こす。


「もーいーや。これ言ってても、どーにもなんねーし。それより、夏休みの考えてた事って何だよ?」


「いーのか、そっちの話に行って」

 甲斐がニヤニヤしながら言う。


「良い。もう、優月にそれ求めても、無駄だから」
「つーか、玲央がヤキモチを求めるとか、マジで意味が分かんねえ」
「るせー」


 ますますため息。
 オレだって、意味がわかんねーし。

 マジで、優月の、のほほんとした笑顔見てると、脱力する……。


 まあ。


 ――――……すげー可愛いとも。思うんだけど。





しおりを挟む
感想 790

あなたにおすすめの小説

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません

りまり
BL
 公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。  自由とは名ばかりの放置子だ。  兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。  色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。  それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。  隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

処理中です...