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◇「周知」

「一番変わったこと」*玲央

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 抱き締めている優月が、サラサラ肌触りが良くて、気持ちいい。
 まだすーすー眠ってる。


 ――――……優月と会うまで通ってた店にも全然行かなくなって。
 深夜を回って遊び歩くことも無くて。

 誰か知らない奴を抱くこともない。
 こないだ断ってから、誘われる事も無い。
 まあそれだけはっきり、もう無いと断ったし。


 一緒に買い物に行って、一緒にごはんを作って。食べて、並んで洗って、片づけて。毎日一緒にシャワーを浴びて、デートしたりして。


 ――――……で、毎日、同じ奴を抱き締めて眠るって。


 ……変わりすぎにも程があるな。

 稔や勇紀が特に騒いでるし、甲斐や颯也もそう思ってるんだろうけど。
 あいつらは、オレが一人でしてた事を全部知ってる訳じゃない。

 オレが今まで一人でやってた事。それがもう、ことごとく変わってるって事迄は知らない。

 だから、あいつらが言ってる変わった事、なんて、ほんの一部で。


「――――……ん……」

 もぞ、と優月が動く。
 でも、まだ寝ぼけてるみたいで、「……れお……」呼びながら、オレのウエストに腕を回して。すり寄ってからまた眠った。 


「――――……」


 一番変わったのは、行動じゃなくて、気持ちだ。


 一人で寝た方が当然寝やすいし、安らかだと思っていたのに。

 こんな風にくっつかれて。愛しくてたまらない、とか。
 抱き締めて眠ると、安心するとか。

 
 なんか、愛おしいって気持ちが、ものすごく、沸き起こるとか。

 目で見えない部分の方が、絶対変わってるんだよな……。

 優月を抱き締め直して、腕枕。
 髪の毛を撫でながら、抱き寄せる。


 サラサラの髪の毛が顎に触れる。
 スヤスヤ、寝息。


 んー……。
 ――――……まあ。ほんと。……愛しい、んだよな。


 可愛くてたまんなくて。
 めちゃくちゃ抱き締めたいと思うけど。

 こんなスヤスヤ可愛く寝てるなら、ずーっと起きるまで待っててやりたいとも思うし。


「……ん……」

 オレが動くと、反応して、ぴく、と動くけど。オレに触れてると安心するのか、起きはしないで、また寝息を立てる。いつもそう。


 ――――……そういや、優月って。
 抱くほどに、エロくなってく。

 素直だからかな。反応も素直だし、感じる快感にも素直で。
 ――――……真っ赤になって、涙目になってるとこなんて、もう、ますます泣かせたいし。……でもぐちゃぐちゃになるまで、可愛がりたい気もして。
 どっちで抱こうか、いつも迷う。


 ……イったから待って、とか。あんなに可愛く言われて。
 待つわけないし。……ほんとに。


 あーだめだ。
 また泣かせたくなってきた……。

 その内、嫌われたりして。意地悪だからとか。
 ――――……恥ずかしいからもう嫌だとか。


 うーん……。

 と考えていたら。


「――――……」


 腕の中から、じーーーーと、オレを見上げてる優月と、突然目が合った。

「……あれ? 優月?」
「…………ん? 朝……??」
「まだ、寝てていいよ……」
「……うん……」
 
 言いながら、ハワハワあくび。

「……なあ、お前さ、オレに抱かれるのって、どう思ってる?」

 ねぼけた感じの優月。
 素直に言うかなと思って聞いてみたら。

「んんー……??? んーと……」
「――――……」


「……玲央が、色っぽくて、カッコいい」
「――――……」


「……だから、好き」


 もぞもぞくっついてきて、また目を閉じてる。


 なんか。
 ――――……はー、と息を吐く。


 思ってたのと全然違う回答だったけど。 すげー、可愛いし。
 よしよし、と撫でて抱き寄せると。
 優月が腕の中で、ん、と声を出して。 ふふ、と笑って。

 また静かに、眠りだした。



 
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