400 / 825
◇「周知」
「好きすぎて」*優月
しおりを挟むお風呂で、玲央に洗われて。キスされて。
あっという間に……ほんと容易く。玲央のと一緒にイかされてしまって。
くったり、玲央に抱き付いてたら。
このままここでするのと、ベッドでと、どっちがいい?と聞かれた。
すごく色々考えて。立ってられなくなりそうだから、「ベッドがいい」と答えたら、すぐバスルームは出る事になった。玲央が用意してくれていたバスローブを着させられて。
「どうせまたシャワー浴びるから、ドライヤーはあとでいい?」
そんな事を言われて、うん、と頷くと。
玲央に抱き上げられて運ばれる。しょっちゅう運ばれるから慣れてきてしまったような……。いいのかなと悩みながら、寝室のベッドに降ろされて。
「ちょっと待ってな」
玲央が部屋を出て行ってしまって、少しそのまま待つ。
なんか。……待ってな、って。
オレ、ここで待ってて、それで玲央が戻ってきて。
これからすること、考えると。
待ってる、って。
うぅ。なんかすごく、恥ずかしい気がする。
すぐに玲央が戻ってきて。ベッドの上で、玲央に置かれたままの形で座ってるオレに気付くと、一瞬じっと見られて。
それから、ふ、と笑われた。
「なんか……ただ待ってるだけで可愛いとか、何なの、お前」
クスクス笑い続けながら近くに寄ってきて、よしよしと頭を撫でられる。
「固まってた?」
「……うん、ちょっと……」
「とりあえず、水飲みな、優月」
笑う玲央に、ペットボトルを渡される。
「……ありがと」
「あぁ」
水を飲みながら玲央を見守っていると。
部屋の隅のライトを付けて、灯りを消す玲央を見つめる。
――――……ほんと。カッコいいなあ。
何してても、絵になる。というか。
毎日毎日、こんなに何時間も一緒に居て。
それでも、見惚れる位。ずーっとカッコいいって凄いなぁ……。
いつも、そんな風に思ってるオレ。
「――――……なに?」
じっと見てると、玲央が、ふ、と笑う。
……カッコ良すぎて、困るんだけど。って、言ったら、何て言うのかな。
笑うだけ?かなあ?
玲央がベッドに腰かけると、ギシ、とベッドが軋む。
オレが水のキャップを閉めたら、ペットボトルを受け取って、ベッドの下に置いてくれる。
体を起こした玲央と目が合うと、「ん?」と、笑まれて。
「なんか……玲央がね」
「うん?」
「カッコ良くて、いっつも見惚れちゃうんだよね……」
「――――……」
「どうして、そんな、カッコいいのかなあ??」
そう言うと。
マジマジと見つめられて、それから、やっぱり、くす、と少しだけ笑う。
「――――……優月」
腕を取られて、少し引き寄せられる。
じっと見つめられて。
「――――……オレよりカッコいいと思う奴、居ないの?」
「居ないよ?」
言われた瞬間に即答したら、ふ、と笑った玲央に更に抱き寄せられて、そのままベッドにゆっくり、押し倒された。
「優月」
ちゅ、と頬にキスされる。
毎日のように、こんな風に、過ごしてるのにな。
ドキドキで、死にそうで。
だって上に居る玲央って。死ぬほど、色っぽく見える、し。
これから、何されるか、どうなるか、分かってきてるから、日々、余計にドキドキが増えていくんだと、思う。
「ちょっとプレッシャーかも」
「……??」
「……カッコ悪い事、したくないとか思うなー」
オレは玲央をまっすぐに見つめて。
プルプル首を振った。
「何してても、カッコいいから大丈夫。気にしないで」
「――――……何してても?」
玲央が可笑しそうに目を細めて。オレを見つめる。
「カッコ悪い事してても、絶対カッコいいから」
「――――……」
「ていうか、大好きだから、余計カッコよく見えると思うし。あ、でも好きじゃなくても、玲央の事、カッコ悪いって言える人は、居ないと思うけど」
「……何だそれ」
「だって……居ないと、思うよ?」
近づいてくる玲央の顔。好きすぎて。
「――――……」
唇、重なっても。
瞳、閉じるのがもったいないなーと思ってしまう位。
196
お気に入りに追加
5,207
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした
雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。
遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。
紀平(20)大学生。
宮内(21)紀平の大学の同級生。
環 (22)遠堂のバイト先の友人。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる