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◇「周知」

「悪さ?」*優月

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 玲央の歌も終わったのでまた音楽は止まって、皆好きなように話し続ける。

 稔が玲央や勇紀達と騒ぎ始めて、少しオレと智也と離れた時。
 智也が、オレを見て、クスクス笑い出した。

「なに? どしたの?」
「なんかさ。オレ、ここに来る前も、心配はしてないけど、とは言ったじゃん」
「あ、うん」

「ほんとに優月の人間関係を心配なんかは全然してなくて、どうやってこのメンバーと話してんのかなーと思ってただけなんだけど」
「うん」

「……なんか、皆、もう、優月の事結構分かってんだなーと思って」
「……オレの事?」

「うん。さっきも、稔が騒いでた時、優月は本気で言ってるから諦めろ、とか。言ってただろ?」
「あー……うん、言ってたね」

 智也は笑いながら、オレを見つめる。


「居心地良さそうで、安心――――……つーのも変か。心配してなかったし。ますます安心したって感じかな」

 そんな風に言われると。なんだか。
 じっと智也を見つめてしまう。
 
「……なんか。ありがと。智也」
「ん? ありがと?」

「うん。なんか――――……今までもずっと、ありがと」
「はは。ずっと?」

「うん。……色んな友達いるけど。智也と美咲は、やっぱり特別なんだよね」
「あー、それ言うなら、オレもだな」

「あの幼稚園で、さくら組でよかったなーって思っちゃう」
「まあそーだな」

「懐かしーねー、幼稚園の頃」
「確かに。優月すげーちっちゃかった」
「智也だってちっちゃかったでしょ」
「お前は特にちっちゃかったから」

 2人で笑い合って。 
 
「あ。そだ、美咲に今日会った時、来週ご飯って言ってた」
「ああ、来週になったの? 今週か来週ってとこまでは聞いたけど」

「うん、今週だとオレと合わないみたい」
「そっか、分かった。まあまた連絡来るだろ」

 言いながら智也がスマホを取り出して。

「ていうか、もう来てる」
「ん?」
「美咲から」

 智也が見せてくる画面を覗き込むと。

「来週の水木金なら大丈夫……オレも多分、大丈夫だよ。智也は?」
「オレ木曜は用事あるな。水金どっちかにするか」
「うん」

「そういや今日オレがここに来てるのって、美咲に言った?」
「ううん、そんなに話してないんだよね、予定だけ話していっちゃったから」

「何て言うかな、オレがここに居るの」
「うーん……」

 何て言うだろ。
 色々想像できるけど。

「…美咲って、さ?」
「うん」

「……基本は反対なのかな?」
「最初はそうだったけど。 まあ。あれじゃない? 様子見中」
「――――……」

「恋人になってからの玲央が悪さしなければ、その内認めると思うけど。別に男だからダメとかは言ってなかったし」
「悪さ……」
「うん」

「悪さって……」

 智也の言葉を繰り返して、クスクス、と笑ってしまう。


「悪さって言い方、なんか可愛いね」
「――――……可愛くないぞ、意味?」

「分かってるけど。なんか悪戯っ子がするみたいな」

 あはは、と笑ってしまうと、智也に苦笑いされる。


「――――……ほんと優月と話してると、力抜ける」
「ごめん。あ、意味は分かってるよ?」

「ほんとか?」

 呆れたような顔で笑う智也に、ふふ、と笑ってしまう。







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