【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇「周知」

「空気」*優月

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「席替えしよう」と稔が言い出して、場所を変えることになった。というか、多分稔は、オレと玲央を少し離して、オレと話がしたかったみたいで。
 オレは智也と稔の間に挟まれて。玲央は甲斐と颯也の間。

「玲央、一曲くらい歌ったら?」
 
 勇紀がふと、そう言い出した。
 あ。聞きたい。オレもぱっと玲央を見ると、すぐに玲央と目が合った。
 ふ、と笑まれて。

 玲央は勇紀が持ってたタッチパネルを受け取った。


「――――……」

 何にすっかなー、という感じで、玲央が画面を見てる。

 内心ワクワクしていると。

「なあ、智也はさ、優月と長いんだろ?」

 オレを挟んで、稔が智也にそう聞いた。

「うん。長いね」
「優月が男とって、びっくりしなかったの?」

 稔の質問に、びっくりかー……と智也が呟いて、オレを見る。

「神月……じゃなくて、玲央と、ってのには驚いたし。最初セフレで良いって言ったとか言うから、それはびっくりした」

 智也の苦笑いに、オレも「そうだよね」と笑ってしまう。 

「男ってことには?」
「んー……? そこまでじゃなかったかなあ……」

「そうなんだ。……ん? 優月ってもともと、男が対象?」
「ううん。……あ、ううんていうか、そういうの、考えた事、無かった」

「何かお前って、頭やわらかそうだもんなぁ……」

 稔にしみじみ言われて首を傾げていると、智也が横で笑い出した。

「確かに。優月はものすごい柔軟だよな」
「そうかな? 柔軟……?」
「うん。誰よりも柔らかい気がする。……まあオレも割と柔軟かなー」
「あー……うん、そうだねー。 智也はそうだと思う」
「お前には負けるけど」

 智也にクスクス笑われた時。
 
「オレは?」
 稔がそう言って、オレと智也を見る。

「んー……? どうかな。まだよく分かんないけど」

 オレが、稔を見ながら、んー、と考えていると。

「稔は……自由って感じかな」
 智也が言ったセリフに、オレはすぐ納得して、うんそうだね、自由って感じ。と笑ってしまった。

「オレが自由なら……じゃあ玲央は?」

 続けて稔にそう聞かれて。玲央は……と呟く。

 柔軟……柔らかい……??
 とは違うような……。なんだろう。でも、頭、固くもない気がする。

「……玲央も自由、かなあ? ちょっと似てるよね?」

 そう言うと、稔はものすごーく嫌そうな顔をして。

「はー? いやいや、似てねーし」

 と言う。

「似てるから仲良しなんじゃないの?」
「オレが玲央と似てるっての??」
「う、うーーん……??」

 そっくり、とは言わないけど。
 智也も隣で苦笑いで、大きく頷く訳でもないし。


「なあなあ、オレと玲央って、似てる?」

 稔が、勇紀達3人に向けてそう言うと。
 3人が答えるよりも早く。

「は? つか、似てねーし。聞くまでもないだろーが」


 と、玲央からツッコミが飛んでくる。


「……ていうか、同じ感じで嫌がってるしな?」

 智也が笑ってそう言って。
 「やっぱりなんか、似てるよね」とオレも、笑ってしまう。


「稔の、知らないオレに平気で話しかけるようなところは、玲央似てない気がするけど……似てるっていうか。好きに言いあってても結局気が合ってそう」

 オレが稔にそう言うと。稔は、ふ、と笑った。

「――――……まあ、なんだかんだで、付き合い長いしなー」

 結局仲良しなんだろうなーと、その笑みを見てると、思う。
 

 その時。玲央が曲を決めて入力したみたいで、立ち上がった。勇紀からマイクを受け取って、前のステージみたいな所に立つ。


「――――……」


 カラオケのパーティルームなのに。
 何かマイクを持って前に立つと玲央の周りだけ、空気が違う。

 さっきまで、稔とふざけて、言い合ってたのに。


 多分皆も同じ感じ。
 誰も何もしゃべらなくなって、玲央に視線を向ける。

 稔ですら、黙った。 
 

 ――――……ほんとに。カッコイイなー……。



 ほんと。ドキドキしてしまう。
 




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