380 / 825
◇「周知」
「きらいなとこ」*優月
しおりを挟む色々皆が好きに話してる中、稔に「優月」と改めて呼ばれた。
オレが稔に視線を向けると。
「優月に聞きたいんだけど」
「うん?」
「玲央のどこが好きですか? 3つ答えてください」
「3つ?」
稔の質問に、すごく迷う。
3つって、何だろう。
3つ……。
隣の玲央を見つめながら、しばらく考えてると。
勇紀がぷ、と笑った。
「その質問、オレが先週優月にしたよなー。オレはどこが好きなの?って聞いたんだけど」
「うん」
「そん時は結構即答だったのに」
「だって、3つって……」
好きとこ上から3つでしょ。うーん。
「稔の質問が悪いんだよ」
と勇紀が笑うと、甲斐と颯也も笑い出したので、稔は、お前らもその答え聞いた?と2人に聞いてる。
「聞いた聞いた」
「そん時は確かにすぐ答えてた」
「じゃあそん時優月、何て答えたの?」
稔が不思議そうな顔で、オレを見てくるので。
「……オレ、全部って、言ったよね?」
勇紀にそう聞くと、勇紀はぷ、と笑って、頷く。
「そう、全部って言われた」
稔は、「はー?」と、眉を寄せる。
「ちょっと待てよ、優月、さすがに全部じゃないだろ」
「――――……」
えー、でも、なあ……。
全部、なんだけどな。困ったな……。
隣で面白そうな顔をしてオレを見てる玲央と目が合って、なんか嬉しいので、にこ、と自然と笑顔になる。
「分かった! じゃあ、こっちの質問にする」
「うん?」
「玲央の嫌いなとこ、どこ?」
ていうか、それこそ、何も浮かばないんだけど。どーしたら。
「あるでしょ、遊んでた過去の事とか。 えらそーなとことか、服装が柄悪いとことか、冷たそうとか、超カッコつけてるとか」
完全悪口みたいになってるけど、と、苦笑いが浮かんでしまう。
「お前、喧嘩売ってンの?」
「いやいや、でもあるでしょ、優月」
玲央が凄んでるけど、稔は気にせず続ける。ちょっと遠くて届かないと思ってるんだろうなー絶対。
「え。でも……カッコいいし。優しいし。冷たくないし……過去の事は別に、そんなに気にならないし……」
「嘘でしょ、優月―」
「お前、諦めろ……」
わあわあ騒いでる稔に、甲斐が笑って、その肩をポンポンと叩きながら、座らせた。
「優月の方はもう、アレ本気だから、無駄だと思うぞ」
「はー? そんな奴居るー? 玲央の過去も気にならないとかー?」
稔はそう言うと、隣の智也をじっと見やる。
「どーなってんの、優月って」
「どーなってんのって……」
智也はクっと笑い出して、稔を見てから、ちら、とオレに視線を投げてきた。
「多分本気で気になってないんだと思うよ」
クスクス笑いながら智也が言う。
246
お気に入りに追加
5,207
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした
雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。
遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。
紀平(20)大学生。
宮内(21)紀平の大学の同級生。
環 (22)遠堂のバイト先の友人。
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる