374 / 838
◇「周知」
「嬉しい」*優月
しおりを挟む何でこのメッセージ、勇紀からきたんだろ。
あ、そっか。玲央がきっと、動物の何に似てるか聞いたんだろうなあ。オレに聞かれた事も言ったのかな。
それで、周りが一致したけど、玲央がオレに送らないから、勇紀が送って来た……てこと、かな。
ていうか、発情期って、何……。
それは考えてなかったけど――――……。
肉食獣っていうのは、オレがさっき考えてたのと、一致してるなあ。
カッコイイもんね、やっぱり。
――――……ふふ。なんか、玲央きっと、今頃すっごい嫌そうな顔してるんだろうなあ……。 ほんと、面白い。
「何か面白い連絡?」
ずっと黙ってスマホと向かい合ってたオレを見て、隣の友達が言ってきた。
「え?」
「笑ってるし」
そう言われて。あ、オレ、笑っちゃってたんだ、と苦笑い。
「うん。ちょっと、面白い連絡だった」
「ふーん?」
クスクス笑われる。
ちょうどその時教授が入ってきて、オレは、スマホをポケットにしまった。
教授の挨拶と少し雑談。
何となく聞きながら、ふっと考える。
――――……さっき、ここの教室に入って来た時。
思い出したのは、先週のこと。
本気になったら終わりだと思ってたオレが、玲央に好きって言えなくて、嫌いじゃないと伝えたら、玲央を怒らせて。
オレは、泣いた後でここに来て。2時間授業を受けて。
終わっても動けなくて、机で突っ伏していたら。
玲央が、迎えに、来てくれて。
好きって言っても良いって、言ってくれた。
――――……あれから、1週間かあ……。
なんかもう、関係が、変わりすぎて。
不思議すぎる。
ぶ、とポケットでスマホが震えたので、机の下で見ると。
『勇紀の、聞かなくていいからな? あとでな、優月』
と玲央から入ってきていた。
ふ、と笑ってしまう。
――――……楽しいな。
思い起こすだけで、好き、だなって思う。
スマホを向かって前を向きながらも、微笑んでしまった。
◇ ◇ ◇ ◇
間に休憩を挟んで、4限5限と終わった。
荷物を片付け終えてる皆に、「オレ約束があるから」と別れを告げた。
メッセージを送ってから行こうと思って「今終わったから、すぐ行くね」と玲央にあてて送信。スマホを見ながら立ち上がった時。すぐ近くで、「優月」と呼ばれた。
え、とそっちを見ると、玲央が立っていて。
「玲央、どうしたの?」
……会えて、嬉しい。
今から部室行けば会えたけど。全然思ってもない所で急に会えて。
しかもここに居るって事は、オレを迎えに来てくれたから居るって事だから、それも嬉しい。
そんな事を思いながら玲央を見上げたら。
玲央が、ふ、と目を細めて笑った。
「先週、ここに迎えに来ただろ? なんかさっき思い出して」
「――――……」
「何となく、もっかい迎えに来た」
――――……何か、すごくすごく、嬉しい。
「オレもさっき思い出してた」
「……そっか」
優しく笑う玲央の隣に並ぶと。
玲央は、周りをちょっと見てから。オレを、皆が教室を出るために並んでいる方から見えないように隠してから。
ちゅ、とキスしてきた。
「――――……玲央……」
クスクス笑ってしまうと、頬をすり、と撫でてから、頭を撫でられる。
「いこうぜ。テンション高い奴らが待ってるから」
「あ、うん」
嫌そうに笑う玲央に、可笑しくなってしまいながら。
一緒に教室を出た。
363
お気に入りに追加
5,432
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-
悠里
BL
高3の時、義理の弟に告白された。
拒否して、1人暮らしで逃げたのに。2年後、弟が現れて言ったのは「あれは勘違いだった。兄弟としてやり直したい」というセリフ。
逃げたのは、嫌いだったからじゃない。ただどうしても受け入れられなかっただけ。
兄弟に戻るために一緒に暮らし始めたのに。どんどん、想いが溢れていく。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる