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◇「周知」

「恥ずかしいセリフ」*優月

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 頬に触れられて見つめられて。


「……オレがお前としたいって、ちゃんと納得?」
「――――……」

 もう一度ちゃんと聞かれたので、うんうんうん、と小さくたくさん頷くと。
 玲央はクスクス笑いながら、オレを抱き締めて。

 なんか頬や髪とか、たくさんキスしてくる。


 玲央って……どうしてこういうの恥ずかしくないのかなあ……。
 されてるだけで、もう、かなり照れちゃうのだけど。

 そう思うんだけど。

 …………オレとしてて、イイのかなあ。
 ていう疑問は。

 なんか色々で、かなり打ち砕いて、もらえた。気がして。


「くすぐったい……」

 笑ってしまうと。玲央も、クスクス笑って。
 我慢して、と言って、続けてくる。

 そんな事をしていたら、ふっと気づいた。


「わー、見て、玲央」
「ん?」

「手がすごいふやけてるー」
「ん? ほんとだ」

 むにゅむにゅしてるオレの指先に触れて、玲央がクスクス笑ってる。

「こんなふやけてるの見たの、初めてかも……あれ、玲央は?」

 玲央の手を掴んで、じっと見つめるけれど、全然ふやけてない。

「何で??」

 ちょっと不満で聞くと、何で不満そうなの、と言って、玲央が笑う。

「オレは、お前の事こうやって抱いてたし、頭触ってたり。外に手、出てたからだろ」

 クスクス笑いながら、玲央がオレを抱き締める。

 確かに。玲央の手は、外にあったかも。
 オレの手はずーっとお湯にぽちゃぽちゃ触ってたからかー。

「すごい、これ、どれくらいで戻るんだろ」

 じっと手を見つめていると、玲央がオレの頬をつまんだ。

「そろそろ出よっか? 優月」
「あ、うん」

「気づくとここに2時間位居るし」
「え、そんなに?」

「居るよ。そりゃふやけるよな……」

 クスクス笑って、玲央が立ち上がりながら、オレも立たせてくれる。


「なんか、幸せ過ぎて、あっという間だったなー」

 2時間も居たなんて、思えない。

 …………玲央としてたのって、何分位なんだろう。
 すっごく長いような気が、するんだけど。

 頭真っ白んなって、時間の感覚、まるでなくなって。
 なんか一瞬みたいにも、思えるし、ずーっと、色んな事、されてる気も、するし。……不思議。


 色々思いながら、指先のブニブニした所を触っていたら。
 はー、と玲央がため息をついた。

 ん?と、玲央を見上げると。
 玲央の指が頬に触れて、玲央の方に引き寄せられた。


「……?? 玲央?」
「幸せ過ぎてとかさ」
「……うん??」

「――――……恥ずかしくない?」

 じっと見つめられるけど。


「……うん、ない……」

 ……恥ずかしくはないよね??
 ていうか、いっつもいっぱい恥ずかしい事言ってくる玲央に、恥ずかしくない?とか聞かれるって。

 その事自体が何だかちょっと恥ずかしくなるっていうか。


「……幸せとか、こんなに普通に言う奴って……貴重だと思うんだけど」
「…………? 言ってて、良い、てこと?」

「うん。ずっと言ってて」
「ずっとって……」

 抱き締められて、クスクス笑ってしまう。


 そっかー。幸せって。
 …………恥ずかしいの???


 玲央がいっつも言ってる数々の言葉たちの方が、すっごく恥ずかしいと思うんだけどなあ……?


 恥ずかしいの基準て、違うんだなあ、と、ぼんやり思いつつ。

 オレを抱き締めて、髪にすりすりしてる玲央に、何だかクスクス笑ってしまいながら、きゅ、と抱き付いた。


 




(2022/2/16)






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