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◇「周知」

「キス」*優月

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 ラブホテル。行ってみたいなあと思った。行った事ないし。好奇心。
 でも、玲央とくっついてる内に――――……何だか、いっぱいキスして、くっついてしまいたいって、思った。

 家まで、まだ遠いし。
 ――――……帰り道にあるなら。早く玲央とくっつきたい。って。

 だから、行きたいって、玲央に言った。
 実際ついたら、すごい緊張して、ドキドキして。

 ――――……ラブホテルに行きたい、とかって、
 イコールそういう事がしたいと言ってるようなもので。
 そりゃ、オレ達恋人になって、そういう事、してるし。言ってもいいのかもしれないけど。

 急に、すごいコト言っちゃったかもと、恥ずかしくなって、ドキドキして。部屋に入るまでもすごい緊張して。

 ――――……そしたら、入ったら、何だか、モデルルームみたいな空間。
 なんだかかなりホッとして。

 明日の朝食を頼むとか、玲央がすごく普通だし。
 お風呂が大きくてジャグジーがついてるとか。窓が大きくて、さっき歩いてた海が見えるとか。何だか普通に楽しくなってしまって。

 すっかりここがどこだかしばらく忘れ果てて楽しんでいたら。
 後ろから、密着して抱き締められた。


 あ。
 ――――……そうだ、ここ。ラブホテルだった……。

 でも別に玲央は怒ったりしてる訳じゃなくて、面白そうな顔でオレを見て、微笑むだけ。

 ――――……優しくて、胸が、きゅん、とする。


 ムードとか何もなく、探検とか言われちゃうオレで、ちょっとごめんねと思って。――――……キスするか、聞いてみた。
 
 玲央はいつもそうだけど。
 こんなオレでも、そういう雰囲気に、すぐ持って行ってくれて。

 甘すぎる位。優しいキスをしてくれる。


 初めてキスした時も気持ち良かったけど――――……。


 何回もしてる内に、もっと、気持ちよくなってきてる。


 玲央は、オレが気持ちいい所を完全に分かってて、キスしてくるし。
 オレも、どう返せばいいか、少し、分かってきた、ような……。


「……っ……んっ……ふぁ」


 そんな気がするんだけど――――……。
 でもやっぱり玲央のキス、当然、何倍も上手、で。


「……ん……ン……っ」

 は、と息を求めて少し離した唇を、また塞がれて。


 あれ、また息、出来ない……。


 「……ん、ふ……――――……」

 ぼーっと、頭に靄がかかっていって、瞳を開けても、涙が零れそうになってて、全然玲央の顔がはっきり見えない。



「……ぅ……ンっ……」
「――――……っ……ゆづき――――……」

「……ん、ん?……っふ……」


「風呂行こ」

 またしても、ひょい、と抱っこされてしまって。
 むぎゅ、と玲央に抱き付く。


「――――……優月、キス好き?」


 歩きながら、玲央がそう聞いてくる。


「うん……玲央とするの、好き」


 迷わずそう答えると。
 

「好きそうに見えて、ほんとに可愛い」


 笑み交じりで言われて。
 ……好きそうに見えるってどういうことだろうと、すごく恥ずかしいけど。

 クスクス笑う玲央が優しいので。
 更に、ぴったり、抱き付いてみた。
 
 
 
 

 
(2022/2/7)
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