【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇「周知」

「写真」*玲央

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 車まで歩きながら、ふと。

「優月、嫌だったら、ラブホ行かないけど?」
「ん?」

「別に家帰れば2人だし。行かなくてもいいし。どーする?」
「……えーと……ちょっと考えていい?」

「良いよ」

 ふ、と笑ってしまう。


 怖い、が何かよく分からないけど。
 まあ何かが怖い、んだろうし。


「――――……あ」
「ん?」

「写真撮ろうぜ。月、バックで」

 そう言いながらスマホを出すと、優月が柔らかく笑んでオレを見上げる。


「うん。撮ろ」

 月を後ろにして画面に入るようにして、2人で並ぶ。
 肩を抱いてくっついて、うまく入る所で、画面の優月を見ながら、「良い?」と聞くと、「うん、良いよー」と笑う。

 何枚か撮影した後、ふと思いついて、低速の連射ボタンを押しながら、優月の頬にキスする。

「うわ、わ……」

 最初びっくりした顔してた優月は、すぐにクスクス笑い出して、キスを受けてくれる。

 最後ちゅ、と唇にキスしながらも押してたけど。カメラの位置とか意識してなかったから、撮れたか分かんねえなと思いながら、優月と一緒にスマホを見てみる。


 最初の何枚かはちゃんとカメラ目線。
 オレが悪戯でキスしたあたりから、オレは全然カメラ見てないし、優月はびっくりした顔でオレを見てるし。

 でも、意外と写ってはいた。 キスしてるとこも辛うじて写っていて。
 まあ最後の方は、月はもう画面からは消えてたけど。


「キス、してる写真」
「ん?」
「……恥ずかしいね」
「……そう? これ?」

 数枚めくって、キスしてるのが一番よく写ってるのを見せる。

「うん」

 優月がめちゃくちゃ照れながら、微笑む。


 ……そっか。恥ずかしいのか。
 嫌だったかな? キスしてる写真は。


「……優月に送る?」
「うん。送って」
「どれ?」
「んー……全部?」
「OK」

 一応全部、とはいってくれるのか、と思いながら。
 とりあえず送信。

 スマホを見ていた優月は、ふ、と微笑んだ。


「……玲央がなんか、可愛いから好きかも」
「え?」


「キスしてる写真って、恥ずかしいんだけどさ。でも、オレにキスしてる玲央を、外から見る事って無いからさ。なんか嬉しい」

 そんな風に言いながら、嬉しそうに笑う優月に。


「良かった」
「え?」

「キスしてるとことか、写真に撮るなんて嫌だと、思ってンのかと思った」

 思わずホッとしながら、そう言うと。
 優月は、きょとん、としてオレを見つめた。

「そんな心配、してくれるの?」

 優月がふふ、と笑って、オレを見上げる。


「オレ、嫌だったら、言うし。――――……恥ずかしいとか、慣れてないとかは、玲央と居ると色々あるんだけど…… 嫌な訳じゃないよ?」
「――――……」


「……ずっと、好きって思ってるんだけどなぁ……? ごめんね、オレ、嫌そうに見えちゃってる?」

 少し首を傾げながら、優月がそう言う。



「嫌そうには見えてない――――…… 多分オレがお前の事好きすぎなんだと思う」

 だから、嫌だなと思われたくないというか。
 気になってしまうんだと思って、ほんと柄じゃないなと思いながら、でもそうとしか思えなくて言ったら。


「――――……うわぁー……」

 優月が、ほわほわと幸せそうに、オレを見上げて。
 にっこり、笑う。
 



「そういうの、さらーっと、自然に言われるとさ……」
「ん?」

「……ただでさえ玲央の事ばっかりなのに、ちょっと困る……」

 困る?


 ふと見下ろしたオレに、不意に優月が近づいて。
 ちゅ、とキスされた。
 







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