【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇「恋人」

「何だ、これ」*玲央

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 完全に弄りモードに入ってる3人をスルーして食事を終えて、優月の方を見ると、ちょうどこっちを見た所だった。

 終わったか? と、口だけで言うと、うんうん、と離れた所で頷いている。
 がたん、と立ち上がって、「じゃあまたな」と言ってから。

「あ、今からちょっと部室寄って優月の荷物取りに行くから」
「んー」

「……しばらく来んなよ」

 オレがそう言うと、皆、「は?」とオレを見上げて。
 その顔がちょっと笑えたので、にや、と笑ってしまうと。

「玲央さー……オレの優月、学校でまで汚さないで」
 勇紀が苦笑い。

「つか、お前のじゃねーし」

 ムッとして言うと。

「さすがにヤんなよ」

 甲斐が笑いながら言ってくる。

「優月は猫触りたいから。……時間ねーから、やんねーよ」

「あーはいはい」
「じゃーねー玲央ー」


 若干呆れ顔の3人と別れて、優月の所にたどり着く。


「優月、行けるか?」

 そう言うと、 慌ててるので急がないように言って、優月の準備を待っていると。周りの友達が優月に聞いた。

「どこ行くの? 優月」
「猫にエサあげに」
「ああ、いつものか」
「……一緒に行くの?」

 その間と言い方に、オレが優月と行くのが、不思議なのかな。と、察する。
 まあ……オレと優月って、普通にみたら接点とか、まるで無さそうだもんな。

 ふーん、と不思議そうな顔をした周りの、1人がオレを見上げながら。

「猫、好きなの?」

 と聞いてきた。
 ふと、見つめ返して。

 その一瞬で。何だか周り中の視線が集まってる。
 ……それと、ともに。優月も、なんだか固まって、オレを見てる。

 なんだか、優月までもが固まってるのが、なんだかおかしくなってきて。
 ふ、と笑んでしまいながら。


「あぁ。嫌いじゃないし――――…… 優月が、クロを好きだしな」


 興味津々な周りへのからかいと――――……固まってる優月が可愛くて。
 そう言ったら。

 思っていた以上に、場が、しーん、と静まり返った。

 ――――……お。なんだ、予想以上の反応だな。
 面白ぇな……。 ま、いっか。

 
「ほら行くぞ、優月」

 優月に話しかけると。
 ものすごく固まってた優月がはっとした顔をして。

「あ、う、ん」

 トレイを持って。固まってる周りに、またね、と挨拶して。周りも、短く答えている。


 ――――……はは。
 面白ぇ。

 優月が猫を好きだから、オレも行く、てことは。
 オレは、「猫を好きな優月が好きだからだ」って、遠回しに伝えたんだけど……伝わったのかな。固まってたから伝わったか?

 狭い食堂は優月の前を歩いて進み、トレイの返却口にたどり着いて、トレイを置いてから優月を振り返った。


 ……うわ。――――……優月、赤い。

 苦笑いが浮かんでしまう。


「……優月、顔、赤――――……何で? さっきの?」
「――――……だって……」


 まあ少なくとも、優月には伝わったってことか。
 はは。かわいーな。
 真っ赤……。


「とにかく、歩こ」

 優月の手を引いて、トレイの返却口から離れると、そのまま隣に引き寄せる。そこで、仕方なく手を離した。

「……なんで、あの言い方、したの?」

 優月がオレを見上げてくる。

「んー。猫が大好きっつーよりは……優月の事が好きで一緒に行くから、そう言ったんだけど」
「――――……」
「まずかったか?」

 黙る優月に少しだけ心配になって聞くと。

「……まずくはない。……ていうか――――……嬉しいけど」

「嬉しいのか」

 可愛くて、ぷ、と笑ってしまう。

「……でもちょっと……ていうか、すごく恥ずかしいかも」
「どうして?」

「……だって玲央が、オレの事、好き、みたいで」
「――――……みたいじゃねえけど」

 ものすごく、好きだけど。
 そんな事を思って、笑ってしまいながら言うと。
 優月は、ふ、と照れくさそうな、嬉しそうな顔をする。


 ――――……あ、もーむり。
 早く、触りたい。
 

「……部室、いこ、早く」

 優月の腕を引いて、部室迄連れて行く。
 中に優月を入れて、すぐ鍵を閉めた。


「――――……優月……」

 ぎゅーと、抱き締めた。



 あーもう。なんなんだ、これ。
 癒される、つーか。――――……興奮するっつーか。

 どっちもって。


 可愛くてしょうがないし。
 ――――……乱したくて、しょうがない。


 
「――――……ずっと、こうしてたいとかさー……」
「……玲央……」


「すげー思うんだけど。何だ、これ……」



 想いの、ほんのほんの一部を、優月に言ったら。
 ぎゅ、としがみついてきて。




 ――――……愛しくてたまんなくなる。





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