【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇「恋人」

「不安とかも」*優月

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「近いうち行こう、優月んち。お前の家族、すごい興味ある」
「……? 何で?」

 興味??

 不思議に思って玲央を見上げると。
 ふ、と玲央が笑う。


「――――……どういうとこで育てば、お前みたいになんのかなーって」


 ……オレみたい。……って?
 

「んー……うち普通だよ? 玲央が楽しみにするような感じじゃないような……あ、でも、双子は不思議かも」

「不思議?」

「不思議……うん、面白い、かなあ。ほんとによく喋るんだよ。性格も全然違うし、言うことも全然違っててさ。2人が喋ってるの、ずーっと見てられる。面白くて。なのに、突然セリフがシンクロしたりすんの。不思議なんだよー」

 思い出すと、笑ってしまう。


「へー……なんかすげー楽しみかも」

 クスクス笑って、玲央が言う。


「オレも。玲央があの子達と喋るの、すごい楽しみかも……」

 とにかくものすごいテンションでしゃべりまくるに違いない。


「でもオレは、優月を育てた人たちに興味あるけど」
「――――……そう? まあ……優しい、て感じかな」

「ふーん。会いたいな」

「会いたいの? 普通、親とか会うの緊張しない?」

「会いたい気持ちの方が圧勝」
「……変なの、玲央」


 クスクス笑うと、玲央も苦笑い。


 先にコンビニが見えてきたところで、玲央がふと、口調を変えて話し出した。


「なあ、優月」
「うん?」

「例えば、コンビニの店員さん達とか」
「――――……?」

 コンビニの店員……。

「あ、おばちゃんたち?」
「そこらへんとかには、隠したい?」

「ああ……んー。学校の人じゃない人たちってことだよね?」
「そう」

「コンビニのおばちゃんたち……」

 クスクス笑ってしまう。


「前にね……優月君は彼女居ないの?とか聞かれてさ。その時、優月くんはカッコよくて頼れる人に守ってもらうっていうのもありよね!とか、ものすごく盛り上がってた事があってさ。オレはその時は笑って終わったんだけど……」

「――――……」

 玲央も、ふ、と笑って目を細める。

「玲央がオレと……とか話したら、すごいことになりそう」
「すごいこと?」

「だって玲央のこと、すごいイケメンって喜んでたし…… その人ととかって……なんか……叫びそう?」

 想像だけでも笑いながら言うと。

「じゃあバレるのはいいのか?」
「……オレ、本当にバレたくないとかは、無いんだよ。別にオレはバレたからって、何も困る事ないし」

 だって、玲央が好きなのは本当だし。

「でも、玲央は、ライブとかするしさ。バンドとかの事で、いいのかなあっては思う。人気とかが関係ある事だしさ……」

 玲央がいいなら、玲央と付き合ってる事、隠したくなんかないけど……。


「……つか、オレ、今までのも隠してねえからな。随分マシなんじゃねえの? 1人に決めましたって」

「――――……そ、そう、なのかな?……」

 女の子1人に決めましたなら、誰からでも祝福されると思うんだけど……。
 うーん……。


「そうだよ。だから、隠さなくて良いって言ってるだろ。そもそもレコード会社の社長たちが、優月とって事認めてんだから、あと誰が文句言ってくんの?」
「……そっか」

 なんか。
 ……本当に揺るがないなぁ。玲央。

 オレの、少しの不安とか。
 躊躇いとか。

 すぐに吹き飛ばしてくれる気がする。
 

「じゃあ本当に、イイや。バレても」

 ふふ、と笑うと。
 玲央がまたよしよし、と頭を撫でる。


「……玲央、ほんとに頭撫でるの好きだね」
「ん?」


「玲央に撫でてもらうの、好きになってきちゃった」

 ふふ、と笑うと。
 玲央はふ、と笑って、オレを斜めに見下ろしてくる。

「ん?」
「……無邪気な顔して、んなこと言ってるけどさ」

「……??」

 玲央は、可笑しそうにニヤ、と笑う。


「キスしたり、抱きしめたいなと思うけど、出来ない時に撫でてる事が多いけど」
「…………っ」


「だからオレが頭撫でた時は、ほんとはこのままキスしたいんだなって、思ってろよ」


 オレが真っ赤になっていくのを、おかしそうに見つめながら、玲央はまたよしよし、と撫でてくる。


 玲央ってば……。
 そんなこと言われちゃうと、撫でられるのもまた意識しちゃうんだけど……。


 恨めし気に玲央を見上げると。
 ――――……ふ、と笑んで、瞳を細められて。

 鼓動がまた速くなる。
 

 ぷるぷる、と首を振って気を取り直して。
 コンビニの入り口に足を踏み入れた。

 



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