上 下
245 / 825
◇週末の色々

◇キスだけじゃ*優月 ※

しおりを挟む



 あれから。
 ――――……バスルームで、めちゃくちゃキスされて。
 
 気が遠くなる位、気持ちよくさせられて。
 オレ、口で、する?て言ったら、今は余裕無いし早くベッドに行きたいから良いって言われた。

 ほんと可愛い、なんて言われながら手早く洗われて、それと一緒に、少し慣らすよ、と言われて、中を解された。
 そうしながら、最後は、玲央のと一緒に擦られて、イかされた。
 シャワーで流されて、バスタオルでくるまれる。

 なんかもう、至れり尽くせりな感じで玲央が全部してくれて。

 ごめん、今日はドライヤーしなくてもいい?と聞かれて、頷いた。
 バスローブのまま、初めて入る寝室を見回す余裕もなく、薄明りのライトの下で、ベッドに組み敷かれた。


 なんか――――……ほんとに、余裕、無いんだ、て思うと。
 そんなに、オレと、したいと、思ってくれてるんだ、と感じたら。
 ゾクゾク、しちゃって。

 中はもう解されてたし、もう、すぐに玲央に抱かれるんだと、覚悟していた。

 でも、余裕ない、て言ったのに、ベッドに来てから、されてるのは。
 ずっと、キスばっかりで。


「――――……ん……ふ……」

 しかも、激しくないキス。
 甘くて甘くて、溶けそうなキス。

 息も、苦しくない。
 すごく優しく絡んで、噛まれて、吸われる。


「……っは……」

 なんで、こんな、激しくないキスなのに。
 ――――……さっきから、こんなに、ゾクゾク、しちゃうんだろう。

 なんか、体の奥から、熱が、徐々に、沸き起こってくるみたいで。
 
 玲央の指が、頬をなぞる。優しい、触れ方。そのままうなじに滑って、少し上を向かされて。それまでよりも、ぴったりくっついて、深くキスしやすくなって。


「……ん、ん――――……」

 深く重なっても、苦しくはない。
 優しい。

 ぴちゃ、と水音が響く。それも、全然、激しくない。



 めちゃくちゃ、愛されてるみたいな。
 優しい優しい、キスで。


 絡んでくる唾液を、こく、と飲み込んで。

 ――――……なんか。……こんな事、自分が、してるとか、される、とか。
 玲央とするまで、考えた事もなかったなあ、なんてぼんやり考える。


 優しいキスは、正気を奪われるみたいなのとは違ってて。
 いつもみたいに真っ白になったりは、しない。 ぼんやり霞がかかるみたいな、ふわふわ浮いてるみたいな、甘い感覚が、ずーっと、頭と体を支配してて。

 玲央に抱きついてた手から、気づいたら、すると力が抜けて、落ちた。
 あ。と思って瞳を開けたら、玲央も瞳を開けて。
 視線が絡んだ瞬間、玲央が、ふ、と笑んで。オレの手を、きゅ、と握って、ベットの上に軽く押さえた。


「……っ……ん、ん」


 激しくないキスなのに、どうしてこんなに、息が、熱くなるんだろ。
 お風呂で一度達したからか、さっきまでみたいな切羽詰まる感覚はまだないんだけど。

 じわじわと。
 ゾクゾク感が、体を包んでて。

 玲央の手を、ぎゅ、と握り返す。


「……れお ……」
「ん……?」

 名を呼んだら、少しだけ離れた玲央が、微笑んだ。
 余裕ないからって、さっき言ってたのに。

 むしろいつもよりも、余裕な感じのするキスだけを延々繰り返す。

 
「……キス……だけ?」
「――――……」

 オレの言葉に、玲央は一瞬黙って、それから。

 可愛くてたまんない、みたいな顔をした。
 言われたわけじゃないけど――――……もう、そうとしか取れないような顔で笑って。それから、オレの手を離して頬に触れてきた。


「違うけど――――……可愛くてさ」


 頬に触れたまま、玲央の親指が唇に触れる。
 少しだけ、口の中に指先が入ってきて。舌先に、触れた。

「……っ」

 ぞくぞく、する。

 こんな。指先が少し、舌に、触れた位で。


 オレってば。
 ――――……どんどん、やらしくなってく気がしてしまう。

 玲央が、優しいキスで可愛がってくれてるのに。
 ――――……もっと、触って、ほしいとか……。



「……キスだけじゃ、嫌?」


 そんな風に聞かれて。

 そんな事は無いんだけど。玲央のキスは、大好きで。今してくれてるキスは、ほんとに優しくて、大大好き、なんだけど、と思いながら。



「……キスは好き」
「ん」

「……でも……もっと、玲央としたい……」
「――――……ッ」


 玲央がぐ、と言葉に詰まった顔をして。 
 少し見つめ合った後、肩に額を埋められた。


「……はー。優月……」
「……?」

「――――……いっぱいキスしながら、しようぜ」


 ちゅ、とキスされて、うん、と頷く。



 そこから、何だかものすごく丁寧に、慣らされて。
 抱かれた。


 大好きすぎて。愛しすぎて。
 玲央とするのが、幸せすぎて。



 深く受け入れて。たくさん、キスを、した。

 








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

転生令息の、のんびりまったりな日々

かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。 ※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。 痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。 ※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした

雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。 遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。 紀平(20)大学生。 宮内(21)紀平の大学の同級生。 環 (22)遠堂のバイト先の友人。

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

処理中です...