【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇週末の色々

◇我慢*優月

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 出てこない玲央を迎えにトイレのドアを開けると、玲央はオレを見て、ちょっと苦笑い。それから、オレの押さえてるドアを更に開けて、トイレから出てきた。オレの前を歩いて、そのまま出口に向かって。

「ごちそうさま」
 レジにいた店員に声をかけて、素通りしてしまう。え、と思った次の瞬間、気づいて。

「あ、玲央また先に会計……」
「ご馳走するから、仕事頑張れよ」

 振り返って、ふ、と笑う玲央。
 ――――……さっきのホテルもいくらか教えてくれないし。というか、あそこ、なんか払える気がしないんだけど。……いくらなんだろ、ほんとに。

 ほんとこの話、誰かとしたい。
 蒼くんかなあ。でも蒼くんも玲央寄りだからな……。美咲かな、智也かな。
 んー、勇紀達かなあ……。でも、勇紀達に聞いたら、きっと、今まで玲央はそうだった、で終わってしまいそうだし……。

「……ごちそうさま、玲央」

 いいのかなあ、と思いながら、そう言うと。
 ん、と玲央は笑う。

 きっと玲央には普通なんだろうなあ……でもなあ……。
 

「それより優月、さっき、ほんとにごめん」

 考えてたら急に言われた言葉。とりあえずこっちはまた後で考えよう。
 店の前から少しずれて、「さっきのって?」と見上げると。

「あ……さっきのごめんと同じ?」
「そう。 ごめんな」
「もう謝ってくれたから、いいのに、何で改めて言うの?」

 そう聞くと。
 玲央は、ふー、とため息を付きながら。
 
「……優月にキスされて、我慢て言われてさ」
「うん」

「我慢すんのすげーつらいなと思ったから。も1回ちゃんと謝ろうと思って」
「――――……あ……さっきのほっぺにしたやつ……?」
「ん」

「……え、あれって…ほんとに我慢するとか、そういう話になるの?」
「なるけど?」

「――――……な、るの??」

 ちょっとほっぺにキス、しただけなんだけど。


「……玲央のは、つらいけど……あれは、大丈夫じゃない……??」

 続きしたくなるような、我慢しなきゃいけないようなものじゃなかった気がするんだけど。


「だってすげー可愛かったし」

 むー、とちょっと膨れた玲央。
 ……さっきのオレの真似してるのかな。

 なんか可笑しくなって、ぷ、と笑ってしまった。


「……玲央、そんなにオレにキスしたいの?」
「――――……したいっつってるじゃん」

 まわりの人には聞こえないようにこっそり聞くと、すぐそう言われて。

 もうなんか。胸がいっぱい。というか。好きすぎて。
 だめだ、もう、今ここでキスされるんでも良いって、一瞬思っちゃうけど。


 だめだめ、すぐ見える距離の所に蒼くんがいる。
 違う違う、蒼くんだけの話じゃないし。人いっぱい。
 無理無理無理……。



「――――……帰ったら、しようね、いっぱい」
「……だからそういう事、言うとさ、また我慢が必要になる訳。分かる?」

 ふー、と玲央がため息を付いてる。

「オレも我慢するから――――……我慢してください」
「え」

 何でだか最後敬語になってしまったオレを、玲央がじっと見つめる。


「優月も我慢なのか?」
「――――……」

 思わず無言で、うん、と頷く。

 ……当たり前じゃん。
 てか、その質問……分かってないな、きっと。オレの気持ち。

 ……キスしたいのは一緒だもん。
 でも、外とか。正気保ってられなそうな時がやなだけで。


「……優月も我慢なら、オレも我慢するか……」


 とか、なんかぶつぶつ言ってる玲央に、ふ、と笑ってしまう。


 ずーと、キスしてたいなあとか……思っちゃうから、外で中途半端にされるの嫌なだけだし。



「あ、もう昼休み終わるの、10分前だ。早く行こ、玲央」
「ん」

 さっき随分早く店を出ようとしてた筈なのになと思いながら。
 2人で並んで、歩き出した。



 ほんと。
 ――――……誰かと、キスしたりの話、こんな風にするとか。
 我慢するとかしないとか。お昼から何言ってるんだかもう。とは。

 思っちゃうんだけど。


 ――――……今までのオレの世界に全くなかったこんな会話。

 こんなに好きな人と、できるの。
 楽しいなー、なんていう風にも、思ってしまう。









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