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◇週末の色々
◇可愛いのはお前*玲央
しおりを挟む洋食屋の外に出てるメニューを見て、優月が美味しそう、というので店はそこで決定。
ちょうど出て行く人と入れ替わりで入れて、テーブルで向かい合って座った。
目の前の優月を改めて、見つめると。
「……やっぱりスーツ姿だと、違って見えるな?」
いつも大学で見てる姿とは、大分違う気がする。
ほんと?と優月が笑って。
「社会人に見える?」
と聞いてきた。
ん? 社会人……。
「んー……それは見えねーかな」
苦笑いで言うと、優月が、あ、やっぱり?と笑った。
「じゃあオレ、何に見えるの?」
「――――……まあでもスーツ着てるから、知らない奴が見たら、童顔の社会人、とか、思うのかな」
「童顔の……」
ちーん。
優月が固まってる。
「冗談。可愛いっつー意味だし。スーツ、結構似合ってる」
笑いながら言うと、優月はすぐ、うん、と微笑む。
「いらっしゃいませ」
店員の女の子が水とメニューを置いて行った。
「優月何食べる?」
メニューを開いて優月に向けて置くと。
「んーと……パスタにしようかな。ナポリタン、美味しそう」
「じゃ―オレもそれでいいや。飲み物は?」
「アイスオレ」
優月が言うのを聞いて、すぐに店員を呼び、同じのを2つずつ注文した。
水を口に含むと、優月がじー、とオレを見つめてくる。
「なんかさ、玲央さ、一緒に頼もうっていう時さ?」
「うん」
「オレと一緒でいいやって、よく言う気がしない??」
「……そうか?」
首を傾げて見せると、優月は、うーん、と考えてから。
「こないだオムライス食べた時もだし、サンドイッチの時もだし、今日もだし?」
「……そう言われるとそうだな」
全然意識してなかった。
優月はふふ、と笑う。
「どーして?」
「どーしてって……何も考えてなかったけど」
「玲央、選ばないんだもん。メニューをこっちに向けちゃってさ」
そう言われてみればそうかもしれないが。
まあ、反対側からは一応見てるし、ぱっと見、どうしても欲しいものもないし。
「どーしてもっていうのがないと、一緒のもの食べたいってのになるのかもな」
「――――……」
「まあ。考えてねえから後付けだけど」
はは、と笑って、優月の顔を見ると。
なんかちょっと赤い。
「どした??」
「んー……なんか。玲央、可愛いなと思っちゃって。照れる……」
「は?」
全然意味が分からなくて、首を傾げると。
優月は一瞬困った顔をしてから。
「同じもの食べたかったの、とか、付き合ってる女の子が言ってくれたら、すごい可愛く感じると、思わない……?」
「んー…… まあ、思う、かな」
「え、絶対思うでしょ??」
優月が続けて聞いてくるのだけど。
オレが思うのは、そっちじゃなくて。
「何でそこで女の子って言うんだよ。そっちのが気になる」
「え?? ……あ」
そういえばそっか、と優月がオレをじっと見つめる。
「何となく、可愛いを分かってもらいたくて、そしたら女の子って、言っちゃった」
「つか、オレ、女より、お前のが可愛いと思ってるから。覚えとけよな」
「――――……」
「そういう例え話するんなら、女の子じゃなくて、優月の話で――――…… 何、笑ってんだ?」
優月がふ、と笑って、オレをじーと、見つめてくる。
「なんかさ――――……そういうの、言ってくれる玲央がね」
「何だよ?」
「……可愛いって、思うの、オレ」
「つかオレ、可愛くねえし」
そう言い返すけど。
優月はめちゃくちゃ、にこにこ笑ってる。
「――――……」
はー。
……可愛いのは、オレじゃなくて、優月だし。
……ほんと。どっか連れ込みたい。
なんて不埒すぎる事をオレが考えてるなんて、知る由もなく。
優月はずーと、ニコニコしてるし。
なんかオレ、優月に触る事ばっか、考えてて。ほんと。
今までの余裕とか、どこ行ったんだっつーの。
無邪気に笑ってる優月にちょっとため息をつきたくなった。
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