【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

文字の大きさ
上 下
206 / 838
◇週末の色々

◇妬くとか*玲央

しおりを挟む

「――――……玲央たちは、プロになるか、まだ分かんないって言ってたよね?」
「ん。あいつらも他にやりたい事色々あるだろうし。家の事とかも関わってくるし。……まあ、音楽は続けていきたい気はするけど――――……」
「そっか……」

 頷いて、そのまま黙ってる優月に、ふと聞いてみたくなる。

「優月は? ……プロになって欲しい?」
「オレ? ……オレ、は……玲央が歌ってるの、めちゃくちゃカッコいいと思うから、歌ってては欲しいけど――――…… プロかどうかとかは、別に関係ないかなぁ……」

 そんな言葉を聞いてたら、ふ、と笑ってしまった。

「ん?」
「いや……めちゃくちゃカッコいいとか、普通に言うから」

 そんな風に言って見つめると、また赤くなる。

 可愛いなー、優月。

 優月って、気づかず、そういう事、平気で言っといて、オレがそれを指摘するとすぐ赤くなるし。


 優月は、手で頬に触れて、冷やしながら、ふう、と息を吐いた。


「……玲央絡むと、すぐ顔熱くなるし、今日なんかさ、何回も泣いちゃったし。なんか……変なんだよね、オレ」
「オレが絡まないと、なんねーの?」

「……なんないはず。……玲央と会うまで、こんなこと無かったし」

 ふ、と優月が息を付いてる。


「オレ絡みだけでそーなるなら、オレは嬉しいけど」
「…………嬉しいの?」

「ん」

 優月は、不思議そうな顔をしてる。


「……逆に他の奴に赤くなったり、泣いてたりしたら、オレ絶対ぇ妬くから、無理」

「――――……やく?」

 普通に、そう思うから言ったんだけれど。
 優月は首を傾げてる。

「妬く、の?」
「妬くだろ」

「……玲央が、ヤキモチ、妬くの?」
「――――……」

 何度も聞かれるので、何となく無言で頷くと。


 優月が、ふふ、と、めちゃくちゃ嬉しそうに笑って。
 そうなんだ、と呟く。


「なに?」
「玲央にヤキモチ妬いてもらえるとか。……貴重過ぎる気がして」

 クスクス笑ってる優月。


 ――――……なんか。ほんと、優月、可愛い。
 ……早く触りたいけど――――……。


「優月、もう食べ終わる?」
「あ、うん。あと少し」

「ん」

 とりあえずもう少し待つことにする。
 先に食べ終わったオレは、水を飲んでから。

 ふと、気になって、優月を見つめて聞いてみた。
 

「……優月はさ。妬かねえの?」
「――――……」


 妬かれるの嫌がってたくせに、何聞いてんだか。
 ……妬いてほしいとかの感情が、まだ自分でも意味が分かんねえし。


 ……聞いてはみたいけれど。 でも、優月は、妬かないか。

 そういう感情、強くなさそうだし。
 じゃなかったら、奏人のキスだって、怒るだろうし。

 …………なんか本気で、大丈夫って、言ってそうで。
 ……それはそれで、何だか複雑。

 怒ってた蒼さんの気持ちの方がよっぽど分かるし。


 優月が、全体的に、こんな感じのポワポワした奴だから――――……
 オレは、優月が可愛くて、好きだと思ったっていう部分も、あるのかもしれないけど。


 謝りはしたけど、全然いいよと本気っぽく言われると、
 ……やっぱり、ちょっと、複雑。

 …………嫉妬されるのめんどいっていったり。
 優月には妬かれたいって思ったり。


 ……まあ。そこらへんが今までと違う理由は、自分では、分かってるけど。

 他の奴の嫉妬は、面倒だけど、
 …………優月には、妬いてほしいんだよな、オレ。

 少し位。 他の奴とのこと、嫌だって思って欲しいというか。
 ………今までのオレが、それを嫌がってたのを知ってる優月に、そんな、訳の分かんねえことは、言えないけど。



 はー。
 マジで。

 …………優月の、「全然いいよ」というこの感じが可愛くて好きでもありつつ。
 …………かなり複雑という。


「オレ、妬くって……今まで、あんまりよく分かんないで来たんだけど」
「――――……?」

「……最近、ちょっと、考えるとモヤモヤする事はある、かなあ……妬くっていうのかよく分かんないけど」


 モヤモヤ?

 目の前で、んー、と考えてる優月の、のほほんとした顔を見てると。
 ――――……まあ、今までぶつけられた嫉妬とはかけ離れてそうで。

 ……可愛くて、ちょっと笑ってしまいながら、続く言葉を待ってみる。








しおりを挟む
感想 791

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。 まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。 転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。 ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。 「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」 かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。 「お願いだから、僕にもう近づかないで」

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

処理中です...