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◇週末の色々
◇恋✳︎優月
しおりを挟む「あたし、玲央とは友達だからさ。心配だったんだよね、玲央。いつからか、恋人なんかいらないとか言い出してさ。まあモテるから相手に困んないのは知ってたけど」
「――――……」
「なんか、優月くんが好きってさ。あんな冷めた顔してたくせに、ほんとはこんな感じの優しそうな子が好きなんだと思うと、すごい笑えちゃうけど」
あはは、と雪奈ちゃんが笑うと、勇紀が、分かる分かると笑ってる。
2人の話も聞きながらなんだけど。
勇紀の隣で、玲央と蒼くんが何故か2人で話してるのが気になる。
あ、さっきオレがトイレ行った時話したんだっけ。
……仲良しになったのかな??? と思うと、こちらの方が面白いけど。
ふ、と笑ってしまうと。
雪奈ちゃんに、顔を覗き込まれた。
「今の玲央は信じてあげてもいいと思うよ。あ、優月くん、SNSやってる?」
「ううん。やってない」
「じゃあ今度見せてもらって。とりあえず玲央の片思い応援モードで、あたし、流しまくるから」
「あ、でも――――…… 片思いじゃ、ないよ? だって、オレ」
言いかけたオレの言葉に、雪奈ちゃんは笑って首を振った。
「あ、いいのいいの。そこは多分、玲央は、その方が良いって思ってるんだと思うから」
「……そう、なんだ」
そういうのは良く分かんないけど。
雪奈ちゃんを見つめながら、頷くと。クスッと笑われた。
「ん?」
まっすぐ見つめると。
「そんな風に相手の子を守りたいとかさ、玲央が考えるとかね」
「――――……」
「よっぽど好きなんだろうなあ、と思ったよ」
ふふ、と笑う雪奈ちゃん。
――――……オレも、ほんとにほんとに、玲央が好きだけど。
ああ、なんか。
すごく、玲央と離れてる気がする。
話したいな……。
そこに、美奈子さんと里沙さんがやってきた。
「玲央たち、そろそろちょっとステージ立ったら?」
その言葉に、蒼くんの隣に居た玲央が返事をして立ち上がって、それから勇紀達3人も、立ち上がる。
ざわつく中、玲央たちが揃って前に行くのを見送っていると。雪奈ちゃんは、ステージの方に歩いて行った。
蒼くんが、隣に移動してきて、笑った。
「さっき泣いて、なんか吹っ切れたか?」
「――――……」
ほんと、この人は――――…… 鋭すぎる。
「うん。……なんか、覚悟が、出来た、かも」
まっすぐ、蒼くんを見つめると。
蒼くんは、ふ、と笑って、オレの頭をくしゃくしゃ撫でた。
「ちょっと良い瞳になったな」
クスクス笑われて。
「そういうセリフ、恥ずかしくない……??」
言うと。
「皆が聞いてんのに、玲央が好き、とか言っちゃう方が、恥ずかしいと思うけどな?」
ニヤニヤ笑いで見つめられて、う、と詰まる。
……確かに、そうなんだけど。
なんかさっきは、ずっと迷ってたのが、急に晴れて。
嬉しくなって、言っちゃったんだよね……。
「にしても、お前、ほんと良く泣くな?」
「……おかしいよね…… 恋すると泣くって。聞いた事あるけど。それ??」
「――――……オレは泣いた事ないけど」
蒼くんの苦笑いに。
「蒼くんはいっつも、理路整然としてるからだよ……意味わかんない、とか、あんまり無くない?」
「たまにはあるけどな。泣きはしないな」
「……今まで泣いた事なかったけど。 その気持ち、なんかここ1週間で、すごい身に沁みちゃった……」
「だから、今まで泣いた事ないのは、お前恋してなかったからだろ」
「でも居たよ? 好きな子。何人か」
「ちょっと可愛いなーとかちょっと好きだなーとかなんて、恋なんて、言わねえから」
「…………」
「だから何度も、言ってんだろ、初恋だって」
蒼くんの言葉に、もう素直に頷くしか、なかった。
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